7話 初めての仲間ができました
「ワン!ワンワン」
目の前の真っ白なポメラニアンはおなかが減ったのか、アピールが激しい。
そのうち踊りだすのかと思うほど、私に身体を寄せては吠えるポメラニアンに、しょうがないとあるものを渡す。
「ワン。ワン。」
「はいはい、これを食べなさい。ジャーキー。」
「ハグハグ。」
「よし、塩漬け肉は大好物「ワーン」っていったーい。」
急に蹴りを受けてびっくりした。さすがに飼い主に本気で蹴るわけがないので、びっくりが9割だが。
ゲームとはいえ、ポメラニアンには塩分が多すぎるのだろうか?これはメモしておかないと。
それにしても私がゲームの世界で犬をテイムするとは思わなかった。だが仕方ないと思うしかない。
あのような出会いをしたら、飼うしかなくなるのである。
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ギルドで日課を終えたのち、籠罠を作るために袋を買ってから軽く細工をして、いつもの林に向かった。
薬草はクエスト達成をしてもお金は少ないが、調合をする上に練習するために必須なので毎回取りに来るのだ。
籠罠以外に括り罠を掛けた後に、鳥や鹿を弓で撃ちながら過ごしていた。
レベルは6であれから【料理】しか取っていないが、ステータスは攻撃と器用に振っていた。
ステータスは魔力の伸びが高いが、魔法を今は使おうと思わず、まずは弓と罠を使いこなせる様に割り振った。
そのため鳥は一撃、鹿は二回で倒せるようになったのだ。
ドロップ品は肉が多く、たまに皮が出る。売るときには皮の方が高いためそっちの方が嬉しいが、仕方ないと運は良くないので諦めつつ、いつもの肉屋のおじさんに肉を売った。
おじさんはミートとわかりやすい名前のおじさんだったが、毎回肉を売るために私の名前を覚えて貰っている。
「ウルちゃんよー、少しは増やしてくれねーか?贅沢と思われよーが2個ずつはすくねーよ。」
「でもおじさん?私が倒せるのは5体くらいなの、これが精一杯なの」
「ほら、解体スキルとかでさ?あれ肉とか増えんのよー。皮も取れる可能性上がるしウルちゃんにはちょうどいいんじゃないか?」
「どうやってそのスキルを取れるの?教えておじさん!」
「わかったって、ウルちゃんの頼みだから俺が教えてやる。」
厨房で大きな肉を捌いていたら調理スキルと共に解体スキルが入手できた。解体スキルは18歳以上だと肉の塊が入手できる、それを捌いたら最大10個取れる、スプラッタの様にグロいためあまりマニュアルでやる人は少ない様だ、18歳以下は無条件で個数アップだけのスキルになる。
注意点としてボスモンスターなどには効果が無く、解体スキルだとなぜか平等に同じ数ドロップするみたいだとおじさんに教えて貰った。
それから林で動物を倒すと大体動物一体で2個から3個ドロップする、これで9割おじさんに買い取って貰って、少しは調理スキルに使うことにした。今の所塩や野菜とお肉を使ったスープや干し肉ばかり作っているが、
(ファンタジーだとこういうのが定番だよね!)
と上機嫌で干し肉を齧っていた。少し前に食べたお肉の串のほうがはるかに美味しいが、こういうものも味だよねとガジガジかじっていた。このゲームでは満腹度などはまだ出ていないが、これから出る可能性は多いとプレイヤーでは噂になっているため、ウルは少しでも料理スキルを上げていた。
罠には食べ物を設置したらかかる可能性が少し上がることがわかったため、薬草や美味しそうな草をハサミで切ってから罠の上に置いておく様にした。
体感10%鹿などが罠にかかるようになったが、今回は干し肉を置いておいた。
(肉食がいないといいな、これは実験)
干し肉に引っかからないならば、林には草食しかいないことになり、少しは安全だろうと確認をしていた。
本だと昔はオークがいたが、今は消えており、草食動物しかいないことになっていたが、確実ではないかもと思ったからの行動だった。
ほとんどの罠には何も起きずに干し肉を無駄にしたが、
最後の罠に白い小さな犬がぶら下がっていたのだった。
ポメラニアンだった、白く綺麗でふわふわしている愛玩動物であろうつぶらな瞳。知性は感じるが口元の干し肉のせいで愛嬌が際立っていた。
足では無く胴体に罠がかかっており宙ぶらりんだった。本来ならとても苦しいはずだが、ゲームという点でぶらぶら揺れているだけだった。
「くーん。くーん。」と泣いているのか鳴いているのかわからないが、可哀想とか可愛いという感情ばかりでてきた。
鹿を倒してポメ倒さないのか?と自分に投げかけたが、獲った獲物をどうするも自由だと結論付けた、リアルの世界じゃないのだ、リアルでも鹿罠にポメラニアンがかかってて弓で殺すことはしないと思うが。
ポメラニアンの胴体を掴み、ハサミで罠を切ってそのまま地面にポメラニアンを置いた。
理知的そうなので言葉でさよならをすることにした。
「はい、次からは地面もしっかりみてね?次はかからない様にね」
そう言って帰ろうとして歩き出したはいいものの、つい気になって振り返ると、ポメラニアンはこちらをじっと見つめていた。私もなんだろうとポメラニアンを見返しても、ポメラニアンは微動だにせず、ずっとこちらを見ている。
うーん、なんだろう?痛いのかな?でも触ったときに何もなかった様な。
大きな心配、小さな寂しさがあり、ポメラニアンのもとへ近づいていった。
「どうしたの?元の場所へ帰らないの?」
そういってもワンとしか返してくれないが、何故だか私になついている雰囲気を感じた。
つい可愛く撫でていると白いプレートが目の前に現れた。
【ポメラニアンが仲間になりたい。仲間にするか?】
【はい】【いいえ】
テイムスキルが必要だが、スキルポイントは3余っているため、テイムはできる。
だがポメラニアンと私のコンビでこれからどうしよう、食事は?睡眠は?しつけはどうする?
いろいろ考えながらも結論はとっくに出ていた。
「よろしくお願いします。」
【はい】を押して、私に仲間が出来た。
名前を決めるため、ワン太郎と名づけることにした。
私にネーミングセンスはないらしい。
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ということがあり、今は私のテイムモンスターだ
種族はポメラニアンであり真っ白いのはレアであるが
別段特殊なスキルなどはなく見た目が違うと言う意味のレアだってさ
愛玩動物と言われているポメラニアンには戦闘スキルが皆無であり
嗅ぎ分ける嗅覚というスキルに、よく穴を掘るから穴掘りスキル、そして先ほどのいたーいキックという一応の攻撃スキルが全部だと。
同じ犬でも西の草原にでるウルフは相手を一瞬止める遠吠えに、大きな口を使ったかみつき、鋭い爪によるひっかきスキルを覚えているらしいけど。
「はっはっはっ」
鹿肉を食べ終わり満足したのか、こちらに舌を出してるわん太郎をみて
「可愛くて私が幸せだからいいや」
名前 【ポメ太郎】 レベル:1
種族【ポメラニアン☆】
スキル【嗅覚】【穴掘り】【キック】