第17話 造船
「それで、この子熊が増えたってわけか。」
「はい。それに親熊のおかげでほら。」
どんどんとサクラとウルが丸太を出していく、大きく硬い良い木材になるだろう。シーテンは木材を軽く確かめると。
「よし、これなら最適だな。図面を考えておくから石炭と鉄をを探してほしい。」
「わかりました。サクラちゃん行こう。」
「私一人で行ってくる。ウルはシーテンの手伝いをする。」
「え?私も行った方がいいよ。採掘スキル持っているし。」
「私も素材採取用にスキルは取ってる。」
「それならウルは借りていくぜ?図面とか色々説明をしないといけないしな。」
「え?は、はい。サクラちゃんも気を付けてね?」
「うん。」
そういうと、ポータルでサクラは消えていった。
シーテンはギルドで買っていた紙とペンを渡すと、サラッと図面を書いていく。
ウルが気になるところをシーテンに質問をして、答えてもらいながら船のことを理解していく。
ウルスラはワン太たちと親睦を深めるために砂浜で遊んでいる。みんなと仲良く遊んでいるが、チラリンと相性がいいのかずっと一緒にいた。
船について話し合っていると、サクラが来た。じゃらじゃらと石炭に鉄鉱石、スライムジェルを持ってきたのだ。
早速鍛冶師キットの炉を取り出すと、石炭を燃やして鉄鉱石で鉄インゴットを作っていく。燃えた後の石炭でタールも手に入れる算段だ。
「よし!こうなったら材料もしっかり揃ってる!しっかりとした船を作るぞ!」
「はい!」
最初は結構小さな船を作るつもりであったシーテンだが、予定を変え十人程度乗る船を作ることにした。
そのため図面を書き直しながら必要な素材を書き出していく。
ウルは精錬を終えた鉄インゴットをしまうと、次に木材の加工と防水処理を先にすることにした。
木材をどの大きさにするべきかを教えて貰えば、ダイタス組で習った木工技術、大工技術で加工していく。量が途方もないため、1日で終わらなかった。
サクラが帰ってきたタイミングで今日は終わることにして、夜ご飯を食べた。
寝る場所は昨日からサクラが用意していたキャンプテントと布団があるため、そこで寝ることにした。
中は魔法のおかげでかなり大きく、ゆったり寝れるのでウルとサクラ二人は快適に寝れるのだ。
朝からウルは木材の加工を続けていた。防水処理をして乾燥もしないといけないのだ、早くやらないといけないため、どんどん木の板を作っていく。
休憩としてワン太たちと遊んだり、カリストの元に行ったりしていた。サクラは今回は別行動であったが、カリストが何かしたのか、ウルたちにモンスターが来ることはなかった。
サクラは一人で北側に行っていたが、そこでダンジョンを見つけた。地下を潜るタイプでプレイヤーたちはみんなそっちに行っていた。
「ダンジョンってファンタジーだね。」
「この世界すべてファンタジー。」
「そうなんだけどね。でもダンジョンか〜。」
「行ってみる?」
「そうだね。一度は行ってみたいかも。」
「そうしろそうしろ。俺の船作りだけやってたら申し訳ねーからな。」
「船が作り終わるまでは行かないですからね?」
「それは俺からも頼む。」
木材の加工は今日で終わるが、次に防水加工というもの一つずつ丁寧になるので時間が掛かるのだ。
「もう木材が終わるの?早い。」
「本当ならもっと遅くなるし、難しいんだけどね。シーテンさんが凄すぎるからね。」
このシーテン、すごい船大工と言っていたが、本当は造船のスペシャリストと呼ばれており、国で一番の船大工なのだ。設計に狂いはなく、すべて一発で完ぺきに仕上げるためこの速さでできるのだ。
そのシーテンの凄さはスキルにも現れる。
いつも通り防水加工をしていた時に、【船大工のスキルを獲得した】というアナウンスが流れた。
「あ、あれ?」
「どうしたんだ?ウル。」
「シーテンさん。私船大工のスキルを入手できたんですけど。」
「それはそうだろ、俺が作った図面を理解して、船作りの準備をしているんだから。」
「確かにそうですけど…」
「貰えるだけ得じゃねーか。もらっておけ!」
ウルが釈然としていない点はスキルポイントを使ったわけでも、船を作り終わった時とかでもなく、途中で手に入ったのだ。しかし、それは当然であった。
国で一番の船大工であるシーテンの造船技術を目の前で学んでいるのだから、作り上げる前にスキルを獲得してしまうのも当然なのだ。
ウルは不思議そうな顔をしていながらも、造船の時にしっかりお手伝いができることを喜ぶことにした。
ひたすら防水としてタールを塗っていくと、船大工のスキルはガンガン上がっていく。しっかり塗りながら乾かして二度塗りをして完璧に仕上げていく。
「おう。ウルはかなり丁寧だな。」
「そうですか?人が乗るのでやれることはやりたくて…」
「それが良い、手を抜くよりは100倍マシだ。」
「手抜きとかするんですか?」
「ああ、船なのにって思うだろ?普通に雑に船を作ってすぐにおじゃんだ。」
「そうなんですか…」
「まあ、俺は違うから安心しな。休憩も終わったし、そろそろ組み立てるか!」
「はい!」
ウルが鉄のインゴットで作った釘をシーテンがどんどん使って組み立てていく。
シーテンは土魔法を使い、地面を盛り上げて、船の固定をしていく。そして固定した船にどんどん釘を打っていく。それを繰り返してどんどん船を作っていくのだ。
ウルはその手伝いをしていく。夜にはほとんど船の輪郭ができつつあった。
その頃にはサクラも戻ってきており、どうやら反対側にも島があり、そこに何かあったみたいだった。
「クラーケンが住む島?」
「そう。豊かな島なのにここに人がいない理由。」
「なるほどな。クラーケンは厄介だぜ。」
「そうなんですか?」
「そりゃもう。大きさによっては国の騎士団が出るってもんよ。」
「国の騎士団…」
「サクラの力は凄まじいが、それでも国の騎士団の方がいまはつよい。」
「ふん。私は負けない」
「まあそういうな、騎士団の鎧がすごいって話でな………錬金………。」
騎士団のことをずっと夕食時に語っていた。
シーテンは騎士団が好きらしく、騎士団長のこととなると熱量がすごく、知らない騎士団長のことをウルたちが覚えてしまうほどだ。
今日もテントでサクラと共に寝る、今日のことをお互いに話していき、しばらく話していたらウルが眠たくなり、寝た。
次の日、昼前に
「できた!!できたぞウル!」
「はい。そうですね。」
「うおおおおお!「わん!」いってぇーー」
「ワン太〜。」
シーテンが感慨深くなり、ウルに抱きつきそうになった瞬間、ワン太が蹴り飛ばしてくれた。
ウルは言葉では注意をしていたが、本心は助かったと思っていた。男の人に抱きつかれるなんて…と思っていたからだ。
サクラが居たら身体中切り傷だらけにされそうだからワン太で良かっただろう。
しかし、それはどうでも良いとばかりに目の前の大きな物体にウルたちは目を輝かしている。
防水と腐ることをしっかり考えて作られた船はタールで黒くなっており、黒い船はなんだかカッコよく、チラリンはかなり気に入っている様で、船には一番乗りしていた。
「それで、水には浮かべますか?」
「そうだな。持っていくか。」
というと船が消えた。
「え?船はどこですか?」
「あー。船長スキルだ、船を持ち運べるんだ。」
「な、なるほど。」
「じゃあ、浮かべるか。」
そういうと水辺まで向かい、シーテンが軽く手を動かしたら船が出現した。
ぷかぷかと浮かび、沈むことはなかった。
「よし、まずは成功だな!」
「まずは?もう成功じゃないですか?」
「おう!水漏れ確認して、木材チェックだな、あとは固定しておいて耐水を調べる。」
「そうなんですか。」
「一応な!でも何隻も作ってるから確認しなくてもわかる、これは成功だ!」
ウルたちとシーテンの船作りは成功した。
【初めて船を作成したプレイヤーが出現しました。大陸に造船所が出現します。】
というアナウンスと共に




