1話 犬飼さんは話したい!
VRMMOの作品をよく読んでいるので自分で作ってみました!
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2200年5月冬の寒さが影を潜め、夏本番の準備のような温かさを感じるころ、公立高校の教室で小説を読んでいる女子高生がいた。
(は、話したいよ~)
犬飼凛 華のJKであるが口下手と身だしなみをまったく整えない容姿も相まってクラス替え後の一か月、話す友達が少ない。
ボッチというわけではないが、自分から話さず、人の話をずーっと聞いているだけであり。数名としか打ち解けられないのだ。 2200年5月春先の涼しさが影を潜め、夏本番のような暑さがたまに感じる日本、東京のとある高校の教室で小説を読んでいる女子高生がいた。
(は、話したいよ~)
犬飼凛、公立高校の女子高生であり、華のJKと呼ばれる年頃であるが。その華は枯れているのかフレッシュさがなく、だらしなく延ばしただけの黒い長髪が綺麗というより邪魔くさいと思われるのが現状である。
中高一貫校で友達は少なからず居たが、不幸だったのが友達がすべて別のクラスに行ってしまったこと、そして友達は凜がクラスで馴染んでいるだろうと自分たちのクラスで楽しんでいることだった。最も友達が心配していたとしても、凛は大丈夫だと答えてしまうのが関の山だが。
口下手と清潔感がない見た目の二つの点でとっつきにくく、せっかく友達になろうと意気込んでる人が凛に話しかけても
「あ、はい。」「う、うん」とすぐ会話を切ってしまうため一人が好きなのだろうと友人はついできなかった。
凛自身本来の見た目はかなり優れており、すらっとした長身にメリハリのある身体に綺麗にしていればみずみずしい綺麗な黒髪が見える。
顔を隠しているため友人と家族しか見れないが、目鼻立ちは整っており、ほとんどの人が美人と答える程度には整っているのだ。
顔とか見た目に寄ってくる男性の邪魔くささは凛の性格では耐えられず、友達が0人になるこの見た目にするのがましと思うほど鬱陶しいこの上なかったのだ。
(友達を作りたい、出来ることなら女性。子供やお年寄りでもいい)
男性を拒否する理由は中学の時の夏休みに友人からお化粧をすると身だしなみをかなり綺麗にされ、そのあとに友達と渋谷で遊んでいたら8回ナンパされ、その中にはしつこい人がいて、それこそ連れ去って後は遊んでやろうと思っている節が見えた。友人の一人が一瞬で男をぼこぼこにしていたから何ともなかったが。
頭の中でもやもやと友達の作り方などを考えて小説にまったく集中できていない、これはダメだと小説は読んだ振りをして脳内で友達の作り方を考えていく。
その中で一つの結論が出た。共通の話題が一番友達ができるだろう。好きな映画や好きなアニメが一緒なだけで少し親近感が得れる、それに嗜好が似ていたらもはや友人だろうと。
(ほかの人の趣味をまず知らないといけないから、まずは聞き耳を立てないと)
クラスメイトは彼氏や彼女の話、部活動の話、アニメの話などいろいろな会話をしており、無趣味というより、小説と料理が趣味の凛とはまったく違うと少し寂しさを感じていた。
その中でゲーマーと言われる人たちが話している趣味で熱く語り合っており、すこ
し興味が引かれた。
(ゲーマーではないけど、難しいゲームではないなら私でも出来るから)
そう思いながらゲーマー男子の話を聞いていた。
「ちょうど昨日で一週間だけど、最初のボスを倒せないのかよ。」
「無茶を言うな、こういうのはしっかり準備ができてからだろ。」
「それに、最初の町でいろいろできるんだぜ?もはや俺たちの町と変わらないぜ。」
「それは大袈裟だろー、こちとら100万人いるんだろ?そっちはどうなんだよ。」
「人数の多さがすごさじゃないだろ?いっぱい生きていて、猟師とかシスターとかいろいろな人がいるんだぜ?死んでうわーってなっていたらシスターちゃんが励ましてくれたんだ。」
「もはや人じゃん、NPCなんだろ?」
「いつの時代の話をしているんだよ、人と同じAIを積んだNPCなんて50年前には出来てるぜ?このゲームなんて1万年前からプレイヤーなしに長倍速で作られてるんだからな?」
「お前詳しいな、そういうのが好きなんだっけ?」
「シスターちゃんにいろいろ教えてもらえるんだ?神話としてぼかしているけど俺にはいろいろわかるもんなんだよ。」
「シスターに恋してるじゃねーか。」
「あたりまえだろ?ほぼ人間で可愛いんだ、惚れるプレイヤーも少なくはないんだぜ?女性も男性NPCに恋していろいろあって牢屋に・・・・」
ずっと続いている会話を聞きながら、少し気になったのでゲームを調べてみることにした、ゲーマーのクラスメイトがところどころ話していた、【エボアド】これは通称だろうと検索したらすぐに出てきた。
検索したら出てきたのは、【Free evolution advance online】というVRMMOというゲームだった。
ライトノベルくらい略すのが流行っているのかなと、サイトを開きながら思っていたが、早速ゲームについての情報をいろいろ見ておくことにした。
【Free evolution advance online】
大量のスキルと種族により人それぞれ特別な体験ができます。
魔王によってモンスターが脅威になり、人々は怯え王国軍が魔王を討伐に出た。
魔王には強大な深淵のオーラが出ており、人々の攻撃は一切効かなかった。為すすべなく全滅してしまった。
魔王は大陸の北を占領してしまい、南に住むことを余儀なくされた。神々の力では強大すぎて世界を粉々にしかねない、そのため創造神ルキナが異なる世界の人々をこちらの世界に呼び、そのすべてに破邪の力を植え付けることで魔王を倒せる存在にした。
来訪者は大量に呼び寄せるために一人一人は弱く、不死身とは言え創造神の力がある場所でしか復活できないため王国ははじまりの町を作り、育てることにした。
破邪の力はモンスターを倒す、破邪の力がある素材を加工することでレベルがあがり、力が増していく。
あなたの力で、あなたたちの力で世界を救ってください。
(本格的なRPGゲームなんだね、結構楽しそうだけど勇者には慣れそうにもないけど。私には向かないと思うし。)
説明を読んで次ゲーム内の動画を見てみることにした、
剣でモンスターをばっさばっさと倒す動画
槍で敵を突いて倒す騎士の動画
魔法を飛ばして敵を燃やす動画
鉱山でピッケルを振るい鉱石を取る動画
森の中をぐんぐん進んできれいな薬草らしきものを取る動画
海の中を泳いで敵の攻撃をひらひらと避ける動画
鉄なのか大きな塊を剣にしていく鍛冶の動画
動物を手懐けてモンスターを協力して倒す動画
楽しいし、テイムモンスターは可愛いけど、ほかのゲームとあまり変わらないなと思った。それにゲーマーではないからアクションで魅せられても別に大きな感動はなかった。
最後の動画を見た、説明にはこれはプレイヤー?NPCどっちでしょう、挑戦的な文章とともに生活の営みの動画を見た、
町を子供が走って遊んでいる、井戸で水を汲んで話しながら家に戻る主婦、町から出て農業に営むがっちりした男性、お昼にパンと大きな肉を嬉しそうに食べている、夕方にはすべての仕事が終わって家に帰る男性と、家の中でおとうさんを待っている子供と奥さん。共有のお風呂に入ったあとのお父さんが帰ってきたらお母さんと子供に抱き着かれていた、そのままいっぱい話しながらスープとパンとちょっとしたサラダにお肉を食べていた。
中世の街並みに暮らしぶりはいいほうだと思ったけど、これが人間ではないと思えなかった。でもこれがNPCなんだ。生きているんだ。検索していたスマホは震えていたが、通知が来たからではなく凜が感極まって興奮しているから起きた震えだった。
私はそこで口下手を治してNPCでも友人を作ろう、そしてゲームを楽しみたい。
先ほどまでの少し買うのは悩んでいたのは嘘だったように買ってからのことを考えている、
ゲーマーではない、むしろアクションは怖くて苦手、VRなら猶更
でもやらない理由にはならない、どうやったら楽しくできるか最低限の知識を入れようとスマホでゲーム攻略のYouTuberを見た。いろいろ知識を得たので帰りが楽しみになった。
友人になってくれた人は「かわいいところがある」「見た目はちょっと整えたら美人だし、話も面白いよ?」
「天然さんだね、私は好き。」
とコアな人気があるが本人としては不服である。
人といっぱい話したい、授業終わりやお昼休みに談笑をして笑うのが目標であり、それに到達するためには努力をするつもりだった。
その中で一番人と仲良くなる方法として凜が考えたのが共通の話題だった。同じ話題があると知り合いやクラスメイト程度の関係でも話しかけやすくなるとこの前の本で読んだ。
だがクラスメイトの趣味がわからないうちに当てずっぽうで行くほど勇気もないため、今日はとある作戦にでた。
「そういえばこの前のサッカーの試合がさー」
「昨日のテレビ、まじおもろい。」
「わかるわかるー。超最高だよなー。」
いろいろな会話を盗み聞きという選択肢に出ていた、凜は読書家であり、昼休みには毎回新しい本を読んでいるためページを一定間隔でめくると聞き耳がばれないのだ。
スポーツは得意ではないからちょっと、テレビの漫才はどうだろう?みてみようかな。
どんどんクラスメイトの話を聞くと、とある発言に聞き入った。
「ちょうど昨日で一週間だけど、どうなの?あのゲーム」
「なんだっけ?いっぱいゲームがあるからわからねーよ。」
「エボアドだよ、エボアド。」
「あー、まじ最高だぜ?毎日やっちゃうんだけど、寝不足だわー。実況も結構出ているから見てみ?」
ゲームは高校の受験祝いにおじいちゃんから最新ゲーム機を郵送されたのを思い出した、凜はほのぼのゲームをたまにやる程度で、活用できていないのを申し訳ないと思っていたのだ。
これならいいかも!
凜はすぐさま本を閉じてスマホを開いた、エボアドは略称だろうが検索をしたら正式名称が出てくるだろう。
検索したら出てきたのは、Free evolution advance online
略しすぎでは?ライトノベルくらい略するんだなと少し疑問に思ったがサイトを開いてゲーム情報をざっと見てみた。
Free evolution advance online
豊富なスキルと豊かなNPCが織りなす本格VRMMORPG。
魔王によってモンスターが人の脅威になり王国軍が魔王城に攻撃をしたが深淵のオーラを持つ魔王には一切の攻撃が効かないまま敗れてしまった。
人間の願いを聞いた創造神ルキナが自分の力を使い、異なる世界から破邪の力を持ったものを呼び寄せた、ルキナの力をもってしても異なる世界からの召喚のためか弱体化しており魔王には到底かなわない、初めの召喚で破邪の力はモンスターを倒すごとに増していく、世界を深淵に落とす魔王をあなたが倒してください。
本格的な話なんだね、私は勇者にはなれないと思うけど?でも楽しそうかも。どういうゲームなのかもっと見てみないと。
説明から下にスクロールしていくが、スキルの説明や生産の話やいろいろ初心者でも簡単な説明が長々続いたが。
なんだか、ほかのゲームと変わらないから悩む。
凛はあくまで友達との共通の趣味探しのゲームであり、ゲーマーではないので情報を得てもふーんとしか思わないのだ、
そろそろセールスポイントが最後になった時凜はとても驚いて
「こ、これなら私も!!!」
大声を出してしまいクラスの中がシーンとしてしまった。いつも話さない凛が大声を出したのだ、当然だ。
「ご、ごめんなさい、小説が面白くて。」
慌てて教室から飛び出しトイレに座りながら先ほど見た映像をもう一度見直した。
その姿はまるで日常を過ごすNPCの姿だ、農業に出て、狩りをして、お酒を飲み、よく寝る。子供も町で楽しく遊んでおり、女性も機織りや料理に励んでいた。
「お話の練習もできるし、一石二鳥だね。」
ゲームの購入を決意したのだった。




