第3話 イベント開始
イベント当日になり、神社では少し大きな声が聞こえる。
「だから!私たちは大丈夫だって!」
「そ、そうですよね。」
ネイアにはイベントのことはしっかり伝えており、離れる時間についてもしっかり話していたが、ウルのほうが5時間で帰ってこれるのか急に不安になり、その不安からなんどもネイアにすぐ戻ると何回も伝えていた。前
「そもそもイベントのあるなしにして、あなたが少し離れただけで駄目になる神社ならどうやったって上手く行くはずないでしょ!少しはあの子たちを信じなさい。」
「は、はい。巫女見習いの子供たちも優秀ですからね。」
「ウルはイベントに行って、いっぱい楽しむ。そしてそのことを私や子供たちに伝えること!いいわね?」
「わかりました!」
ネイアに励まされ、ウルは少し落ち着きを取り戻す。そのうち長時間開けることも考えていたが、今ではないと思っていたのだ。運営からのメッセージでは数時間だと言われているのだが、ゲーム慣れをしていないウルにははい、そうですかと思えなかったのだ。
ウルは孤児院の子供たちは心配するだろうと、思っていた。オブロンの中に居たとはいえ、ダイタス組で修行をしていた際には数日開けていた。その時に久々にあった時に囲まれて寂しいと言われてしまった。
しかし、今回のイベントについて話していくと、孤児院の子供たちはあっけらかんと送り出してくれた。理由も言わず離れると寂しいものだが、しっかり理由や仕事だとわかると子供も理解してくれるのだ。
その子供たちに少し寂しさを感じながらホームに戻ったのだが。
そのことを思い出し、ネイアに向くと
「ネイア様。ありがとうございます。」
「良いのよ。イベントというのはわからないけど。ずっと緊張しているわね?」
「そうですね。前のイベントは町に被害が出ないようにずっと罠を張っていたら魔族一体倒して終わりましたから。」
「本当に変で目立つことするのね。魔族を倒すのが難しいのに。」
「私はそんな変なことをしているつもりはなかったんですが。」
「まあそれがウルの味ということよ。しっかり楽しみなさい!」
「はい!」
ネイアに背中を押されて、ウルはダンケルの喫茶店へ行く。サクラとの待ち合わせをしているのだ。
この喫茶店はジャンヌに連れられて入って以来、ウルのお気に入りの場所になっていた。落ち着いた雰囲気、プレイヤーはあまり訪れず、住民が数名いるだけであり、マスターの入れるカフェオレは大好きなのだ。
カフェオレを飲み、一人でゆっくりしているとサクラが入ってきた。ウルの前の席に座ると。
「ワン太たちは?」
「ホームに居るなら連れて来れるって書いてあったからお留守番。今日はたくさん歩くから家でゆっくりしているの。」
「そう。」
「もうすぐイベントだねー。何があるんだろう。ボスとかでてくるのかな?」
「数日のイベントだからそれはない。まずは散策する。」
「楽しみ、良いものとかあったらいいな~。」
「うーちゃんは何がほしいの?」
「魚かなー、水泳のスキルもゲットしたんだ。」
「うーちゃんは食いしん坊。ご飯ばかり。」
「さくらちゃんも大好きでしょ?私は食べるというより作って食べてもらうのが好きなの。」
「私はうーちゃんのご飯の虜。」
そうこう話していると時間になった。目の前に画面が出てきた。
【イベント島へ行きますか?】
ウルたちはカフェから出た。ダンケルのポータル前に行き、そこではいを押した。その瞬間ウルたちと、ホームにいたワン太たちは消えた。
「うわあ。凄い海。」
「うん。バカンス。」
「わん!」「ちゅーん。」「ちら。」「もー…」
アルデ以外のみんなはテンションが上がっている。
ウルたちの目の前に現れていたのは大きな海に白い砂浜、つまりは大自然だ。
穏やかな波は心地よく、座って眺めていても楽しそうだと思ってしまうほど。ウルは波の音に耳をすませている。
そして砂浜はとても綺麗な白い砂でいっぱい。リアルの様なゴミはもちろんなく、アニメで見たことがあるサクラは砂を掴むとサラサラと捨てていく。
もちろん、この場にいるのはウルたちだけではない。プレイヤーがかなりの数おり、このみんなが海とは反対の森へ消えていく。海に飛び込むプレイヤーも二名いたが。
他のプレイヤーはサクラという有名な人を見ると誘おうと近づくか、近くのウルを見ると子守かよと言わんばかりに森へ消えていく。
そんな目を向けられたウルは何をしているかというと。
「ワン太!綺麗な海だよ。おちゅんさんは飲んだらダメだよ?しょっぱいから。ちらりんはアルデの上に乗ってね? 危ないから。」
ワン太たちと海を楽しんでいた。その目はキラキラしており、スクショなどを撮りながら楽しそうにしていた。
ウルをしばらく見守ることにしたサクラは、後ろでワン太とアルデと共に見守っていた。
おちゅんさんとチラリンが楽しそうにしていたが、飽きてしまって早く行こうと言い、この時間はおわった。
どこに行こうと決めかねていたウルであったが、サクラと決めることに。
「サクラちゃん。どこからいく?」
「決めてない。まずはどこからでも。」
「じゃあ砂浜を周ってみよう?」
「うん。」
砂浜を行くことにしたウルたちは、ゆっくりと南側へ歩いて行った。
しばらくは何もなかった。モンスターやアイテムなど何もなく、どうしようかと思ったが、地面に穴が開いていた。
「これってなんだろう?」
「うーちゃん。鑑定か気配察知する。」
「え?も、モンスターだ。」
穴から小さな目のようなものが出てきた。貝の空気穴だろう。サクラが刀で斬るとアイテムをドロップした。
「え?た、倒したの?」
「うん。簡単。」
「音しか聞こえなかった。」
ウルには刀のちゃきっという音のみ聞こえていたが、何をしたかまったくわからない。
経験値が違い、スキルも強力なので当然のことだが。
「サクラちゃんは強いね!」
「うん。ゲームばかりしていた。だから当然。」
「そう?でもいつからやってたの?」
「幼稚園から。」
「凄いね。私おままごととかしかやってないよ?」
「同じこと。したいことをしていた。」
「だから強いんだ。」
「私は2位、アーサーには勝てない。」
「アーサーさん?」
「そう、絶対王者。あれに勝てる人は居ない。」
「あれって…でもそんなに強いんだ。サクラちゃんも勝てないの?」
「うん。未来予知される。」
「そんな人いるんだ。私は知らない人だけど。会うことはないんだろうな〜。」
「…そんなことはないと思う。」
会話の途中にモンスターが出たことで、会話は中断された。
大きなシャコガイのようなものがズシンと立っていた、殻の中は閉じていた。
「そうだ。プラントトラップ!グロウ!」
砂からも植物は生えていき、シャコガイの殻に絡みつく。開けられないようになった。
「攻撃〜!」
ワン太たちはどんどん攻撃をしていく。閉じられてはシャコガイは何もできない。口から水魔法を出すモンスターなのだ。
「戦いの歌!〜♪〜♪」
歌の効果によりワン太たちの攻撃がさらにダメージを与えていく。
中でもウルの矢とチラリンの魔法はかなり効果的にダメージを与えていく。少しだけ開いてある貝の中に入れていくからだ。
戦いは早くおわり、デカシャコの貝柱という食材がドロップした。
「貝柱!醤油とバターが欲しいな〜。」
「うーちゃんはバター持ってないの?」
「うん。そろそろ牧場に加工場をつくろうとは思ってるんだけど。」
「そう。」
サクラは先ほどの戦いを振り返ると。
「うーちゃん歌ってた。」
「一応歌のスキルがあるから。人前では歌いたくないけど。」
「私の前では?」
「それはいいよ?」
「舞のスキルもある、楽しみ。」
「恥ずかしいからたくさんは舞わないからね?」
それなら砂浜で貝を倒していくが、流石に苦戦などはせずにどんどん倒していき、食材を手に入れるウルなのであった。




