8話 ゴブリン軍隊を倒せ!
ジャンヌ視点
ゲームというのは様々なジャンルがあるが、ジャンヌが好きなものはアクションと恋愛ゲーム。特にアクションは爽快で楽しい。逆にタワーディフェンスやターン性のものは苦手だ。お互いの知力でいうならジャンヌはごり押しパワー系で勝てない上にちまちまやるのはストレスだ。
しかし今の状況を考えれば、自分の苦手なゲームをやらざるを得ないのだ。
村前に隊列が出ており、先ほどのウルフとは違うかなり健脚な狼の上に鎧を着ているゴブリンに騎士のようなゴブリン、色々な種類のゴブリンがおり。
さらに中央にはかなり筋肉質で一目でこいつがやばいと感じたものがいた。その名もゴブリンキング、周りには杖を持った綺麗な服を着たゴブリンマジシャンに上質な金属の鎧を着たゴブリンナイトリーダーも居た。
(ああ、こういうのは周りからゆっくり倒していかないと行けないんでしょう?めんどくさいのが嫌いなんだけどね)
さっさとボスと戦いたいと思いながら、このストレスは周りを倒すことで解消することにする。
目の前に居た、ゴブリンナイトを殴り飛ばした。しれっと自分にストレングスアップの魔法と自動回復の魔法をかけておいた。剣でこちらを斬ろうしたのをアイテムボックスに入れておいたメリケンサックを出し、緊急装備スキルで一瞬で指につけ、剣に拳をぶち当てた。
ゴブリンナイトも避けないとは思わなかったのだが、ぎょっとして動きが少し止まった。
その隙をつき、足を掛け転ばしてマウントポジションから連続で殴りつけて一体倒した。
アイテムボックスに入れていた槍をほかのゴブリンナイトにぶん投げ、防具で守られたが、ノックバックをしたゴブリンナイトに飛び膝蹴りをぶち込み、マウントポジションから殴りつけて倒した。
周りもゴブリンナイトの相手をしているが、ジャンヌの暴れっぷりに若干引き気味ではあった。清楚な見た目と相まって、漫画の暴走族みたいななんでもありな戦い方に敵味方含めてびっくりしていた。
武器を投げたり、地面の砂を投げてあの手この手でマウントして10体位を殴り倒すとゴブリンキングが雄たけびを上げた。その声に目の前のゴブリンナイトからオーラが出てきた。
どう変化したんだろうと、ジャンヌは連続で顔をメリケンサックで殴りまくる、ノックバックがあまり起きない上に殴られながらも剣で斬ってきた。
(バーサク?これは意外ときつくなってきたのかも)
ジャンヌとしては余計なことをせず殴り倒せるようにあったし、攻撃をかいくぐるのも楽しいからどんどん倒した。30体倒したところで下がってプレイヤー支援にシフトチェンジした。
(回復魔法は少な目で持続回復と防御力アップがいいかな?)
「みんな支援するから頑張って!【聖女のほほえみ】【ディフェンスアップ】」
さきほどゴブリンナイトに何もさせず剣すら殴り飛ばす悪鬼のような人から慈愛の笑みを浮かべられ支援を受けた人たちは
(可愛いけど、さきほどとの違いに風邪ひきそう)
と思った。
戦闘は中盤戦になり、騎馬隊は全員タンクと槍ジョブたちに倒されていた。騎士は半数以上減り、弓兵と魔法使いゴブリンは弓使いと魔法使いジョブとの真剣勝負に負け全滅していた。
残りは中央付近にいるゴブリンキングを含めた小隊のみであった。プレイヤー側は3割がデスペナになり、レベルが15以下はほとんど町へ戻ってしまっていた。
終盤戦の合図は2メートル強のロングソードを持ったゴブリンキングの咆哮からだった。
「グオォォォォォォォ!!!」
耳をふさぎたくなる咆哮ののちにさらに手下のゴブリンに強化が入った。ジャンヌでも簡単に倒せないほどに。
ジャンヌのアイテムボックスにかなりの数入れていた武器はもう使い物にならなくなり、鉄の玉を指弾のように眉間に飛ばしながら支援を続けていた。
プレイヤーはかなりしんどく戦っており、キングが戦いに参戦したら半分は負けるだろうと考えていた。その期待を大きく裏切ったのは大太刀を担ぐあの人の存在だった。
瞬間移動のような速さでゴブリンマジシャンに近づいて通り過ぎたと思ったら、身体に五つの切り傷がついていた。返す刀で首に斬撃を繰り出し、魔法を撃つと思ったときにはもうどこに行ったのかわからなかった。
(さすが伏姫、最強のスピードモンスター。)
伏姫、その名はプレイヤーネームではない。称号というか異名というか、畏怖からついたあだ名のようなものだった。
一撃で首を切り落とし、切り落とされたものが土下座をするように倒されることから伏姫とあだ名がついた。姫は見た目からだが。
伏姫が1分足らずにゴブリンマジシャンを倒し、さらにゴブリンナイトリーダーに攻撃を繰り返している。堅牢な鎧に連続攻撃は効果が薄いのかあまりダメージを与えられない。
(助けに行かないと、あのままでも倒せると思うけど。ゴブリンキングに行ってもらったほうがいいわね。)
そう結論をつけ、伏姫の元へ向かった。伏姫はゴブリンから少し離れたところにいたため簡単に行けた。
「ねえ、サクラちゃん?」
「ん?ジャンヌさん、どうした?」
「あなたはゴブリンキングのほうが得意でしょ?私がナイトリーダーを倒すわよ。」
「あまり切り残しを上げるのは好きじゃない、けどジャンヌならいい。あげる。」
「よかったわ。アーサーが多分もうひとつの場所へ行ってるから倒せるか不安なのよね。スピードアップだけ魔法使っとくわね。」
「ありがたい。スピード以外は無用の産物、もう私の敵はいない。」
そう言い残すともはや誰も見えないスピードでゴブリンキングを切り刻む。キングの攻撃を1繰り出す間に10回攻撃をした上に回避をしている。
(ナイトリーダーが加勢をさせないようにしないと。)
ジャンヌの所持スキルは特殊すぎる、ある種ウルより異色だ。聖女は支援と回復のスペシャリストで後方支援職業というのは全員が感じることだろう。
ジャンヌは苛烈な性格で真正面にぶつかり粉砕する真逆な性格だった。攻撃スキルに攻撃が楽になるスキルがほとんどだった。
(敵はもう大粒しかない、私の敵はナイトリーダーのみ、だったら私は本気出せる。)
「私の名前はジャンヌ!お前も名乗りを上げな!」
「ゴオオブ!!!」
「さて私とタイマンを張ろうか?」
喧嘩名乗りとタイマン勝負のスキルを発動した。名乗りスキルはお互いに名乗りを上げることで攻撃上昇防御ダウンというスキル
タイマン勝負は名乗りをお互いに上げたときにタイマン勝負開始となり、お互いに終わるまでほかのものに攻撃できない。外部からの攻撃は可能という集団戦には向かないスキルだが。
タイマン中は攻撃スキルレベル上昇に攻撃アップにHP超上昇という殴り殴られの空間を作り出す。
早速ジャンヌは鉄の玉を指弾で弾き飛ばした。目に攻撃を加えて、クリティカルになり行動を止めた。
(まずはその堅牢な鎧をぶち壊す。)
腰付近にタックルをかまし、ナイトリーダーを倒した。ストレングスアップを加えた拳で鎧を何度もぶん殴る。すぐにナイトリーダーが剣を振り回しジャンヌは離れた。
ナイトリーダーは剣を上で構え目元の攻撃に対応してきた。
だがそれでジャンヌを攻略できたとは言えない、なぜならジャンヌは攻撃スキル数に関してはプレイヤー1なのだ。
気功術の一つ。八勁
ジャンヌが繰り出した寸勁のような攻撃でナイトリーダーを吹き飛ばし。鎧内にも通じる気功の技はしっかりとしたダメージを生み出した。
そのまま吹き飛んで寝ころんだナイトリーダー。その上にプロレススキルの一つ、ニードロップを繰り出した。
そのままマウントで殴り続けた。その結果、胴体の鎧が壊れた。
その後、胴体を攻撃したら身体は弱点だったのか。そのまま何事もなく倒せた。ジャンヌが倒すより早くサクラがキングを倒していた。ソロで
ゴブリンを全部倒せたのか、空間が割れ元の草原に戻ってこれた。もう一つのほうはアーサーがいたのか先に倒せていた。
(ウルはアーサーのほうにいったかしらね?でもメッセージが何も来ていないから、参加していないのかも?)
《イベント特殊モンスター【ドッペルゲンガー】を倒しました。今後のストーリーに変化が訪れます》
急なアナウンス、周りのプレイヤーが騒ぎ出しているが。アーサーがやったのだろうとアーサーの周りにどんどん集まっている。しかし違うとすぐにわかり騒ぎが広がっていった。
誰がやったんだろうと思ったら、ジャンヌのもとにメッセージが届いた。
【ジャンヌさん!!穴を掘ったら魔族を倒しました!!】
何をやっているのかしら。あの子は。早速場所を聞き出して向かうことにした。




