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20.かさ
仕事帰りにいつも通る橋の上の柵に、いつも傘が一本立て掛けられている。
いつからかはわからない。
橋のちょうど真ん中あたり。川の方に建てられた柵ではなく、橋の上の歩道と車道を隔てる柵の、車道側の方にそれらはいつも立て掛けてあるのだ。
それら、と言ったのは、その傘が何日かに一度変わるからだ。
よくあるそっけないビニール傘や、色柄も華やかな女性物のこともあり、子ども用と覚しき小さなものだったこともある。折り畳みであったことは無い。
一度それに気がついてからはもう気になって仕方が無い。夢中と言ってもいいだろう。
通れば必ずその傘を見る。今日もあるのか、次はいつ、どんな傘に変わるんだろう……予想してみたこともある。残念ながら当たったことはまだ無いが。
それが交換される瞬間も、誰かがその傘を気にするところすらも見たことが無い。
一体何のために置かれているのかも全くわからない。忘れ物にしては常にあると言うのが解せない。そもそもなぜ車道側に掛けるのだろう。何かの合図ででもあるのだろうか。だとしたら一体誰に、何を伝えるための?
おそらく原因を知ってしまえば、ああそうだったのかと思う程度のことなのであろうが、わからないばかりに余計な想像を様々にめぐらし、それがどうにも落ち着かないというか、座りの悪い思いがする。




