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推理

サーファーの雪だるまさんの助手が オーパーツの鏡で サイコロを操り 時計を見つつ 密室で お味噌汁とお菓子の謎を解き 交差点でレアル相手に ハットトリックを決め 映画になりカセットテープで発売される話

株式会社鳳凰プロジェクトとの共催により、第108回「上野紘・巽愁依子の執筆家になろうラジオ大賞」が開催される。


私は、この賞がどうしても欲しかった。そのために、裏技を使うことにした。


まず、私の原稿を、上野紘さんの友人に見せる。そう、2人の好みに合った作品を作ることが、選ばれる近道だと考えたのだ。近しい友人だと語るヒャダルコさんは、私の作品を見るなり原稿を突き返して来た。


「要素が、少なすぎやしないか?」


なるほど、1つの要素では、話に深みが出ない。彼の言葉を急いでメモする。


返して貰った原稿は、徹夜で修正。眠い目を擦りながら、新たな原稿が出来た。よしっ、要素は、たっぷり詰め込んだ。これで、受賞にグッと近づいただろう。


翌朝、原稿を持って巽愁依子さんの友人の元へ向かう。この方は、会うのがとても大変だった。面会を拒否されたからだ。頼みに頼み、匿名であればという条件で、上野動物園で待ち合わせることになった。


うーん、あまり人間的な顔をしていない方だ。「こんにちわ」と挨拶をしても、お尻を掻いている。失礼だな。


「あのー、それゴリラのハオコですよ。っていうか、それが短編小説ですか?」


しまった。間違って、ゴリラに原稿を渡していたみたいだ。慌てて匿名希望さんに原稿を渡す。


「何か足りないです。そういえば、あの子、サッカーが好きって言ってましたよ。」


サッカー?私は、有名なチーム…セビージャや、ソシエダ、アトレチコくらいしか名前を知らない。仕方ない。知ったかぶりをして、マドリードというあまり知られていないチームを入れておこう。


こうしてできた原稿は、いままで私が書いた小説の中でも抜群の出来であった。これは、大賞間違いないっ。興奮で震える手で、原稿を応募する。後は、結果を待つだけだ。


☆★☆★☆★☆★


さて、そのころ、文武放送では、なろう大賞の選考の前に、スタッフが最初の振り分けを行っていた。丁寧に原稿が読まれ、分けられる。そして、ついにその時が来た。


『サーファーの雪だるまさんの助手が オーパーツの鏡で サイコロを操り 時計を見ながら 密室で 味噌汁とお菓子の謎を解き 交差点でレアル相手に ハットトリックを決め 映画になりカセットテープで発売される話』


――なんだ?どうしようもねぇ題名の小説は…。めんどくせぇ。


ポイっという音が聞こえるような投げられ方…。


原稿は読まれることなく、そのまま、スタッフの手でボツの箱に放り込まれた。

文字数(空白・改行含まない):1000字

こちらは『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』用、超短編小説です。

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