第7話 セーフティエリアで束の間の休息を
くたくたのみんなと共に休んだウルは、その後に昼食の準備を始めた。
アイテムバックに入れてあるアイテムはほとんどが料理のものであり、もしかして島で食材が手に入らないのかもしれない。手に入ってもウルには調理ができないかもしれないと色々持ってきたのだ。
ウルは瓶に入れてある酵母を取り出した。天然酵母と呼ばれるものであり、ウルが作ったものではなく、貰いものだ。
神楽舞を舞ってから、それより前からオブロンの住民はウルのことをかなり好意的に見ている。それこそ他の住民と同程度には。
困ったことがあったら率先して相談に乗ってくれるのだ。この酵母もウルが食材が手に入らない場合はどうしようと話していたら、パン屋のおばさんから貰ったものだ。
酵母の扱い方からパンの作り方を一日かけてじっくり教えてくれた上、実際のキッチンで作る練習もさせてくれたのだ。いまではパンを自分で作れるようになった。
リアルの世界でもパンは作ったことがないため、楽しくなってどんどん作ってしまい、完ぺきに作ることができる。
酵母にパン屋から買った小麦粉、北の湖から汲んできた水でパンを作っていく。
捏ねていくと簡単にまとまるので、発酵をしている最中に簡易石窯を取り出して温めていく。
薪に生活魔法の火種を唱えると、あっという間に火が付く。どんどん温まっていく。
まだ発酵には時間がかかるため、フライパンでソテーした魚を作ったり、持ってきた野菜や肉などをふんだんに煮込んだスープを作っていく。
発酵を終えたパンを焼き上げると、料理は完成した。
「これでご飯がないとかなくなったよ。」
「美味しそう。」
「もっと調味料とか欲しいんだけどね?」
「御馳走だよ?」
「そう?なら作った甲斐があったよ。」
テーブルと椅子、皿を出すと一人ずつ盛り付ける。ワン太とアルデは地面で食べたいというので地面。おちゅんさんとチラリンはテーブルの上で食べる。
「いただきます!」
「いただきます。」
「わん!」「ちゅん!」「ちら!」「モー!」
サクラたちは食べ始めるともぐもぐ食べていく。
「美味しい。」
「よかった。ワン太たちもどんどん食べてね?」
「ワン!」「ちゅんちゅん!!」「ちらー!」「モウ!!」
先ほどの戦闘続きでお腹が空いたのだろう。みんながつがつと食べていく。チラリンですら顔を汚すくらいがっついているのだ。おちゅんに限ってはもうさらに顔を埋めて窒息しそうと思ってしまうほどスープを飲んでいた。
サクラはゆっくり綺麗に食べていくのでワン太たちの差が面白くてウルはその光景を見ながらゆっくり食べていく。
食べ終わるころにはお代わりをしたワン太たちはお腹がぽっこりと膨れており、寝っ転がっている。
アルデも苦しそうにしているので、ご飯後はしばらく休憩していく。
休憩中に次の目的地を話し合うことにした。
「サクラちゃんは次どこへ行きたい?」
「うーん。当てはない。」
「そうだよねー。どこも未開の地だし。」
「でもあの山を登るのはおすすめ。」
そう指さしたのは、森の先にあるかなり大きな山であった。登山をするとなるとどれほど大変なんだろうかとまだ登っていないのに苦しそうな顔をしていた。
さすがに大丈夫なのかと聞きたくなり。
「登るの?大変だと思うけど。」
「だからこそ。あそこには何かある。」
「そうだね。」
少しウルは考えたが、ずっとウルの用事に付き合ってくれているサクラがここへ行きたいというのだ。これは多少のしんどさなど受け入れるべきだろうと。
「よし!準備が整ったらいこう!」
「うん。」




