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犬飼さんは目立ちます!!  作者: 猫踏み三年
第1章 犬飼さんは目立ちます!
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5話 初クエストに出発

 翌日学校から帰った凜はそのままゲームを再開した。


 宿屋があることは知っていたが、昨日はそのまま冒険ギルドの資料室内でログアウトしていたのでそのまま一階のクエストボードへ移動した。


 弓や罠の使い方もまったくわからないので危ないかなと思いつつも北の林は動物しかいない上に隠れるスキルがあるから適当に採取だけやるなら大丈夫かもしれないと思ってクエストを受けることにした。


 薬草とか動物とかモンスターなど図鑑で見てきたからと奮い立たせてクエストボード前に立った。


 クエストボードに触れるとメニューが出てきた。自分のランクによって出来るものがでており、ソートで採取をタッチすると薬草採取のクエストがでてきた。


(これは便利かも!最初はいっぱいで見づらかったけど)


 討伐クエストを選ぶと


【ウルフ 五体討伐 一体300円】

【ゴブリン 五体討伐 一体150円】


 などと書いてあった。ゴブリンは武器を持たず小さいモンスターで攻撃も突進するかひっかくなどしかしない上にとても遅いらしいのでウルフの半分なのだろう。

 ウルフも一般的なゲーマーなら簡単に倒せる程度の強さではあるらしいが、群れる上に仲間をたまに呼ぶため危険度はゴブリンとは比にならない。


 動物はクエストになっておらず、畑周りのイノシシを討伐してほしいというクエストがあるくらいで、一般的に動物は素材を売るだけになるため、プレイヤーは薬草採取とともに倒す場合が多いとアリアさんに教えてもらった。


 アリアさんは年は少ししか離れていないが、優しくいろいろ教えてくれるので学校の先生みたいだった、ウルは基本人見知りで口下手であるが、先生など大人には甘えられると思って口が軽くなって一般的な会話はできる。同い年には緊張してしまうのだ。


 昨日ギルドカードをカバンにしまっているのをアリアさんに見られてアイテムボックスのスキル化をしていないことがわかった。

 初期スキルは膨大な量があり、創造神がこちらに呼ぶことに色々便宜を図ってもらっているため、特殊スキルがちょこちょこあったらしい、その中でもアイテムボックスと鑑定は特殊中の特殊で先天性スキルで持っていないと一生持てないのである。


 アイテムボックスがないとカバンのサイズにしかものを入れれないという最大の不便があるが冒険ギルドではFランクの初心者に向けてアイテム袋を無料で貸し出してくれるみたいでお願いした。


 アイテム袋は5種類を99個入れられるため序盤ならなんとかなるだろう、ちなみにアイテムボックスのスキルは999種類を999個入るらしい。昨日ログアウト後に見たので間違いない。


 アイテム袋はEランクになったら返さないとギルドが取り返しに来るのだとか、私ならDランクでも勝てますよー?とアリアさんの迫力がある顔にもともと返すつもりだが忘れることはないだろうと感じた。


 絶望をして昨日は動画を色々見たが、もしかしたら大容量のアイテムバックやアイテムボックスのスキルはゲームのイベントなどで入手できるかもしれないと言っていたのでやり直しはせずにゲームをプレイしている。


 お手伝いクエストを見ながら昨日のことを思い出したが、お手伝いクエストは結構種類があるみたいだ。町の掃除に農業の手伝い、子守りや留守番などなど、その中で気になったのは孤児院の見守りだが、さすがに町に馴れていないので厳しいと思い、採取クエストから薬草を選んだ。


【薬草 10株】クエスト報酬は100円とかなり少ないが、薬草はたくさん取っても追加で買ってくれるみたいでたくさん取れればモンスター討伐は目じゃないと早速受注した。


 アイテム袋を手に入れたし、次に林に行く前に雑貨やで道具をそろえないと行けないと思って持っているお金に相談しながら

【採取ハサミ】

【袋】

【初心者調合キット】

【初心者木工キット】

【初心者細工キット】

 ちょっと心配になったので武器屋で矢を30個買ったので合計9000円


 行く道にあった串焼きのお肉が美味しそうだったので5個買って1000円


 素寒貧になってしまったが仕方がない最悪ギルドでまたログアウトすればいいと思ったが、薬草が一回でどれほど取れるのが気になるためまだあきらめない。


 今回はバトルはしない、消音と気配遮断スキルで逃げながら採取がメイン、どんどん採ってどんどん逃げる。


 北門にはルイがいた。同じ場所を守るより、いろいろ持ち回りで全部の門を守るというのがルイの談だった。

 少し話して早速林に近づいたが、町と違って人も少ないためしーんとした静寂が少しウルを独りにさせる。


 自分の気配を消す手段として気配遮断のスキルを取ったが、使い方は口や脳内でスキル名を唱えるだけでいいみたいだ。アシストがあり更に楽になった。

 消音スキルはパッシブスキルで行動すべての音が小さくなっていた。これは便利だった。

 

 探知スキルは頭で探知と唱えるだけでソナーのように円状に広がっていった。レベルが低いためごちゃごちゃ色々出ているが、脳内で草類など思い浮かべれば鉱石やモンスター、動物は出てこないので便利だった。


 草を探知したためいっぱい発見できて、それこそ普通の雑草やツルや木の枝なども範囲内だ。


 雑草は刈り込んで農業に使えるし、畜産なら食べさせられるだろう、ツルは括り罠として活用できる。木の枝など弓の矢に最適だろう。

 探知できたものはアイテム袋に放り込んでおいた。


 罠といってもたくさんの種類があり、対人罠とモンスター罠が分かれている。このゲームでは一応フレンドリーファイアが存在しており、罠をひたすらフィールドに仕掛けていたらプレイヤーにキルされてもおかしくない。そのためにモンスター罠が存在している。


 プレイヤーには引っかからないけど、モンスターには引っかかる罠なのでプレイヤーは安心してプレイできる。プレイヤーが引っかかったらPKなので安心して倒せば良いとなっている。


 これのおかげで括り罠を私は林に置けるのだ。


 罠に関してはアシストをオンにしているため、ツルをもって括り罠を作ると念じるとサクッとできてしまい、仕掛けたい場所を括り罠を持った状態で念じるとそこに罠ができる。


 一応マニュアルで作ったほうが長持ちする、それに罠に眠り粉をしみこませるなどできるので壊れにくいと書いてあったが、まだそんなことをする気持ちはない。

 ツルは少し切りずらいが薬草用に買っていたハサミでギリギリ切れてしまう、草系は切りやすいようになっているのだろうか。鑑定をしても切るものとしか書いていなかった。


 先ほどから木の枝と雑草と木の実などしか取れずに困っていた。


(薬草を探知すればいいんだ!)


 当たり前のことを思いながら探知で薬草と唱えた、少し遠くのところが光ったためそこへ移動した。

 少し木が鬱蒼としており、入口よりだいぶ薄暗い場所になったが、薬草がちらほら見えてきた、


 見た目は大葉のようだ。大葉だなーって図鑑を見たときに思ったが、本当に大葉なんだなと鑑定結果で薬草と出たためそう思うしかなかった。


【薬草】ポーションの材料、草


 鑑定結果はかなり簡略しており、レベルが上がると情報が増えるのか、知識を得るたびに増えるのかはまだわからない。


 薬草は林の入り口だとかなり少なく、これはほかのプレイヤーが取っているせいなのかはわからないが、中腹というか真ん中あたりにはかなり群生地が存在していた。


 薬草はハサミで切ると次の日にまた生えるみたいだ。これも理竜と創造神の力なのだろうか?スコップで根っこから取ると栽培できるが復活するのに5日かかるらしい。錬金術の下位錬金で葉を種にすることを推奨しているみたいだ。


 じめじめしているところどころ腐葉土のような土も見かける。農業の素材だが今はいらない、農業や花壇を作ったら取ろうかなと思いつつ薬草採取に勤しんでいた。


 私が調合スキルを取った理由はポーションを作りたいと思っているが、弓でモンスターを状態異常にして近づかないようにしたい、つまりは毒薬作りをしたいからだったのを思い出し、毒草を探知した。


 薬草とともに生えないとは思っていたが、さらに奥に行く羽目になるとは思わず、おっかなびっくりしながら気配遮断を脳内でちょくちょく唱えながら奥へ奥へと進んだ。


 そうしたら少し遠いところで発見した。赤いヨモギなのでわかりやすかった。20本近く生えていたため、こちらも素手は怖いけど、触れるだけでは大丈夫と書いてある本を信じてどんどん摘んでいく。


 同じ場所に紫にドクロマークのキノコが生えており、わかりやすい毒キノコでそれも積んでいた。


 私はテンションが上がっていた、気配遮断はアクティブスキルで時間ごとに唱えないと行けないことを忘れていた。



「プギーーー!!」

「いったーーー!!」


 後ろからすごい衝撃と共にはじまりの町へリスポーンした。


(え?PKなのかな?すごく怖いけどなんだろう)


 犯人はイノシシであるがウルは全く犯人を気づかず人にやられたと思い込んだ。


(あの林に戻ってもまた倒されるから今日は生産ギルドでいっぱい作るかな)


 冒険ギルドで薬草を200個売りそのまま生産ギルドへ直行した。


 生産ギルド鍛冶の槌や調合など色々ごちゃごちゃしたマークでわかりやすいが、何より大きさで一目瞭然なのだ。テニスコート三個くらいの大きさだろう。しかも四階もある。


 なぜなら生産ギルドでは加工部屋があり、自分の作業部屋がない場合こちらで作れるのだ。生産ランクB以上の学園での先生経験がある人が受付をしているため、まずはここで教えてもらってからから自分で作ろうというのがプレイヤーの総意らしい。

 なぜ熟練者が受付をしているかというと、初心者プレイヤーや慣れてるプレイヤーの質問を熟練者ではない人が答えようとするとパンクしてしまうからだという、理にかなっているなとウルはその理由に関していた。

 この話をなぜ知っているかというと目の前のアミンさんという受付に人に教えてもらったからだ。


 桃色のツインテールに童顔、綺麗ながらもところどころかわいらしさを持ったフリルの制服を着ている女子のような見た目をしている女性で、

 生産ギルドのマスターであり、このギルドに来る前は王国の生産系を教える学術院の教授だったようで、クラフトマスターの称号を王様に認められている生産系の神様と呼ばれる人だから見た目に騙されないようにしないといけない。



 自分の生産スキルと何を作りたいか話したらまずは作って見せてみなさいと作業場まで連れていかれた。


「いい?生産スキルがあったらその分野のものは作れる、でもそれで終わりじゃないの。」

「素材の良しあしに作るアイテムの造形や知識を持っているか、慣れも大事ね。」

「いいアイテムを使用したらいい武器ができるわけじゃない、適したアイテムを適した方法を見つけるのも熟練者への道よ。」


 アミンさんの話をずっと頷きながら木の枝で矢を作る、木工スキルで矢の形にしたら出来るはずが失敗した

「な、なんでできないの?」

「もしかしてウルは矢を知らない?矢じりはまだしも羽もつけずにどこに飛ばせるの?」

「え?矢ってそうなんですか?」

「はー、作る前にどういうものを作るか知らないと話にならないわ、でも今回は特別に作りたいものの本を見せるわ。それに作らないと楽しさがわからないから羽も持ってくるわね。」


 アミンさんがついついここまで来て解説をしてくれた理由がわかった。まるで初心者で作るものすらわからなそうな少女に見えたのだ。それをしっかり指導して生産が嫌にならないようにしてくれたのだ。


 ありがとうございます。弓の勇者だけ見ていてもわからないから今度から図鑑とか武器のお店でいろいろ見てから挑戦しようかな?スマホで作るものを調べてからでもいいかも。


 あーだこーだ脳内でシミュレーションをしながらアミンさんが来るのを待っていたが、アミンの顔が隠れるくらい大きな木箱を持ってきた。


「な、なんですか?この大きな箱?」

「うん、今日は暇だしいっぱい教えようかなって、これ羽とか薬草とかいろいろあるよ?」


 今日はまるまる寝る前まで生産漬けになり、たくさん学んだがそれ以上に疲れた。


 凜が次ログインをしたのは、3日後だった







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