9話 孤児院【きぼうのみち】
あれから2日経ったが、まだ鉄鉱石も入手出来ていない上に加工法もわからないので林に行くのは諦めた。しかし、クエストにはお手伝いクエストもあり、それを今回はやってみることにした。クエストの内容は
【子供たちの面倒を見てください 依頼先:孤児院】
孤児院はこの町の東側にある、
孤児院では毎年数十人の子供がおり、冒険者や行商人、町の人たちが魔物に襲われて亡くなることは少なくない。両親が亡くなった子供達がここに来るのだ。
【子供は未来である】とこの町の貴族は孤児院を作り、保護をしている。住民は最初、働かない子供たちに自分たちの税を多く使われることにあまり良い顔をしなかった、そのため町の掃除などの活動を経て受け入れられた。
しかし、あくまで運営に足りるものしか援助はないため、人員不足はいつも起きているためたびたび冒険ギルドに頼るのである。
孤児院【きぼうのみち】名前の由来はどんな道でも努力で進んで自分の人生を生きてほしいという初代の院長の気持ちから名付けられ、今も続いている。
「ごめんくださーい」
「お姉ちゃんどうしたの?ここに何か用?」
「おねえさんきれい」
「あ、わかった。クエストってやつでしょ」
矢継ぎ早に質問され、周りに子供たちがぎゅうぎゅうに集まった。ウルは同世代とは会話が苦手になるが、子供相手だと純粋無垢な性格に当てられてこちらも会話が進む。
「今回クエストに来たの。マリーさんはいるかな。」
そう答えると最初に質問してきた男の子がちょっと待ってて、と言い残し孤児院の中に入っていった。
しばらく子供たちの質問に答えて行くと男の子が若い女性を連れてきた。
シスターの制服を着ている綺麗な女性で、清廉そうな見た目と理知的な目をしており、意思の強さを感じた。
「あら、あなたが子供たちの面倒をみてくださるの?お若いのに優しいのね。」
「こどもは好きですからね。」
「ならさっそく庭でいっぱい遊んでくださる?その間にお掃除と買い物をしたいの。」
少し気になったことを尋ねてみることにした。
「掃除ってクリーンでできないんですか?できたら少しは楽になりますよね。」
「あら、あまり生活魔法を知らないのね。クリーンはあくまで自分のみ、聖魔法のエリアクリーンや浄化を使わないといけないけど、そんな子は王都や都市で働くわね。」
なるほど、あくまで自分を対象にしているからできないのか、そのうえに聖魔法というのも知れたので、ここへ来てラッキーだと思った。
そして確認のため
「庭で遊びますけど、遊びの内容は特にないですよね。」
「もちろん、この前の人なんて、トランプを使った手品をやっていたわ。」
「でも、子供に悪影響がでるものはだめよ?」
そんなことはしないが、念を押すためにマリーは言ったのだろう。
遊ぶ内容は子供たちの年齢で決めようとしたが、まだ幼稚園くらいの年齢だった。最年長でも11歳のため。幼児向けの遊びをすることにした。
こどもと打ち解ける、そのためにはまずは安心を与えること。難しいことだができないことはない。
歌って踊ることにした。音楽は日本のあんぱんでできたヒーローの歌で踊りながら歌った。あまり聞いたことのない歌のせいか、子供たちはみんな興味を示してこちらへ近づいてきた。
「おねえちゃん、変な踊りー」
「歌もへんてこだ、聞いたことないよ」
「でも楽しい歌だー、僕もおどるー」
「わたしは歌っちゃうー」
「踊りは私が一番よ」
多種多様な踊りを見せてくれて、一気にほのぼのとして楽しくなった。
次にじゃんけん列車をやることにした。列車の説明は難しかったが、負けたら買ったほうの後ろにつくことが分かれば子どもにとって簡単なものですぐに始まった。
負けた子供が駄々をこねたりしたが、年長の子が慰めたが止まらず、凛もてんぱりまくってカバンの中に入っていた薬草を放り出した時に薬草が気になったのか、泣き止んだ。
そこから冒険のことを聞きたくなった子供たちに冒険の話をする羽目になったが。
「弓が変なところに飛ばしてしまった。」「薬草を取っていたらイノシシに轢かれて大けがした。」「自分で仕掛けた罠に引っかかってテイムしている犬に呆れられた。」
などポカの話をしたら大笑いになったが。
「ポーションを作ってギルドに毎回納品している。」「林にあるきれいな湖や雄大な霊峰の話」「イノシシに罠を掛けて倒した話」
など冒険にまつわる話しは男の子を中心に集中して聞いていた。
話しの途中にマリーさんがやってきて、
「掃除と買い物が終わったわ。ありがとうね。」
とクエスト終了を教えてくれたが。子供たちがえーっと総ボイコットしたため、どうしようかと思っていた時に良いことを思い出した。
「クエストは終わったからギルドに戻るけど、すぐ戻ってくるから。」
と惜しまれながらも一度ギルドへ行き、達成報酬を貰った後に自宅でゆっくりしているワン太に
「あなたの初仕事、やる?」「ワン」
やる気にみなぎっているワン太を連れて孤児院に戻った。
「わー、わんちゃんだ。」
「テイムモンスターなんだよ、人は襲わないんだって。」
「でもこいつなら俺でも…っていたいからごめんって。」
一人、犬に軽く蹴られているが概ね好印象を持っている。やはり動物は可愛くて人気が出るよね
と黄昏ながら子供たちを見ていると
「いいの?もう終わったけど。」
「はい、子供に会いに来ただけですから。」
「あなたのやさしさを神も見ているでしょうね。」
神を知っている手前、アルテミス様に見られているとなると恥ずかしいと思うけど、褒めてくれたのは嬉しいのでそのままジト目でたびたびこちらを見るワン太を後で怖いなと思いつつ過ごしていた。
その中で一人、地面にしゃがみながらずっと動かない男の子を見つけて、マリーさんに
「あの子は、じっとするのが好きなんですか?」
「ううん、もっと活発だけど、ちょっと疲れたのかしらね。」
慣れない私たちに体力を使ったのだろう、私も学校の委員会では一言も発言をしていないが、図っと話していたかのような疲労を感じるため、それと同じだろう。
「はいはい、もうたくさん遊んだでしょう。もうご飯の時間ですし、ずっとウルさんをここに居てもらうのも大変でしょう。」
マリーさんの一言ですぐ手洗いうがいのために井戸へ全員の子供たちが行った。
「ゴホッゴホッ」
先ほど座っていた子が咳をしていたのが気になったが、風邪薬も病気の知識がない上にマリーさんがどうにかするだろうと自宅に帰ることにした。
「いたい、痛いって! え?モンスターを倒すかと思った?私たちではまだ無理だよー」
ワン太には怒られた。けど楽しい一日だった。




