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[完結]ダンジョンができた世界で、屑スキル持ちの僕は異界人と仲良くなれました。  作者: 安ころもっち


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No.10 成長の先に


 あれから二か月ほど、何事もない日々が続いた。


 新たに加わった三人との連携も、見違えるほど良くなった。 僕たちの階層は最前線の探索者たちを追い抜き、ついに最上位となる60階層を超えた。


 ここまで階層を上げれば、他国の敵対者たちと遭遇することもまずないだろう。 僕は警戒を緩めつつも、目の前の大鬼の王(オーガキング)に集中した。 深い階層に充満している強い魔素が、大鬼の王(オーガキング)の周囲だけ飛散するように調整する。


 急激に変化した環境に戸惑う大鬼の王(オーガキング)は、弱々しく鉄斧を振り回していた。 僕はその攻撃を冷静にかわしその目を釘付けにする。 その隙に、カオリさんが軽量化鉄槌(ライトハンマー)を振り抜いた。


 その槌の先には牙突のスキル効果が付与され、打撃武器であるはずのその先が大鬼の王(オーガキング)の足に突き刺さり(・・・・・)、その肉を抉り取る。


 悲鳴を上げる大鬼の王(オーガキング)。 そこへ、ハルカちゃんが顔に向けて痺れ煙幕を噴霧した。 顔をかきむしり悶え苦しむ大鬼の王(オーガキング)。 そんな彼女の指先には、魔力を高める指輪がはまっている。


 僕は生じた隙を見逃さず、一気に踏み込み、大鬼の王(オーガキング)のその首を、両手に握りしめた風神の両刃剣で断ち切った。 消滅した大鬼の王(オーガキング)の跡には、大きめの魔石と大鬼の王(オーガキング)の牙が残された。


 最近は僕のスキル操作の精度が上がったため、リリアの強運スキルが無効化されなくなっていた。 ゆえにドロップ率が異常に高い。 希少な素材や装備品などが次々と溜まり、金銭的な不自由は完全になくなった。


 もっとも、政府から支援されている僕たちに、これといった使い道はないのだ。 老後資金として貯金するしかない。 だが、悠々自適な老後を送るためにも、まずはこの使命を果たし、平和な世界を取り戻さなくてはならない。


 僕は力の限り頑張ろうと、改めて自分に言い聞かせた。


 僕たちは次の獲物を探すため、聖なる魔力を向上させるロザリオを握りしめ、祈るカツオさんから体力回復を施され、足早にダンジョン内を駆け抜けた。




 そんな折、事態は急変した。


『我々は、利益を独占する日本を御し、世界平和に貢献するために戦う!』


 突然の宣戦布告だった。 塔の出現から今日まで友好的だったはずのC国が、突如として日本政府への直電にて攻撃の意思を示されたようだ。


 僕たちが源ちゃん経由でいち早くその情報を伝えられた頃、国内に潜伏していたC国の探索者が一斉に蜂起。 塔の周辺を包囲して籠城した。 塔から出てきた探索者たちは、その数の力により素材などを強奪されたうえ、追い出されてしまった。


 さらには、日本の外洋にはC国の物と思われる原潜や駆逐艦などが配備され、一触即発の事態となっていた。


 だが、日本側も反応は早かった。


 国内の日本人探索者たちに支援を要請。 それに恩を売りたい他国の探索者たちも加わり、塔の周辺を閉鎖していた暴徒は速やかに排除されていった。 混乱を長引かせようとしたC国にとって、これは大きな誤算だっただろう。


 海岸線では、遠距離攻撃や防御スキルのある探索者たちが集まり、飛来するミサイルをスキルを駆使して迎撃していた。 僕たちは真っ先に政府機関へと匿われ、安全を保障された室内で、モニター越しにその戦火を眺めているだけだった。


 緊張を隠し切れず、不安から室内をうろうろしてしまう僕だったが、そんな不安は数時間後、あっさりと解消されることになる。


『我が国は、C国の暴力による侵略に断固反対する! そして、速やかな解決を図るため、これ以上の暴挙が続けば、私の責任において、核のボタンを躊躇なく押すだろう!』


 B国がC国への核攻撃を示唆する声明を出した。


 それにより、事態は一気に終息。 C国は全面降伏へと向かう。 早期解決したとは言え、塔付近での戦闘や、海岸線での戦闘の余波により、軽微ながらも被害は出た。 C国はこれの賠償について約束し、今回の布告を指示した大佐を差し出してきた。


 C国の大佐を務めるカールスという男は、短期決戦で塔を制圧さえできれば、交渉の余地があるのでは?と考えていたようだ。 日本への嫉妬を利用し、他国の協力も集まるだろう。 そんな思惑もあったらしい。


 僕はこの解決にホッとしながらも、塔の恩恵を巡る争いは今後も続くのだろうと考えていた。


「えっ? そうなの? すっごいねー!」


 丁度その時、エミリカに状況を説明していたリリアが驚きの声を上げた。


『そうよ。 管理権さえあれば、塔の十本や二十本、すでに作成できるほどの魔素は蓄積されているはず』


 魔道具から聞こえるエミリカの言葉に、室内にいたすべての者たちが呆気にとられていた。 僕たちも、政府関係者も、エミリカの次の言葉を待っていた。


 一通り話を聞いた僕たちは安堵する。


 ダンジョンコアの管理権があれば、管理者は任意の場所に塔を出現させることができるという。 現段階でもかなりの数を作成可能で、それによるエミリカへの負担もないらしい。 さらに、管理権を取得すれば、彼女に万一のことがあっても塔は消えないのだと。


 実際は、仮に僕が管理権を得たとしても、僕の方が先に寿命を迎えるため、管理権を継承していく必要があるとも言われた。 一気に情報を得た僕らは、室内の関係者に説明を任せ、頭を抱えながら早々に布団へ潜り込み、眠りについた。


 早期に塔をクリアし、使命を全うしなければ今後も命の危険は続く。 最終的に、管理権を得ることさえできれば、他の国にも塔を作ってあげれば、きっと仲良くできるはずだ。


 僕は明日からの攻略に力を入れることを誓い、心地よい眠りに身を任せた。


本作品はフィクションです。C国もB国も架空の国ですよ。


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