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犬飼さんは目立ちます!!  作者: 猫踏み三年
第三章 牧場と神事で目立ちます!

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11話 錫杖

 途方もない量の丸太のとなり、そこにまた途方もない銅や石ころ、鉄鉱石が溢れている。

 まるで掃除ができない人のゴミ屋敷のような場所だったが。それももうすぐ終わる。


 これからウルは建築をしようと思っているのだ。



 そうはうまくいかない。建物などアシストがあったとしてもどう作るのかすら見当もつかないのだ。当然だろう、ゲームでもほのぼのゲームしかやったことがない人で、生産など料理しかしたことがなかったウル。調合や木工も見よう見まねでどうにかできているのが現状だ。


 ウルは人に頼むことにした。


 オブロンの生産ギルド、その中に相変わらず受付で座っている女性がいた。アミンだ。


「アミンさん。」

「ん?ウルじゃん。またポーションの買い取り?それとも何かあった?」

「そうなんですよ。少し色々聞きたいことがありまして。」


 ウルはゲーム内で、しかもマリーとアミンにはようやくどもることなく話せるようになっていた。それもそのはず、マリーは孤児院の子供に会いに行くときに必ず会話をする。アミンさんは生産の納品ついでに話すことや、困ったことがあったら相談をしているのだ。人見知りで口下手であるウルも、さすがにこの人には話せるようになった。


「アミンさんは錫杖ってわかりますか?」

「うん。わかるけど?錫杖が必要って。ウルは難儀な職業に…って巫女だったね。」

「はい、まずは錫杖を作っておいて、舞の練習をしたいんです。」


「いいけど、鉄鉱石をもっているってことは、鉄で作るんだ。」

「え?マリーさんは錫杖は鉄で作るって。」

「錫で作るから錫杖だよ?まあ鉄のほうが実践で使えるから、来訪者のウルにはそっちを進めたんだろうね。」

「そうなんですか。」


「まあまずは鍛冶の精錬から練習しようか、それで鍛冶スキルをまず上げること。そのあとに色々精錬したもので色々作ってみよう。慣れてから錫杖を作ってみようか。」



 ということで、精錬から始めた。銅鉱石を高温の火で溶かし、不純物を取り除いたものを型に流し込んでインゴットにする。アシストありならウルでもどうにかできる。

 銅の上に鉄があり、まずは銅を全部精錬してレベルを上げることにした。最初はたどたどしく、火は料理で慣れていても炉の炎には耐性がない。


 炎に煽られながら、途中で休憩しながら精錬を続けて1時間後、ようやく鉄の精錬まで終わった。


 鍛冶の部屋から受付まで戻り、アミンさんに

「終わりました。精錬。」

「うんうん、それでいい。まずは鉱石をどうやってインゴットにするか、鉱石の重さや硬さ。それに火の強さについて慣れる。下準備が必要なの。」

「確かに、これを知らずに武器とか作れそうにないですね。アシストアリで簡単になったとしても大事でした。」

「それがわかるなら大丈夫よ。ならまずは剣を作ってみましょう。」

「剣…ですか?私は剣は使わないですけど。」

「インゴットをどうやって武器にするのか、曲げたり伸ばしたりできる剣を最初に作るのよ。私も剣はちょこちょこ作るわ。ストレッチみたいな感じで鍛冶を思い出す時に必ず作るの。」

「そうなんですか。でも作り方がわからないです。」

「剣はうーん、このレシピで。」


 剣のレシピを貰い、読むことでアシストが効くようになる。つまりはアシストをなくしている人は、自分の好きな剣を作れるのだ。完璧な配合と力加減をしていないと、耐性がかなり下がってしまうが。


 ウルはアシストがあるため、インゴットをこの個数を何分か溶かす。溶けた鉄をソードの型に流す。そしてハンマーで塊をゲージが無くなるまでたたき続ける。ゲージが無くなったら両刃をせっせこ研いで完成だ。


 ステータスは器用と力が多いため、何とか形になった。品質は普通で安心した。上手くいかない場合は低品質や最低品質などになることもあるのだ。


 しかし、剣一つ作るのにかなりもたもたしていたことにウルは気づいていた。それを完ぺきにするなどとは思わないが、ある程度は慣れておきたい。


 そのまま今日は錫杖を作らずに剣を作る日にした。一応普通の品質の剣は売れたため帰りにお弁当を買って帰った。


 インしている日は毎回仲間のご飯を作っていたが、今回はくたくたで参っていた。ワン太たちもウルの疲れた顔を見て、ベッドですぐに休ませた。

 少し休んでからみんなとご飯を食べてウルは寝た。次の日はとうとう錫杖を作る。


 レシピはマリーさんからもらっていた。上が鉄で下は硬い木で作ることにした。


 錫杖は剣と違い、細かいディテールがあり、丸いものをどうやって作るのだと、ウルは考えていた。


 しかし、アシストというのはありがたいことであった。

 本来なら途方もない作業を必要としているが、それすら省くのだ。


 鉄のインゴットと硬い木の棒を用意していれば、さくさくと順序よく進んでいく。

 何度も火で柔らかくして、整えることもない、ぐにゃりと曲がる鉄にウルはあわあわとしたほどだった。


 頭の中が混乱していたが、それより作り終えることが重要だとウルはしっかり意識を保ち、作り上げた。


 錫杖頭ができ、整えた木の棒を突き刺し完成した。


 しゃらん!軽く振るうとリングの音が鳴り響いた。

 完成した。歓喜の感情がウルを包んだ。

 ようやく作れたのだ。


【巫女の錫杖】品質:普通

 巫女の舞に必要。穢れなき音はモンスターを遠ざけ、人と神に安寧と幸福をもたらす。


 鑑定の結果も錫杖となっており。完成したのだ。









「しっかりやれて偉いね。神社のほうも私に任せなよ。」


 入口でアミンがそう呟いた。ウルには当然聞こえていなかったが。




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