第7話 ティニー
ダンジョンは後々逃げ帰るようにして聖樹の元にいった。
クタクタなウルには聖樹とカリストに今日あったことを話して疲れを癒していた。
さすがにワン太たちも今回のダンジョンでレベルが上がり、充実した戦いをしたのでストレス発散出来たのだろう。疲れを見せながらもかなり楽しそうだった。
「それで今回変なモンスターが出てきたんだよ!」
「グア?」
「聞いていたのはオークのパーティーだったんだけど、今回戦ったのは赤いオークなんだけど。」
「グアグア」
「え?レッドオークは結構強いから気を付けたほうがいいって?本当に負けるかと思ったからね。ワン太たち全員居なかったら負けていたよ。」
「グア」
「もっと強くならないといけないのかな。でも私はワン太たちののんびり旅したいよ。」
「ワン!」
「強さに貪欲な私はらしくないよね。うん、私もリンネル町まで行ける強さになりたいだけで、もうレベルアップはしばらくお休みかな。」
「ちら!」
「チラリンも大変だったでしょ?第三の町へ行くのも大変なんだからダンジョンはしばらくは行かないよ。できたらサクラちゃんが居てくれたらいいんだけどね。」
そう聖樹の元で談笑をしていると。
「あら?ウルさんでしたわね。」
「え、あ、はい。」
「わたくしです。ティニーですけど覚えていますか?」
「はい。覚えています。」
「それはよかったです。私だけ覚えていたら悲しいですもの。」
「ティニー…さんはどうしてここに?」
「アーサー様と一緒にプレイしたかったんですけど…今は忙しいので一人で遊ぶことにしたんです。それでイベントポイントを交換していないと思いまして…チケットを購入しておけばいつでも来れると思って。」
「そうなんですね…良い島なのでいいと思います。」
「ええ。それにウルさんにはお友達がいるのでさらに楽しいでしょう。」
「は、はあ。そうですね。」
「テイムモンスターも可愛らしいものばかりで、凄いですわ。」
「え?そうなんですか?」
「ええ。テイムモンスターはモンスタータイプと動物タイプの二種類がいるんです。モンスタータイプは餌付けや自身の強さを見せ付けてテイムをしたらいいんですけど。」
「動物タイプは違うんですか?」
「ええ。検証をしているプレイヤーの話しでは、動物タイプは好感度が一定より高くないと何をしても無駄みたいですね。」
「好感度ですか?…私は何もしていないですけど。」
「動物に好かれる良い人というのは、大概自分の事はわかっていません。先ほどからいる大きな熊や聖樹にも好かれている…。」
「どちらかというと助けてもらってばかりですけど…。」
「ええ。他に動物をテイムしている人も協力して生活している人ばかりです。もぐらとミミズに土を耕してもらい、鳥に上空から種を蒔いてもらう農業プレイヤーもいるんですよ?」
「それはすごいですね。」
「ええ。戦闘力こそモンスターのほうが高いですが、それも戦い方によってはまた違う結果になるとアーサー様はおっしゃっていましたわ。」
「アーサー様?イベントでも大活躍でしたね。」
「ええ。私の癖ですわ。お慕いしている人には様付けをしてしまうのです。それにアーサー様は最強のプレイヤーです、クラーケンでは相手にならないですわ。」
「は、はあ…」
「詳しく話してもいいですが…ウルさんはあまりアーサー様には興味がない様子ですし、話を変えましょう。動物タイプのテイムモンスターは大きくモンスター型と違うことがあるのです。」
「そ、それって?」
「自由さですわ。モンスタータイプは一度テイムされると指示を受け入れ、あまりにもひどい扱いをしない限りは離れていかないみたいですが、動物タイプは嫌いになった瞬間どこかへ行ってしまう。」
「そ、そんな!ワン太達が目の前から消えてしまう可能性が?」
「え?ええ。それを知らないんですか?ダンケルの町にはテイマーギルドがあるので、そこで聞けるはずですが?」
「えっと…私はギルドへあまり行かないというより…人見知りなのでオブロンの町ばかり行っていたので…。」
「それは仕方ないですわ。そうだ、今度ダンケルの町を紹介しますわ!わたくしがいるなら少しはマシではないですか?」
「え…えっと~。」
「わたくしでは駄目ですか?」
「い、いえ!よろしくお願いいたします。」
「堅苦しい返事ですが、良かったです!案内をする日は明日はどうですか?」
「わ、わかりました。」
かなり強引さがあるティニーに押される形で明日の用事を入れてしまったウルであったが、それだけではない。
(私ってサクラちゃん以外のプレイヤーの友達はジャンヌさんしかいない。ジャンヌさんは最近第四の町へ行きたいって言ってて会えていないし、友達を増やすには今がチャンスだよね。)
そもそも現実の友人を作るため、そしてゲーム内でNPCやプレイヤー含めて友人をうまく作る練習をするためにこのゲームを買ったのだ。
NPCはオブロンの中でこそ友人や日常会話ができるくらいにはなったが、他の町に行ったらそれだけで会話が難しくなってしまうのだ。
今回はティニーから引っ張られる形になってしまったが、新たな友人作り、そして今だ喫茶店とギルドしか行けていないダンケルの町を知るためには最高のお誘いだったので了承した。
先のことに一喜一憂しているウルをティニーは暖かい目で見ており、ワン太達は変な考えではないといいなと見ているのだった。




