13話:ポスト1201-1300
この作品はXへのポストのまとめです。https://x.com/hyogen_tokku
一般的な小説の書き方を大きく逸脱しているため、可読性が著しく劣ることにご注意ください。
本鳳「たとえば今日、ポイントを全く稼がなければ明日の上限は600ポイントになります。今日150しか稼がなければ、明日の上限は450です」
本鳳「14日間全く稼がずに繰り越した後の15日目の上限は4500ポイントです。15日目も全く稼がなければ、16日目は1日目の分が失効して4500です」
本鳳「これは毎日義務的に稼ぐ必要をなくすための措置です。天気が悪い日は無理に歩いたり、お買い物をしたりする必要はありません」
本鳳「体調が悪い日もあれば、なんとなく外に出るのが億劫な日もあります。毎日同じ生活リズムでいるのは、大抵の人にとって困難です」
本鳳「休日に1週間分の食料や日用品をまとめ買いする方も多いでしょう。繰り越せなければポイントを稼ぐチャンス6日分が無駄になるのです」
本鳳「あまりに強い制限は人の生活を縛りかねません。ソシャゲの目的は束縛ではなく、あくまでも運動や経済的消費の奨励です」
本鳳「余談ですが、すべての人にひとつのアカウント作成を認めます。高齢者でも嬰児でも構いません」
本鳳「原則、他人のアカウントにログインしたりプレイしたりするのは禁止します。セキュリティ上の問題であり、違法行為ですから」
本鳳「しかし、特例として嬰児のように自己判断ができない場合は、保護者や後見人による操作を認めます」
本鳳「赤ちゃんが生まれたら、ご両親はその子のアカウントを作ってあげてください。物心つく頃にはポイントが大量に貯まっているでしょう」
本鳳「三つ目は特区の観光促進。一日300ポイントの上限はお買い物や運動で得られる分に過ぎません」
本鳳「また、先ほどからポイントと言っていますが、これは特区内での通貨です。つまり特区内では好きなだけ塩から両替できるのです」
本鳳「一日3回よりも多くガチャを回したい方は、ぜひとも特区観光にいらしてください」
本鳳「さらに、特区内ではソシャゲ関連の限定グッズを販売します。特区外では手に入らない限定品です」
本鳳「ソシャゲのキャラクターイラストの作成は特区内の創作者にお仕事として発注いたします。もちろん、特区外に出せる健全なイラストです」
本鳳「その創作者の他の作品、規制の無い作品を鑑賞するために特区観光をするのもよいでしょう。四つ目の目的は……」
「あの、目的の話はもう結構なんで、なぜソシャゲなのか訊いていいですか?ソシャゲである必要は?ソシャゲ以外だとダメなんですか?」
「なんだあんた、説明の途中だろ。ルール守れよ」「あいつどこの記者だ」「まあ私も同じことを区長に質問したいと思ってましたけど」
本鳳「話が長かったようですね。配慮がいたらず申し訳ございませんでした。四つ目の目的はひとまず後回しとしておきましょうか」
本鳳「ソシャゲである理由は、娯楽だからです。それも、端末と通信環境さえあればどこでも興じられる手軽な娯楽です」
本鳳「また、コンテンツ内容はイラストを主軸としています。イラストの個性がそのままソシャゲの個性になっていると言ってもよいでしょう」
本鳳「どこでもできる娯楽、豊富なイラストを伴っている、どちらの要素も他のあらゆることと親和性が高いのです。これが大切です」
本鳳「抽象的でうえんな説明になってしまいましたね。しかしここまでの話から、ぴんと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか?」
本鳳「現実の様々なものと結びつけやすいのです。やるべきなのに面倒とか、他人にやってほしいとか、それらの事柄は娯楽化すればよいのです」
本鳳「イラストはその娯楽の報酬であるキャラクターや物品に利用することで豊富なバリエーションを生み出せます」
本鳳「入口は娯楽、出口はイラスト。この形式に落とし込める事柄は身の回りに有り触れています。お買い物や運動や観光がその例というわけです」
本鳳「子ども騙しと断ずる方もいらっしゃるでしょう。しかしこれで生活が楽しくなる方も多いと私は信じています。他に質問はございませんか?」
「歩いただけで稼げる、走っても稼げる、公園で運動しただけで稼げると先ほどおっしゃいましたけど、厳密にそれらを検知できるんですか?」
「車でノロノロと走るとか、公園に来るだけで運動をしないとか、嘘をついてポイントを詐取する人も出てくると思います。対策はありますか?」
本鳳「監視カメラによる記録などが考えられますが基本、そういった対策はしません。運動する意欲が、なえてしまうでしょうから」
本鳳「肝心なのは運動する人が1人でも増えることです。そのために運動したように装う人が100人増えても問題ありません」
本鳳「大抵の人は現在の生活をそのまま続けているだけで、一日にガチャ数回分のポイントを稼げるになるのです」
本鳳「つまり特区が、政府が、それだけのポイントをプレイヤーにタダでバラ撒くようなものとお考えください」
本鳳「それに比べれば嘘をついてまで詐取される分など、ほんのわずかなものでしょう。運営側として痛くもかゆくもないのです」
本鳳「とはいえ、正当な行為として認めるわけではありません。そうした方法による詐取は違反行為として扱います」
本鳳「明確な証拠付きで違反が判明した場合は相応のペナルティを課さざるを得ません。最悪、刑事事件としての取り締まりも考えられます」
本鳳「どうか節度を持ってプレイしていただくようお願いします。他に質問はありませんか?」
「なんだかすごく気前が良いように思うのですが、それはコンテンツとしての寿命が短期間で終わってしまうのではないですか?」
「全くの無課金でも簡単にガチャが引けてしまえば、その分だけレアキャラやレアアイテムが早くコンプリートできますよね」
本鳳「キャラ数、アイテム数を増やすことでコンテンツの寿命を伸ばします。特区在住の多くの創作者にご協力いただけるでしょう」
本鳳「その数は一般のソシャゲの水準を大きく越えることをお約束いたします。個人での網羅は非現実的なほど膨大な量となる見込みです」
本鳳「期間限定や場所限定による多くのバリエーションを出します。詳細な説明は後になりますが、いわゆる位置ゲームの要素もあるのです」
本鳳「以上のことから、コンテンツ寿命がたちまち尽きてしまう心配はないものと考えています。他に質問はありませんか?」
「ガチャで現実の物も当たるって説明がありましたけど、それについて詳しい説明をお願いしていいですか」
本鳳「ゲーム内ではキャラやアイテムと同じようにガチャで現実の物品も排出されます」
本鳳「ただしキャラやアイテムと違って、物品は排出されれば事前に登録した住所まで送付されるのです」
本鳳「この排出率の設定をプレイヤーの任意で0%まで下げることもできます。つまり物品に限っては全く当たらないようにできるのです」
本鳳「すでに持っている物など、新たに当たっても困りますからね。ソシャゲイラストが載っている物品なら敬遠する人も多いでしょう」
本鳳「無論、物品を排出しないようにした分だけ他の排出率は上がります。キャラやアイテムを優先したい場合は、そうすればよいのです」
本鳳「ある程度は細かく種類ごとに設定できるようにする予定です。シャーペンは不要でもボールペンは欲しい場合もあるでしょうから」
本鳳「また、同じ種類の物品でもイラストなどの要素などによってバリエーションを持たせます。物品にもコレクション性があるということです」
本鳳「ネットオークションに出品するのは特に規制しません。いわゆるリアルマネートレードに近い行為ですが政府には了承を得ています」
本鳳「もちろん、高価な物ほど排出率は低くなります。物品を当てて売るだけで生計を立てるのは難しくなる程度に確率を調整します」
本鳳「先述のとおり、ソシャゲを生活の中心にしてはいけないのです。良い物が当たればラッキーという程度にお考えください」
本鳳「しかしソシャゲによって生活に華を添えられれば、さいわいかと存じます。他のプレイヤーとのつながりも華のひとつとなるでしょう」
本鳳「それが先ほど言いそびれた四つ目の目的です。ソーシャルゲームである以上、社会のコミュニティを取り持つ役割もあるのです」
本鳳「人、物、金が上手く流れるようにするための媒介にしたいのです。これによって陽下を活気づけたいのです」
本鳳「さて、ここからはソーシャル要素、つまり他プレイヤーとのつながりの説明に入ります。まず、対戦要素はありません。協力要素のみです」
本鳳「現実世界で他のプレイヤーと会い、自分または他プレイヤーが発行したワンタイムパスワードを、もう一方が認証してください」
本鳳「パスの認証は近距離にいること、発行から数分以内であることが条件です。距離はGPS機能で検出します」
本鳳「認証に成功してから一定時間、レアの排出率が上がる、特別な種類のガチャが回せるなどさまざまなボーナスを受けられます」
本鳳「人と会っているのにガチャを回してばかりにならないよう、いわゆる連続ガチャのように指定回数分まとめて回せるようにします」
本鳳「何が当たったかその場で確認して会話に花を咲かせるのもよいでしょう。パス認証はゲームで有利になる上、人間関係も円滑になるのです」
本鳳「パスを発行または認証した人数が多いほどボーナスは充実します。一度にたくさんのプレイヤーで集まった方がお得です」
本鳳「ボーナスの内容はパスを発行した側、それを認証した側に差はなく平等です。また、発行したパスは認証されなければ意味はありません」
本鳳「ボーナスの効果は永続しません。ボーナスの種類によってどれだけの間効果を発揮するかは異なりますが、永続するものはありません」
本鳳「その場のひとりが発行したパスを残り全員が認証するだけでよいのです。それでひとつのグループとしてボーナスを受けられます」
本鳳「たとえば有名歌手のライブやプロスポーツの試合では数万人が一堂に介しますね。そういった場でも利用していただきたいのです」
本鳳「イベント運営業者から事前の申請があれば、その場所に限ってパス認証の条件となる距離を広げるなどの措置も取れます」
本鳳「とはいえイベントで数万人の客とつながるより、身近なひとりの人物と新たにつながる方が、えてして難しいものでしょう」
本鳳「したがって、イベントで受けられるボーナスの大きさはその参加人数にそのまま正比例するわけにはいきません。ご了承ください」
本鳳「一般的なお店でも認証してからお会計をすればガチャで特定の限定キャラ、アイテム、物品が出やすくなるといったボーナスも可能です」
本鳳「キャラ、アイテム、物品は順次追加されていく予定です。事業者はその時々に応じて随意に選択してください。お店の特色にもなるでしょう」
本鳳「どのお店でそれが出る可能性があるのか、それをどれだけの数のプレイヤーが当てたかというデータは常に開示します」
本鳳「また、設定されたミッションをクリアすることでもボーナスを得られます。このソシャゲのミッションは、現実での行動です」
本鳳「たとえば特定のハイキングコースを歩き、付近の特定のお店で一定額以上お買い物をすれば、アウトドア物品のレア排出率が上がるとか」
本鳳「特定の期間中、特定のゴルフ場で一定以下のスコアを出せれば、レア以上のゴルフクラブが確定で排出されるといったあんばいです」
本鳳「そのために既にいくつかのスポーツ用品メーカー、関連業者との協賛契約も結んでいます」
本鳳「ちなみにそうしたミッションは現地事業者とのパス認証を必須としますので、GPSの位置偽装などはできません」
本鳳「パス認証、ミッション、ガチャで当てたものや排出率、日時や場所などの情報履歴はプレイヤー本人ならいつでも照会できます」
本鳳「これらをぜひ、人の輪を広げるためにお役立てください。広げた方が得をするシステムですから」
本鳳「仲良くなりたい人がいるのに話しかける口実がない。しからば最初はボーナスにかこつけてもよいのではないでしょうか」
本鳳「目当ての限定キャラがそこのコンビニで出るのでちょっと買い物に付き合ってください。その代わりあなたの目当てにも付き合います、と」
本鳳「互いのパスを認証し、お会計を済ませ、ガチャを回して見事に目当ての限定キャラが出れば、もう仲良しになる理由としては充分でしょう」
本鳳「履歴を眺めてそうした思い出を語り合うのもよいでしょう。履歴は出会いの証であり記念となるのです」
本鳳「他人の買い物に付き合うついでに自分も何か買えばその店舗の利益は増えます。陽下中でそれが起これば、経済が活性化していきます」
本鳳「大きなボーナスを受けるため、普段は誘わないあの人を飲み会に誘いましょう。一緒に運動しましょう。そしてガチャを回しましょう」
本鳳「自分が楽しみ、他人を楽しませ、お店が得をし、全国がうるおい、明るくなるためのソシャゲと言えるでしょう」
本鳳「ちなみにボーナスは多種あります。ガチャを安く回せる、付与されるポイントが多くなる、他のボーナスの適用時間が延長されるなど」
本鳳「また、ガチャで当たる物品には特区への宿泊招待券、特区内作品への投票権、特区公開作品の関連グッズなども用意しております」
本鳳「さらに、稼いだポイントは特区内で使える通貨なので、特区への観光旅行の際には宿泊やお買い物などで消費することもできます」
本鳳「たとえば一年間毎日、上限の300ポイントまで稼いで全く使わなければ、特区に数日間滞在できる程度の費用は貯まるでしょう」
本鳳「さて、今まではソシャゲの良い部分ばかり話してきました。しかし悪い部分も、大別して三つあります」
本鳳「一つ目は、ソシャゲ全般によく見られるストーリーやバトルといった要素が、特区ソシャゲのサービス開始段階には存在しません」
本鳳「ただガチャを回してキャラやアイテムを集めるだけであり、ゲームといえるのかすら疑わしいものになるでしょう」
本鳳「もちろんキャラのイラストや最低限の設定は最初から作っていきますが、それはストーリーなどがあってはじめて輝くものでしょう」
本鳳「このような歪なゲーム内容になってしまうのは、先に言及いたしましたように、キャラクターやアイテムの数が膨大になるからです」
本鳳「すべてのキャラをストーリーやバトルに組み込んで整合を取るのは簡単ではないでしょう。つまり、開発に時間がかかるのです」
本鳳「ストーリーやバトルも将来、作る方向で考えてはいるのですが、いつになるのか今お約束することはできません」
本鳳「最初はとにかくキャラなどのコンテンツ量を増やすことを優先し、それが落ち着いてからストーリーやバトルを作っていきます」