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犬飼さんは目立ちます!!  作者: 猫踏み三年
第四章 第二回イベント

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第1話 神事の後

 神楽舞の後は大騒ぎになった。

 それは当然の結果だろう。ウル以外の住民からしたら神様が降臨したのだ。しかも上級神という石像で見たことがあるレベルのアルテミスなのだ。

 巫女の舞を見に来た住民にとってはとんでもないことだろう。

 それに最後にネイアを遣わせ、ウルの頑張り次第ではあの神社がアルテミスの家になるというのだ。神が住む場所など神域と言われておとぎ話で聞いたことある神界と呼ばれる場所しか知らないのだ。


 プレイヤーも同じように驚いた。巫女という職業はあまり珍しくないが、神社を作り、そこで神事をしたプレイヤーなどウル以外居ないのだ。様々な要因があって現在はウル一人ができる芸当なのだが。


 掲示板に書き込むプレイヤーも数名いた。目ざとく来ていたのだ。



 住民のテンションは最高潮になり、騒動の中心にいるウルに色々聞こうと動き出しそうになった。


 しかし、



「この子に近づくのはおよしなさい。私が許さないわ。」



 先ほどあったばかりの鹿の神獣、ネイアが周りに鋭い目線を向ける。


 途端に止まる人々、ウルはあたふたしていたが。


「私もなんのことだかわからないんです。ネイア様に聞いてから後でお伝えします。」


 という一言でウルの人となりを知っている住民は途端に落ち着いていった。


 だが、プレイヤーの人にとっては情報を聞きたいというのは当然だ。それはウルの意思など関係ない。


 どけどけとウルに近づく数名のプレイヤーに





「それ以上近づいたら切る、うーちゃんに迷惑を掛けたプレイヤーは全員切り刻む。」





 大太刀を持ち、鋭い眼光を見せながら周りのプレイヤーを威圧していく。


 ウルは住民のみんなにあたふたしていてまったく気づいていなかったが。


 伏姫、アーサーを除き、最強のプレイヤーである彼女は一番の得意としているのはPVPなのだ。高速で首を狩る彼女に恐怖しているプレイヤーは少なくない。


 首を触ると、ウルに色々聞こうとしていたプレイヤーはそそくさと帰っていった。

 

 サクラや孤児院のみんなも帰っていき、今いるのはウルたちとネイアのみになっていった。


 緊張していたが、話し始めないとと思い。


「ね、ネイア様。ありがとうございます。あのままではどうなっていたか。」

「いいのよ。あのままではいつまで経っても終わりはしなかったもの。」


 ネイアはそういうと、ウルに近づくと、よく顔を見る。じっと見られていて目を逸らしたくなったウルであったが、神に見られて目を逸らすわけにもいかず、じっとしていた。


「それで。あなたがアルテミスの友達なんだって?」

「はい。一応友人となっています。」

「一応?友人に一応ってあるのかしら?」

「いえ。友人ではありますが、気安い方ではないので…」

「まあそうね。あまり生意気だったら色々取り上げるところだったわ。」

「え、えへへ。」

「でもあの子じゃなくて私でごめんね。あの子は上級神なの、そう簡単な聖域には存在できないわ。」

「いえ。私もやりがいというか、目標ができました。」

「それにお優しいネイア様がきていただいてくれて嬉しいです。」


 固い笑みを浮かべるウルにネイアは少しウルの性格とやらがわかってきた。


「でも師匠と作った本殿ですが、ネイア様には小さいような気がしますが、大丈夫でしょうか?」


「そんなこと?それなら【体積変化】」


 ネイアが光ると、2mくらいの大きな鹿であったが、50cmの小さな子鹿に変わった。

 デフォルメされていて可愛らしくてウルは撫でたくなったが、諦めた。


「この通りにサイズなんて私にとっては簡単に変えられるわ。」

「凄いですね。大きい仲間ができたらその技ができるんですかね?」

「聖獣以上になればね。ドラゴンなどのモンスターもできるわ。」

「そうなんですか。ドラゴンは見たことないですね。」

「会わないほうがいいでしょ?成竜とかまともなドラゴンじゃないとすぐ攻撃してくるわ。」

「ドラゴンからは逃げることにします。」

「それがいいわ。それでこの神社は何があるのかしら!」


 ネイアとウルたちは神社を見ていく、といっても本殿に拝殿、そして木彫りの狛犬に鳥居しかないが、ゆっくり見て回った。


 自身の休む場所となる本殿を丁寧に見て回ると頷いた。

「いい神社じゃない!よく作れたわね。」

「はい。師匠と共に作れましたから。」

「そうね。その師匠とやらはとても腕が立つ職人ね。」

「ありがとうございます。それで何か足りないものがあったらいってください。」

「そうね。気になったら言うわ。」

「そのうちあの子が来るかもしれないわね。この調子で頑張っていくと。」

「そうなんですか?その場合はネイア様はここから居なくなるんですか?」

「あら?心配?」

「もちろんです。もう私にとっては大事な神様ですから。」

「ふふ。いい子ね。でもそれは心配要らないわ。本殿の近くに私の家を作ってくれたらそこに住むわ。」

「一緒には住まないんですか?」

「あの子と言ってるけど、私からしても格の違う神様よ?そんな不敬はできないわ!」

「そ、そうですね。私もいくら偉くなってもアルテミス様に気安くできないです。」

「それでいいの。」


 ネイアからこのまま頑張っていけばアルテミスがここに住めるようになると言われてほっときた。そしてその時にネイアが去っていかないのに心の中で安堵していた。


 その事を知ってか知らずか、少し頬を緩ませたネイアはこれからの話をしていく。


「それでウル。あなたは巫女の仕事や出来ることはどれだけ知っているの?」

「お仕事については何も知らないです。出来ることといっても舞と歌、結界ですか?」

「いい?その舞と歌は副産物、結界は攻撃手段に疎い巫女が自身を守るために出来たもの。一番の力は神様の力を行使できるの。」

「神様ですか?もしかしてアルテミス様も?」

「できるかもね。その代わり上位神など身体に入れてどれだけペナルティーがあるかわからないけど。」

「こ、怖いですね。」

「当たり前でしょ。巫女がこの世界を統べれるじゃない。アルテミス様の力を使ってみなさいよ。世界中のすべてのものが的になり、矢を打ったら標的が死ぬわ。」

「す、すごいですね。そんな力が。」

「まあこの世界でそんなの使えっこないけど、今なら私の力のほんの少しだけ使えるわね。」

「そうなんですか?ネイア様の力って。」

「早くなるわ。とても」

「なるほど…」

「あなた、あんまり要らないって思ってない?」

「思ってないです。どれくらい早くなるんだろうって思ってたんで。私の友達にすごく早い子がいるので。」


「まあその子よりは早くなるわ。早くなっても逃げるようだけどね。」

 自慢の足を見せながら、笑みを浮かべるのだった。


 拝殿の前に移動したウルたち、ウルの手には神楽鈴を持っていた。その理由は先ほどの仕事についてだ。


「そういえば私のお仕事ってなんですか?」

「ええそうね。簡単なことであり、そしてあなたしかできないこと。」


「神楽舞を舞って頂戴。」


 ネイアが言うにはこの世界は汚れすぎている。神社であっても少しずつ汚れていくのだ。


 そしてネイアを含めて神獣や神というのは穢れには弱い。じわじわと身体を蝕んでいくのだ。


 そこで巫女の神楽舞だ。神社と一体化している巫女の神楽舞は聖域を浄化し、神に入ってきた穢れを祓う。

 舞をサボると聖域が汚れ、神が穢れ、そして神社として存在できなくなる。

 そのため神楽舞というのはネイアがウルに与える仕事だというのだ。


 ウルも反論はない。神楽舞を舞うことに面倒など思ったことがない。むしろモンスター退治など言われたほうが余程厄介だったので安心した。


 しかし、ウルにも学校での出来事や、ゲームができない日もあるのだ。

 その事を伝えると、数日なら子供達の舞でも賄えると、さらに長くなるのなら何かの措置が必要になるが、今のウルには予定がないので後でマリーなどに聞くことにした。


 ウルはゆっくり舞の準備を始めると。


「それではネイア様。神楽舞でいいんですよね?」

「ええ。素晴らしい舞を見せて頂戴。」

「はい。私の全力をお見せします。」





「ウルの舞は綺麗ね。」

「ありがとうございます。ミスなく舞えてよかったです。」

「ええ、あなたの舞はとっても丁寧だわ。私たち神を思ってくれているのはわかるわ。」

「はい。神様を思って舞ってはいます。」

「それを大事にして頂戴。私たち神は一部心眼であなたたちの心は簡単に読めちゃうから。」

「そうなんですか?」

「そう。だから心のこもってない、私利私欲の人には手を貸さないわ。まあもっとも、いい子にも少しお手伝いをするくらいだけね。」

「そうなんですね。でも神様の手助けってだけで凄い気がします。」

「ウルってそう言ってるけど。別に私たちに求める願いはないでしょ?」

「え?そ、そうですね。私はゆっくりここで皆さんと楽しむのが一番ですから。」


「へぇー。そう。」


「だからアルテミスもあなたに寵愛をあげたのかもね。」

「えっと、それは?」


「内緒!でもその気持ちはずっと大事にしておいたほうがいいわ。巫女にも関係するし。」


 そういうと、ネイアは本殿で休むと戻っていった。

 ウルは神楽舞をすること以外は好きにしたらいいと言われたので、牧場のほうへ行った。


 牧場ではジャックがリーダ-になり、孤児院の弟たちに指示をしながらせっせと牛たちの世話をしていた。牛はまだ二頭しかいないため、少し手持ち無沙汰だと言っていた。

 今度みんなと話し合って牛を増やすか、農場を作ることにしようかとウルは考えていた。


 牧場は大丈夫そうだと思って、ホームに帰るところでメッセージが届いた。差出人は運営であり、第二回イベントのお知らせだ。


【南の島で楽しいバカンスを楽しもう!】




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