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犬飼さんは目立ちます!!  作者: 猫踏み三年
第1章 犬飼さんは目立ちます!
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第11話 子供を救う、そして目立つ

「ふっふーん。ちょこちょこ子供たちも見かけるし、治ったんだー」


 ウルは少し活気が戻った町に少しウキウキになり、孤児院に向かうことにした。

「ふっふーん。ちょこちょこ子供たちも見かけるし、治ったんだー」


 ウルは少し活気が戻った町に少しウキウキになり、孤児院に向かうことにした。


 孤児院にはお金がないだろうけど、今回のこともあり、ちょっとしたポーションや風邪薬の薬箱をあげることにしたのだ。


 孤児院だけ風邪が引いても相談しづらいだろうしね


 小さい箱にポーション三つ入る穴をあけて立てられるようにしており、動かしてもポーション瓶が割れないように工夫をしたのだ。


(アミンさんが訓練の時に使ってくれた薬箱を完全にまねしただけだけど)


 スキルは自分で作ったものが一番楽に作れるが、見たことがあるものも作りやすくなるのである。


 そうこう活気づいた町を歩きながら孤児院についたが、なんだかおかしい。


「わーん、わーん」

「あなたたち、落ち着きなさい」


 子供たちが大泣きしており、マリーさんもいつもの余裕がないほどに慌てて子供をあやしている。


「ど、どうしたんですか?」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なあ俺たちのチビも風邪引いているんだ、いつ風邪薬が来るんだよ!」

「そうよそうよ、もうほとんどの人が治って外を歩いているわ!」


「まだ治っていない人もいます、それに薬を飲まなくても治ります。」

「薬は飲んだら治るんだ、自然治癒は治るかもしれないだろ!俺たちが孤児だからって死んでもいいってか!」


 バチン!マリーが思い切り男の子を叩いた。


「滅多なことを言わないで、あなたたちが幸せになってほしいと毎日願ってるのよ。」

「あなたは責任感が強くていい子でこれからが楽しみだし、風邪に臥せているあの子も学習意欲が高く、将来は司書なるかもと楽しみにしているの」


「だったら!なんで」


「まだ150人患者がいるわ、まだまだ治っている人がいないの。それに私が回復魔法が使えるから今すぐにあの子は死なない、それなのに治っていない人たちを置いて嘆願するわけにはいかないの」


「俺が行く、材料をたくさん取って薬を151人分作ってもらうんだ」

「私も行くわ!二人でカバンを持てば行けるに決まっている!」


「だめよ!!妻がオブロン風邪に罹った愛妻家のグレンさんも林でゴブリンにけがを負わされたわ。それにそれより強いオークもいるもの!あなたたちにはシカもイノシシも倒せないでしょう!」


 グレンは農家で孤児院の子たちにたらふく食べろと作物をくれるいいおじさんだった。丸太のような腕に子供たちはあの人ならオークも倒せるだろうと話に出るほど強くてかっこいい人がけがをしたのだった。


「黙ってチビが死ぬのを待っているなら、チビと俺が生きるかもしれないほうに賭ける」

「町からの薬を待っていて、この子が亡くなったら、林で死んだほうがましと思うわ。ごめんなさい」


 男女は思い切り走った。マリーの待ちなさいという声を聴かないように。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それでこうなっているんですね。」

「おねえちゃん、助けてよ」

「冒険者は強いんだろ?」


「あなたたち、虫がいい話をするんじゃないの。それでウルさんはここへどんな用事を?」


「一応これを、薬箱といってポーションとかオブロン風邪にも効くものが入っています。」


 薬箱をマリーさんに渡したが、


「これは町の人たちに渡してください、町が病に臥せているのに、私たちだけ救われても困ります。」


 あくまで受け取らないマリーさんと子供たちはどうしても欲しいと懇願してこちらを見ている、私はこの時に演技をすることにした。物語のヒーローのような、町を守る衛兵のような、人を癒す聖女のような。演じることにした。


「マリーさん、大丈夫ですよ。町の病気はきれいさっぱりなくなりますから。」

「え??」

「私、言いませんでしたけど、オークもゴブリンも倒せるんですよ?簡単に」


 あっけらかんとウソを言うが、その顔に冗談は見えなかった。


「あの子たちを連れ戻してきますから。私の大好きな孤児院に戻ってくださいね。」


 まるで熟練の大工が家を作るように、すごい冒険者がドラゴンを倒すように。


 あくまで家に帰るようにさらっと林に行って、子供を救って薬を作るというのだ。


 マリーは何も言えなかった。嘘をついているだろうと思ったが、あの自信につい身を任せてしまった。


 ホームに帰ってきたウルは、


「ワン太、オークを倒すよ。」

「ワン。」


 やっとか、ようやくやる気がでたのかとやれやれ顔をしながら立ち上がった。

 早速ワン太を連れて倒す準備を整えて行く。


(さっきは私の好きな恋愛ゲームの男の子の真似をしたけど、ドキドキが止まらなかった。)


 RPというものがあることは知っていたが、私がそれをするとは思えず、嘘くさい演技になってしまったが、一応成功したとほっとした。


(そうじゃないと、マリーさんに押し負けてあの子たちが死んでしまうかもしれないからね)


 一応秘策があるためホームのボックスから色々整理して林へ走って向かった。


 途中に出てくるゴブリンは帰りに邪魔になるかもと精密射撃でどんどん倒していった。


(ゴブリンにビビっていたら、あの子たちを助けられない)

 臆病な心を持っていたが、ゲームの世界で私はヒーローと思い込みながら進んでいった。

 近場にもいないため魔力草が生えている奥にいると考え、湖に向かうことにした。


 湖に近づいていくうちに声が聞こえる


「やめろ!!俺が相手だ」

「きゃーーー」


 人の悲鳴、そして


「ゴブッ!」


 周りを楽しそうに囲んでいるゴブリン4体


 無事だった、無事なのはあと少しで二人は殺されるだろう、許すわけがなかった。その怒りの矢がゴブリンを一撃で倒した。


 ゴブリンと二人は回りをきょろきょろ探している、いつでも殺せる子供より、私の存在が重要なのだろう。


「ワン太、あなたはかく乱して、キックもしていいから。私が一体一体倒す。」


 小声でそう伝えたらさくっと林の中へ入っていった。


 探しても見つからないので注意は子供たちへ向かった瞬間にワン太が木の間から飛び蹴りをゴブリンに食らわした。


 ダメージはあるが倒せてはいないが、ワン太もすぐその場から離れて草むらへ隠れた。その好きに二体目へ精密射撃をして倒した。


「あれ、あの子ワン太じゃない?白いし」

「ということはウルさんが来ているのか?助かったんだよな」


 希望が見えた子供たちだが、まだ安全ではない、遠くから暗殺のごとく倒すことしかしていないウルにとって今回は初挑戦の正面衝突だ。

 いつまでも私たちにターゲットを割かないで急に子供たちへ行く可能性もあって、それが怖かったのだ。


「あなたたちは私の後ろに来なさい」


 私は正体を見せながらそう言った。ゴブリンは子供たちよりこちらがターゲットになり、子供たちと私の間のゴブリンを倒したためそのまま子供たちはこちらへ走ってこれた。


 邪魔にならないように私の少し後ろに隠れて居る子たちにほっとして精密射撃で一体を倒した、そのままゴブリンはやぶれかぶれのようにこちらへ走ってきた。

 そのゴブリンには通常の矢を二回当てたが、アーツを使っていないため倒すことはできなかった。近距離へ来た。


(こういうことなら短剣とか持っておくべきかも)


 矢を矢筒にしまい、ゴブリンが向かってくるのを待っていたが、とびかかるようにこちらへ来たので、それを横に避けた。

 ゴブリンはもう一度こちらへとびかかろうとしていたが、それが達成されることなくそのまま倒れた。


 回避と同時に矢筒から矢を取り出し、次の攻撃前には撃っていたのだ。


(よかった、ずっと訓練をしていたから顔は無理でも体には当てられる。)


「さすがウルさん、かっこいい」

「ワン太も強いぞ。」


 ようやく生きた心地がしたのか、話が少しずつ増えてきた。


「何も準備しないで危険なところへ行くのは勇気じゃないよ?さあ帰ろう」


「でも俺が取らないと、こうでもしないとチビがしんじゃうんだ。」

「まだ薬草が全部とれていない、帰れないよ。」


「マリーさんも心配している、私が薬草を取ってくるから安心して。」

「なんでウルさんは俺たちに優しくする、町のみんなは差別はしないけど、優しくしてもらったことない。」

「来訪者のみんなも、クエストだから来るけど、すぐ帰っちゃうし。適当に遊んで帰っちゃうもん。」


 少し考えたが、私が孤児院の子供たちにやさしくする理由、そんなの


「困った人、それも子供を助けたいだけ。それが孤児院の子でも貴族の子でも関係ないんだと思う。」

「なんだよそれ、こどもがすきなのか」


「うん、優しくて思ったことを言ってくれるから好き。遊んだら楽しいなら笑う、つまんないなら詰まんないというから好き。」

「あなたたちもチビが好きだからここへ来たんだよね?私も孤児院の子はいい子たちだからここへ助けに来たんだ。」


 少し顔を赤くした男の子はお礼の言葉を言おうとしたところ


「ブモー!!!」


 大きなオークが先ほどの戦闘の音を聞きつけて来た。


「あなたたちは少し後ろで隠れていて。」

「でもゴブリンでもあれくらいきつそうだったのに」

「大丈夫なの?」


「オークはもう倒せる。」自信満々にそう答えた。


 オークに正面を取って、ウルはアーツを唱えながらアイテムバックから黄色い矢を取り出した


【麻痺の矢】相手に攻撃を当てた時に麻痺状態にすることがある。


 この矢を撃つ。状態異常で何もさせずに倒すのだ。


 麻痺矢を撃ったら、オークの動きが鈍る、さらに麻痺矢を2本打ったところで完全に動かなくなった。


 さらに毒の矢を撃ち、毒状態にして頭部を弓で撃ち続けて15本を撃ったところで倒せた。


(え?林は行かないほうが良いのかな?オーク一体でこれだけ強いのね)


「ウルさんーー」

「お姉ちゃんすごい!!」


 二人が抱き着いてきてびっくりしたが、怖かったのだろう、落ち着くように撫でた。


「でもオークがまた来るかもしれないから帰ろうね。」

「「はい!」」


 帰り道はゴブリンを倒していたためいなかった。


 北門についたときに少し騒がしかった。

 衛兵とマリーさんと子供たちがいたのだ。あちらもこちらが無事だとわかったのか、歓声が沸いた。


 三人で走ってマリーさんのもとへ向かった。


「「ごめんなさい」」

 あくまでチビを助けるため、でもしてはいけないことをしていたため、衛兵さんとマリーさんに怒られていた。


 衛兵の一人がこちらへ向かってきた

「あなたはウルさん?いやー本当にマリーさんが泣きながら子供を連れてきたときはどうしたことかと思ったけど、よかったよかった」

「最近林にはオークもいるらしいからさ?正直気が気ではなかったよ。」

 やはり危険地帯になっているのだろうか?矢もあまり効かないのできつかったとつい口にすると

「いやあんた?初心者の弱い弓に木の矢だろ?それに防具もおざなりときた。それは弱いだろ」


「ええーーーー!!そうなんですか?」

 ウルの頓珍漢な返答に大笑いして衛兵が

「当たり前だろ?防具にもスキルがあるんだからな?重量軽減にガードスキル向上にスタミナ軽減とかあるんだぜ?」


 おいおいどうしたとほかの衛兵が集まると私のポンコツエピソードに大笑いが起きた。子供が何を話しているのかこちらへ来たり、プレイヤーが遠目でこちらを見ていたり。


 目立ちすぎているみたいで居心地が悪いが、逃げるほど空気が読めないわけではないため30分ほどこの空気のまま衛兵さんにいろいろ教えてもらっていた。


 すごくありがたい、ありがたいのだが


(私は目立ちたくない!!)


 声に出せない言葉が、脳内にずっと響くのであった。



 第一章は以上になります。この後に蛇足として掲示板があります。第二章は未定となっていますが、第五章くらいまでは考えているのでしばらくお待ちください!

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― 新着の感想 ―
誤字報告ではテキストを空にする報告が出来なかったのでここに書きます。 後半全く同じ文章2回になってしまっています。
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