第14話 森のクマさん
「だ、大丈夫だよね?」
「うん。私が負けることはない。」
ウルたちは、森の中を歩いていた。モンスターのレベルが高く、ウルたちには強かったため、今はサクラがメインで倒している。
サクラは敵を発見すると、ウルの前から消えていき、10秒足らずに帰ってくるのだ。
レベル差はかなりあり、ウルは21に対してサクラは44とかなり高いのだ。
レベルは上がるごとに難しいとは言え、ダンケルの時から10も上げている。
ソロ専であると遊ばない限りは一人でかなりの最前線でずっと戦うらしく、ここまで上がったのだと。
しかし、武器や防具など色々足りないため、ここから先のレベルはまだまだ時間がかかると話していた。
「ほ、本当に早いねー。」と軽い雑談を言うしかなかった。本当ならウルが船を作るといった手前、率先して戦わないといけないのであるが、サクラは構わないと戦ってくれる。
またモンスターを倒してきたサクラに
「急に強くなったね…なんでだろう。」と言うと
「当然、砂浜とあっちの森は初心者用。」
「え?そうなの?」
「当然。この森レベルしかないなら初心者が詰む。全部が砂浜レベルなら上の人が楽しくない。」
「そうだね。」
「そう。それにチャンネル分けをしているから渋滞が起きない。」
「チャンネル分け?」
「人数ごとに何チャンネルか作ることで一つの島で数万人楽しめる。」
「だから人数が少なかったの?」
「うん。攻略組ばかりいいところ占領するからチャンネル分けは必須。ちなみにレベル上げの本命は北。」
「そうなんだ。プレイヤーが少ないと私たちの伐採はし易くなるからいいね。」
「うん。」
ようやくチャンネルのことをわかったウルは、人数の少なさがようやくわかって気分が晴れた。
木材探しのためにずっと森の中を散策していくが、どうやら森の端が一番柔らかく、中央に向けて固くなっていくのだ。
少し中央に近づいたところで木を触ってみると、かなり硬く、これなら船の素材になるだろうと思った。
これなら中央の木材ならどれだけ硬いのだろう。その疑問が気になってしまい。
「サクラちゃん」
「うん。行こう」
「なんでわかったの?」
「うーちゃんはわかりやすい。」
釈然としないウルは中央に向かって進む。
「ついたけど…あれは?」
中央は開けた場所になっており、中央に白いもふもふが居た。もふもふ以外は何もなく、ボスがいないことにウルはホッとしていた。
真ん中にいるもふもふは、近づいたらわかったが、小熊のようだった。アルデよりは小さいが、小型にしてはかなり大きく、鋭い爪はウルを倒せそうだ。
ぐぉおお
しかし、ここに入ってから奇妙な音が鳴っていたのだ。低音の響く変な音だった。
「ひっ」
「大丈夫。」
ぐぉおお
ウルが後にびっくりし、サクラが嗜める。
この音がずっと止むことがなく、熊に近づくにつれて大きくなってくるのだ。
もしかして熊の威嚇の音かとウルは考え、敵じゃないことを伝えるために、シヴァからもらった果物を渡した。
果物は一瞬で消え、またあの音が聞こえた。
「サクラちゃん、もしかして?」
「うん。」
「この子、お腹空いてる。」
この森で少し疑問があったのだ、この熊のご飯がないという。
猿やウルフなどが出てくるが、草食動物も居なければ、果物や木の実などもなかった。
食料も何もないこの場所に居たこの子はどこから来たのだろう?
ばくばくばくばく
「くああ」
「よかったー。」
「うーちゃんイベント起こしすぎ。」
「そうなの?でも困った熊だし助けないと…」
「くあ?」
「ううん、なんでもないの!ゆっくり食べてね?」
「くあー。」
「不思議、戦いにならないとは思わなかった。」
「へ?」
「この森はバトル用、手強いボスがいると思った。」
「でもさ?ボスならこの子はなんでここに…」
ズドンズドン
木を壊しながら進んでくる音がしている。今まで会ってきたどのモンスターより恐ろしい感じがした。
ウルたちは子熊の前に立ち、その相手が来るのを伺った。
真っ白の大きなクマだった。かなり殺気だっており、少し筋肉質ではあるがスマートさがあった。
「ゴアアアア!!!」
「ひゃあー!!」
「ウル、私に任せて。」
サクラは大太刀を抜くと一瞬で熊の元に行くと、抜刀術で切りつけた。さらに腰につけた刀を二本抜くと連撃を浴びせていく。熊の攻撃を避けると大太刀に持ち替え、さらに攻撃を加えていった。
「す、すごい。」
「く、くあ。」
「あのクマがどうしたの?もしかして?」
「くあ、くあ。」
「お母さん?」
「くあ!」
「どうしよう。殺気立ってるのは子供を取られそうになってるから?」
「サクラちゃん!その大きなクマさんはこの子の親!攻撃をやめて!」
「うん。」
サクラが刀をしまうと、かなりダメージを受けているクマが倒れていた。あと少しサクラのことを止めていなければ母熊は倒されていただろう。
「うーん、癒しの舞!…そして再生の踊り!」
ウルは親熊の体を治すべく、癒しの舞を使った。舞が終わると親熊も少しずつ治っていった。
そして再生の踊りだが、こちらの能力は凄まじく、傷だらけのクマの体が回復していく、傷が塞がっていくのだ。
「よし。後はポーションと、ご飯をあげよう。」
「うーちゃん?まだ敵対してるよ?」
「でも、この子の親だよ?大丈夫。私は倒されても復活するから!」
「うーん。うーちゃんの好きにしたら良い。」
「ありがとね?ねえ母熊さん。私はあなたを治したいんだ。」
「ゴアアアア!」
「私は怖くない。あなたの爪で一撃で殺せる弱い存在…怖くないよ?」
「くあ!」「ぐあ!」
「くあくあ!くあー!!」
ウルの前にお腹がいっぱいになった子熊が出てきたのだ。親熊に対して話しかけている。
そうすると、しばらくずっと睨んでいたが、ゆっくりと敵対心は溶けていった。ウルの差し出した果物を食べたのだ。
「やった!こっちはポーションだから飲んでね?」
それから果物をたくさん出して親熊もお腹いっぱいになったのだ。
「グアグア」
お腹いっぱいになった母熊に色々話を聞いてみた。
親熊が言うには、この森に食べものがないので違う場所に取りに行っていだが、食料は少ない上に、聖域だから安心していたのに、戻ってきたら子供の前に人がいたから襲ったのだと。
「それは大変ですよね。今はたくさん持ってますから。」
そう言いながらシヴァからもらった果物をあげていく、一応まだまだ在庫はあるのだ。
そうしていると、ウルはなぜここに来たのか思い出した。どうせならここに詳しいクマに聞こうとした。
「少しお願いがありまして。」
「グア?」
「私はいい木を探してまして。硬くて大きい木とかどこにあるかわかりませんか?」
「うーちゃん。熊は食べ物に飢えていた。木なんて知らないと思う。」
「グアグアグア!グアー?グア」
「え?教えてくれるの?」
「うーちゃんはなんでわかるの?」




