3話 ステータス設定
ゲームを開始したら綺麗な青空に一面の花畑に私がいた。息を吸うと美味しいと思うほど綺麗な自然に心を奪われてしまっていた。そのことをずっと見ている人が居たのに。
綺麗と言う言葉が出かかった。実際に綺麗だから出てもよかったのだ。出せなかったのは想定より綺麗過ぎたためだった。尋常ならざるほど美しい顔、緑の綺麗な絹の様な髪に抜群のプロポーション、美の女神と言われたら今後はこの女性を言うだろう。それほどの綺麗な女性だった。
女神とおもしき女性が口を動かした。
「初めまして、異界の勇者様。私はこの世界の女神の一柱 アルテミスです。」
綺麗な声だった、それしか感想が出なかった。凛自体も綺麗な顔である上に友人は皆美少女や美人であったが、それ以上の美しさについ目を奪われてしまったのだ。話しかけられていることを忘れそうになってしまったが、待たせるのはまずいと
「い、犬飼凛です!ワンちゃんの犬に、飼う飼育するの飼うに凛々しいの凛です!」
あわわと一気に話してしまった。テンパった時に凛は一気に話すか逆に何も話さないなどしてしまうが、今回は前者だった様だ。
「いい挨拶をありがとう凛、でもあなたの本名は言ったらダメでしょう?」
「へ?」
そうだったのかと赤面をしてしまった。無理もない、凛は家庭用の個人ゲームしかしておらず、オンラインゲームはほぼ初めてだったのだ。毎回プレイヤー名は分かりやすく凛にしているので間違えてしまったのだ。
「あわわ」
ついぶりっ子の様な声が出てしまったが、ミスはしてもそれからの返しでコミュニケーションは盛り返せるのも事実。
先ほどから女神の前にピカピカ光る白いボードが見えているため、話題を転換することにした。
「これってなんですか?女神様」
「アルテミスでいいですよ?こちらはあちらへ行くためにあなたの個を確定させるボードです。名前や種族、スキルなども選べますよ。」
プロフィール設定みたいな物だろう、種族も選べるらしく、少し考えてみることにした。
名前はうーん、凛の名前をもじろうとしても、全く名前を違うものにしようとしても、初めての経験で全く浮かばなかった。後でにしようとまずは種族を設定することにした。
種族はまず五種類あり、それから進化をするみたいである程度種族ごとに個人差
があるみたいだった。
【人族】・・・一番多く進化の先も多岐にわたる種族。ステータスも平均で迷ったら選択した方が良い。
【エルフ族】・・・森の民、自然に愛され器用さと魔力に定評がある。美形
【ドワーフ族】・・・小さく力強い種族、火と土の精霊に好かれ生産と槌に適性がある。
【獣人族】・・・獣の力を持つ種族。獣の種類によって得意不得意が分かれる。
【魔人族】・・・魔力を適応した戦闘に適した種族。進化をしたらモンスターになるかも?
それぞれステータスも異なり、人族は全てのステータスに10ポイント割り振られており、エルフは魔力や器用さに振られている。
ステータスは全部で8個あり
HP・・・体力の総量、0になると倒れ最後に訪れた教会へ移動する。
MP・・・魔力の総量、0になると全回復するまで魔法が使えなくなる。
攻撃・・・物理ダメージの値、高ければ相手に与えるダメージが増える。
防御・・・物理防御の値、高ければ食らうダメージが減る。
魔力・・・魔法攻撃の値、高い場合は魔法ダメージが増える。
精神・・・精神抗体の値、魔法ダメージと状態異常の確率低下。
器用・・・器用さの値、攻撃のクリティカル率の向上と生産にプラス。
素早さ・・・素早さの値、高いほど行動のすべてが早くなる。
幸運・・・幸運値、クリティカルと生産での良いものが出る確率が増える。
となっており、
エルフでいうと
HP・・・30
MP・・・15
攻撃・・・5
防御・・・5
魔力・・・15
精神・・・15
器用・・・15
素早さ・・・10
幸運・・・5
うーん、戦闘はあまり好きではないから魔人属性はNGで、ドワーフもあんまり見た目がやだ。人族はゲームに入った感じがしないし。クラスメイトにバレたくないからやめよう。
(逆に美形にしたらバレないかもしれない!)
エルフに決定した。
見た目も変更できるため、クラスメイトからバレない様に大きく変化させた。
ぼさぼさの黒髪ロングは金色のショートカット、顔は目元はきれいな二重に瞳は藍色に。実生活では無駄だと思っていた大きなバストはBカップ程度にした。持ち前の170cmの高身長も相まってモデルのようなキャラクターができた。
軽く身体を動かしたら髪も楽ちんだし胸の重さもなく凛は喜んだが。
「う、なんか友達にさらにばれたく無くなったよ。」
次にスキル設定だが、アルテミス様に色々聞いてみることにした。
「アルテミス様、スキルについて注意点とかありますか?」
「何個かありますね。一つ目に武器スキルと言われるものは必ず一つは獲得すること。」
武器スキルというのは剣や槍など手に持って敵を倒すスキルのこと、破邪の力を手にしたのに敵を倒さないスキル構成はNGらしい。
「二つ目に初期スキルとして10個選べるけど、ここで全部決めないといけないわ。後で選べることはできないのよ」
「三つ目にスキルは全て有効なものでダメなスキルはないから最後まで愛してほしいことね。」
ウインクをしてそう言ってくれて、少しどきりとしたけど早速選ぶことにした。
武器スキルは近接や遠距離を含めて色々あった。王道の剣もあるし、変なもので言うとプロレスだったり鞭スキルもあった。
敵対したモンスターと相対した時を想像してこれは無理あれは無理と消去法をした結果
(鞭か弓?二択でこれかー。)
鞭スキルは中遠距離の物理で拘束もできる万能と説明に書いてあるが。
(自分にぶつかったら痛そう)
という考えで弓スキルにした。その上弓も上手く扱えるか怖かったため拘束に罠スキル、敵から逃げれる様に探知スキルに消音スキルと気配遮断スキルにした。
生産スキルも楽しみたいので弓スキルに対応した木工スキルに細工スキルも役に立つだろうと決め、ファンタジー定番の鑑定スキルも選択した、矢と言えば読書家である凛は毒矢を想起したため調薬も選んでおいた。
ソロ前提であるが、遠距離と拘束で逃げて倒すという暗殺者というか、猟師みたいなスキル設定になった。
【弓】【罠】【採集】【細工】【木工】【鑑定】【調薬】【探知】【消音】【気配遮断】
(エルフで猟師、採取もあるから薬師でもあるから本当のエルフっぽいかも!)
ラノベも読む凛は異世界エルフに自分が寄っていて少し楽しい気持ちになっていた。
最後は名前を決めるだけ、悩んでいたのが嘘の様にサラッと決めた。
ボードにはウルと打ち込んだ
語感が可愛いし狩猟の神らしい、大昔に神様とか気になって調べていたけど助かった。
全ての設定を終え、アルテミスに向いてこれで大丈夫ですよと言ったら少し首を
傾けて
「ウル?このスキルで大丈夫ですか?」
「私が考えて選んだので大丈夫です!」
こうも言い切られてしまってはこれ以上アドバイスはできない、スキルの設定はヒントをあげるなと創造神からも言われており。諦めた。
「困ったことがあったら町の人に頼りなさい、あなたの手助けにきっとなってくれます。」
最後にアルテミスはそう残して花畑と共に薄れていく、アルテミスにはもうきっと会えないのだろうと悲しさがありながらも最後まで優しいアルテミスにお別れの挨拶をした。
「この世界をどうぞ楽しんでくださいね。貴方が幸せにありますように。」
「楽しみます!」
世界が消えて凛、改めてウルは始まりの町に着いた。目の前は大きな噴水で周りには住民と思われる人たちしかいなかった。
「こういうゲームってチュートリアルとかないんですか!」
ぼそっと不満を口にした。
名前【ウル】レベル:1
種族【エルフ】
ステータス
HP・・・30
MP・・・15
攻撃・・・5
防御・・・5
魔力・・・15
精神・・・15
器用・・・15
素早さ・・・10
幸運・・・5
SP・・・0
BP・・・0
装備
頭:なし
外套:なし
上下:布の服
手:なし
靴:布の靴
アクセサリー1:なし
スキル【弓】【罠】【採集】【細工】【木工】【鑑定】【調薬】【探知】【消音】【気配遮断】
称号 来訪者 アルテミスの加護




