第1話 聖樹を植えてみよう
第二回イベントが終わり、いつもの日常になってから二日経った。
あれからウルは神社の整備を進めていた。それはなぜかというと、ネイアとの話になる。
「あら。あなた狛犬を仲間にできたのね。」
「そうなんです!ワン太はすっごく強くて頼りになるんですよ。」
「それはそうでしょう。破邪の力を持つものですもの。聖獣といってもいいわね。」
「聖獣なんですか?」
「ええ。聖獣というのは深淵の魔力が一切なく、清らかな魔力のみのモンスターのことよ。」
「なるほど、凄いんだね。ワン太。」
「町の人が見たら驚くと思うけど。ウルは落ち着いてるわね。」
「そうですか?あ、ネイア様。この聖樹を植えたいんですけど。どこに植えたらいいですか?」
「聖樹?あなた聖樹って言った?」
「はい。イベントの孤島に居たんですよ。凄い木でしたよ!」
「はあ…まあいいわ。聖樹はこの神社で育てられるわ。根が付くまではしっかり管理しないといけないけどね。」
「そうなんですか?どうしたらいいですか。」
「まずは聖樹に掛ける水は聖水だけね。神社で池とか作って、神楽舞をしたら池の水が全部聖水になるわ。後はいい土を作ればいいわ。農家の人に聞いてみればいいじゃない?」
「土ですか。一応ホームに植物成長剤はありますけど。」
「うーん、見てみないとわからないわ。持ってきて。」
すぐホームから植物成長剤を持ってくると、ネイアに見せた。
「ふーん。動物の糞、そして植物の茎などに砕いた骨を発酵させたものね。これなら大丈夫ね。」
「やったー、これで聖樹さんを育てられますね。」
「ええ。一応狛犬の破邪結界を毎日使っておくと良いわ。聖樹周りに邪気が一切寄らないようになるから、もっと大きくなったらそんなことしないでいいんだけどね。」
「ありがとうございます。さっそく池作りからしてきます。ワン太、一杯掘ろうね?」
「わん!」
ネイアは休んでいるワン太以外のテイムモンスターに向かい。
「あなたたちはやらないの?」と言うと。
「ちゅん。」「ちら?」「モー」「ぐあ?」
「はいはい、役割分担ってやつね。ウルの仲間はほのぼのでこっちものんびりしちゃうわ。」
巫女服でポメラニアンと一緒に土掘りを進めているウルをゆっくり眺めるのだった。
(そこに水源はないけど。水脈を軽く移動すればいいわね。)
過保護な神獣のおかげで、ウルの池作りは何とかなったのだった。
「それでは参ります。」
ウルの宣言ののち、神楽舞が始まった。舞姫という統合スキルに、練習も続けており、最初のしどろもどろな舞とは比べ物にならないほどの綺麗な舞を舞っていた。
「見事ね。これならアルテミス様もお喜びになるわ。」
「ワン!」
「ええ。あの子はしっかり私たち神を感じ、感謝をしているからこそ、私たちも少しは返したくなるのよね。」
「ちら?」
「私も舞ってみたいって?いいじゃない。上手い下手が全てではないわ。舞ってみなさい。」
チラリンもウルの美しさに少し羨ましくなり、自分も舞いたいと直談判した。許可も得たところで見よう見まねで舞ってみるが、まったくもって上手く行かない。
それもそのはずだ、スキルもなければ練習すらしていない。よほどの神童レベルの運動神経ではない限り、無理なのが当然だ。
ウルの舞を凄いと見ている中、ワン太はとても懐かしい気分ではあった。最初は盆踊りを踊りだし、それでも転んでしまうほどであり、巫女という職業を進めた手前、後悔していたのだ。
マリーに教えてもらい、家でも練習していたのだろう。日に日に舞のレベルがあがり、今では完璧に舞えるのだ。
ウルの仲間が全員見守る中、しっかりと最後まで綺麗に舞え、神社に清潔な息吹きが流れる。池の水も綺麗になり、聖水に変わっていく。
「ふう。これで聖樹さんが育てられそう。」
「ええそうね。それにしてもウルはしっかり綺麗に舞えるわね。日に日にうまくなっていくわ。」
「あ、ありがとうございます。私もこの世界で一番頑張っているのが舞と歌なので嬉しいです。」
「ええ、大巫女などがいたらもっと詳しいことを聞くと良いわ。」
「大巫女というのは?」
「え?巫女の上位職よ、巫女、大巫女、神巫女になるのよね。」
「職業が進化するとは聞きましたが。大巫女という名前になるんですね。」
「そうね。大巫女になれば神の力を一部行使できるようになるわね。神巫女となれば神をある程度自由に降ろせるわ。」
「なるほど。私が目指す道というのは神巫女なんですね。」
「そうかもしれないわね。でも近くに神社と巫女が居ないか探さないとね。」
「今度第3の町に行くので、そこでも探してみます。」
「あらいいわね。何があるのかしら?」
「布と服の町、リンネルですよ。」
さっそく聖樹を埋めるため、土を掘り起こし、先ほどの植物成長剤という名の土を入れてふかふかにする。聖樹を埋めて、聖水をたっぷり掛けていく。
「大きくなりますように。あとワン太、お願い。」
「わん!!」
ワン太が力を込め咆哮すると、聖樹と、その周りに結界ができた。確かに守ってくれそうだとウルも安心した。
「ありがとう。ワン太。」
「わん!」
神社ですることが終わり、あとはゆっくりと仲間達と遊ぶのであった。




