第9話 ウルの舞
今か今かと他のプレイヤー達がかなりカリカリしており、遠くでちらりと見たウルですらその熱量にドギマギをしながらサクラと話して緊張を解いていく。
「サクラちゃんも戦いに行きたくなったら言ってね。」
「うーちゃんは変なこと言う。私が消えて舞が出来る?」
「できなくはー。でも怖いかも。」
「そう。イベントで目立つと変なプレイヤーに絡まれる。牛乳を卸した時も面倒だった。」
「ブロック機能があることがわかったから今はなんとかなったけど。ってそろそろ時間だね。」
目の前に透明な画面に
【王都解放戦 八玉襲来!】とタイトル名が現れ、イベントの内容が書いてあった。
どうやら王都は魔族の魔法により時が止まっているようであり、それを解放しない限りは王都へ行くことができない。
それを解放するためにこのフィールド上にある巨大な魔石と、そこに居る魔族を倒すことで魔法を解くことが目的らしい。
それに今回は本格的に八玉と戦うみたいであり、名前は伏せられているがシルエットがあり、ウルが見たことある八玉ではなかった。
イベント開始直後には戦闘職のみんなはどんどん先へ進んだり、パーティー単位で軽く話し合いをしている。
ウル達はというと。
「それでは舞をします。同時にやらないといけないなどはありません。各々しっかりと恥ずかしがらずにやりましょう。」
レリアの軽い挨拶に皆が頷くと、早速各々いろいろな者で舞っていく。
一番多いのは木の杖である。魔法を使えるため舞の効果は薄れるがバランスが良いとのこと。
ウルが神楽鈴を取り出すと、レリアが見せて欲しいとせがんできたため渡すと、しゃらんと鳴らしながら喜んでいるため、しばらくはそっとしておく事にしていた。
落ち着きを取り戻したレリアは顔を赤くしながら鈴を戻してくれたので、ウルも最後尾で舞をする事にした。
周りには大勢の巫女がおり、それぞれが舞をしており、ウルも披露したところで見る人は居ないだろうと本気で舞を披露する。
鹿のお面という点をさて置くと、戦いの舞という最近は忘れないためにたまにやる程度の舞ではあったが、やはり舞ばかりやっているおかげで失敗する事なく舞を披露する。
人の目線など見てしまうとドキッとしてしまうため目を閉じながら舞っていき、一回目が終わった。すると、
「え?な、なんでみんな見ているんですか?」
巫女のみんながウルの方を凝視していた。
一言で言うとレベルが違った。同じ巫女の中でもウルを除いて最高峰なのがレリアであるが、そのレリアだとしてもスキルレベルが低い。それに毎日など舞ってはおらず、戦闘ではオートにしていたりなどしている。
その点ウルは神社を持ち、神獣のために神様のために毎日マニュアルで舞っており。戦闘スキルより舞関係のスキルの方が育っているのだ。
いくらウルがゲームをあまりやってこなかったとしても、運動スキルが一般女子レベルだとしても。ずっと舞を頑張ってきた事実は今他の巫女に感動を与えている。
巫女はバフ職だとさっと舞う、そして回復魔法を使うのが他の人たちであり、それが当然だと思っていた他の巫女にとってここまで綺麗で見ていたい舞など知らなかったのがほとんどだ。
レリアは神事の時に見ていたが、それでも更にレベルアップをしている姿に感動をしている。
ウル自身は全くその事に気づかないため、感動して凝視するみんなに驚いて固まってしまい、変な空間が生まれるのだった。
サクラ達は当然だと特に口を挟む気もなく、感動を終えた皆がウルに凄いと賛辞を送るまでその光景をただただ眺めるのだった。




