表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ゲブラさんのふんわり思索シリーズ

『モブ』になるためのレシピ。

作者: エンゲブラ

「社会現象」としてのモブの考察。


【モブ(mob)】


モブとは「mobility(=動きやすさ、流動性)」を語源に持ち、「群衆」「暴徒」「雑踏」などを意味する語。



<定義 ―― 広義・現代的観点>


モブとは、自律的な意志や物語的中心を持たず、全体性の中に埋没しながら機能する「匿名的存在」である。他者の行動や物語の背景・状況・空気を構成するが、自ら語られることは少なく、「個としての意味を問われない人格」類型。



<構成要素を分解した定義>


匿名性

―― 名前を持たず、固有の物語を語られない(または語らない)。



非中心性

―― 物語や社会の「主役」ではなく、構造を支える「その他」として位置づけられる。


集合性・代替可能性

―― 多数として扱われ、誰がそこにいても機能が変わらない。


受動性

―― 自ら状況を変えようとはせず、むしろ環境に反応・順応する存在。


記述の省略性

―― 物語・報道・歴史などにおいて、描写されることが少なく、削除されても物語構造が維持される。


空気の体現者

―― 集団心理・時代精神・社会的風潮といった抽象的な「空気」を具体化するための装置。



<社会心理・群衆論的視点>


責任の希薄化

―― 集団に埋没することで、個としての倫理的責任を回避しやすくなる(群集心理)。


同調圧力への順応

―― 個性の自発的放棄。突出しないことが自己保存の戦略になる。


無名性の快楽

―― 注目されないことが一種の自由・安全保障になるという逆説。


「見る側」から「見られる側」への変化を恐れる心理

―― 匿名のまま批評者でいたい欲望。



<現代社会論・デジタル空間の視点>


SNSの匿名ユーザー=デジタルモブ

→発信はするが、責任を取らない群像。


「炎上」の構造はモブによって支えられている

→個ではなく集合体としての圧力。


アルゴリズム的消費者

→自分が“選んでいる”ようでいて、パターンに従って動く群衆。


バーチャル空間での「観客に徹する自由」

→消費者は発信者に比べて疲弊しない。



<哲学・倫理的観点>


主体性の不在が罪か否か

―― 道徳的無責任は、あくまで「悪」なのか、それとも「自然」か。


「誰かの背景であり続ける」ことの肯定

―― 社会的役割のグラデーションとその倫理。


カント的に言えば「目的のための手段として扱われている」状態。


ニーチェ的には「家畜の安寧」への欲望

―― 強者にも弱者にもなりたくない第三の立場。



<記号論・メディア論的観点>


「個」ではなく「量」で語られる存在

―― モブは「数」でしか記述されない(「観客100人」など)。


非特異的存在

=他の誰でも代替可能な記号。


ニュース映像や広告における「一般人の顔」

=モブ性の演出。


カメラがピントを合わせない存在

―― 焦点が合わないことで生じる意図的な匿名性。



これは「モブ」になるためのレシピである。

逆説的に言えば「予防線」としても使える。


ひとつでも、これらの人格に当てはまった人は、立派なモブ予備軍、あるいはモブそのものかもしれない。責任を持たず、匿名性に甘え、言葉の放火を楽しむ、記号としての人々。存在。


ChatGPTと共に、そのレシピを作ってみた。


とりあえず、若者は これらとの闘争から、人生が始まる。これは早々にモブ化し、「生きた屍体」としての人生、とならないための注意事項でもある。



ちなみに「生きた屍体(死体)」とは、本文でも出てくるニーチェの言葉の引用である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「やってみる」は韓国語で「해 보다」という。  つまり、「年より」でもがんばってみますよ と洒落をきかせたつもりだったのですが……。
 해보다
割と最近ではオンラインゲーム(MMORPG)でも敵のことをモブって言いますね~。元々は動く物体?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ