第10話 国外へ
とりあえず俺たちは今日の夜を過ごすために寝床を探すことにした。
本来は野宿など嫌なのだけども、今回は仕方が無いので、我慢することにして手頃な雨風凌げそうな洞窟を探す。
「サツラさんって強いのに、敵から逃げますよね。どうしてですか?」
「ん? あぁ、俺のポリシーとしてターゲット以外は殺さないと決めているんだ」
「そうなんですか?」
「あぁ、依頼さえ受ければ直ぐに戦ってやる」
「ちなみに依頼はどうしたら出来ますか?」
「一回百レンだ」
「まさかの金銭要求!?」
「当たり前だ。俺は殺し屋としてやっているんだ」
そんな話をしながら探していると手頃な洞窟を発見したので、とりあえずそこで夜を凌ぐことにした。
今日はさすがに色々ありすぎて疲れた……今、まぶたを閉じたらすぐに眠ってしまいそうだ。
明日になったらこの国を離れて別の国に行ってみるか? そしたら恐らくこんな生活は続けなくていいだろうし、俺は冒険者なんだから金も稼げる。
「そういえば、ハルロートからは普通の人間とは違う気配を感じるけど、気のせいか?」
「あぁ、それは私がエルフだからですかね」
「エルフ?」
「はい。私はこの国の隅の方にある小さなエルフ族の村から来たエルフなんです。冒険者になるためにこの街に来たのですが……」
なるほど、そこで追放されて行き場をなくしてあんな所にいたのか。所謂自暴自棄になっていたという事だな。
恐らく人間の種族差別というものだろう。自分とは違うものを恐れてその危険分子を除外する。どこの世界の人間も同じなんだな。
人間というものは誰かを陥れないと生きていけいないようにでもなっているのだろうか。
「それよりも、早く準備をしましょう」
「あぁ、そうだな」
そして俺たちは地面にそこら辺から取ってきた雑草を敷いて寝ることにした。
俺はちょっと抵抗があったものの、ハルロートは慣れていたみたいで、自然な流れで寝ていた。
次の日、俺たちはこの国を出るために歩き始めていた。
「これからどこへ行くとかプランはあるんですか?」
「無いな」
「えー」
隣で文句を言ってくるハルロートだが、俺は昨日この世界に来たばかりなのだから仕方ないだろう。
とは言っても検討はついてる。昨日、走り回っている時に地図をちらっと見た。すると、この近くに違う国があるのだとか。
違う国ならば、追放は無効だろうと考えてその国に向かっている最中である。ただ、そこからは完全にノープランだったりする。
「そういえば、お前は冒険者になるために村を出たんだったな」
「はい」
「じゃあ、冒険者の手続きをするか」
「え、いいんですか!?」
「あぁ、もちろんだ。俺たちは仲間だからな。その前に、その身なりも整えよう」
今のハルロートの服装はかなり汚れている。正直、このままだと流石に可愛そうである。
俺は昨日、宿代に使うはずだった金も残っているので、服くらいなら買ってやることは出来るだろう。
まぁ、前世で金を持っていなくてほとんど同じ服を着回していた俺が言えたことじゃないけどな。
「ありがとう……サツラに拾われて良かった」
「……」
突然そういうことを言われると照れるんだけど。
照れ隠しに俺は頬をポリポリとかいて顔が見えないように先導する。
隣の国までそんなに距離は無いので、国境の近くに位置している隣の国、トーナの城下町が見えてくるはずだ。
そんなことを考えて歩いているとすぐに街が見えてきた。
城壁が街を取り囲んでおり、門の前には二人ほどの門番が立っている。
俺は何度も国境を越えた経験があるからなんとも思わないけど、ハルロートはやっぱり違う国に行くということでかなりの不安を抱いているようだ。
だから、ハルロートが不安がらないように俺がしっかりと先導しなくては。
「君たちは?」
「あ、はい。こういうものです」
門で予定通りに門番に止められる。なので、俺は昨日作ったばかりの身分証明書を提出する。
それをじっくりと見た門番は俺に身分証明書を返すと、ゆっくりと口を開いて俺たちに言い放った。
「この街に入ることを許可することはできません」
俺たちの耳が拾ったのはまさかの拒否の言葉だった。
「どういう事ですか?」
「今は重要な国での一大事件を抱えておりまして」
「一大事件ですか?」
「そう、だから外部からの者を入れないように言われているんだ。すまないな」
「いえ、大丈夫です」
しかし、この街に入れないならどうしようか。振り出しに戻った訳だが、この人が言っている事件の内容もとても気になる。
ただ、入れて貰えないのにずっとここに居座るのも迷惑だろうから、直ぐにここを去ろう。そう思って背後を見た瞬間、俺たちは見てはいけないものを見てしまった気がする。
「あれが原因ですか?」
「もう来たのか……危ないから少し離れていなさい」
どうやらやはりあれが原因だったらしい。
俺たちの視界の先では大量の魔物たちがこの街に向かって歩いてきている。
ただ、あれを見て何となく状況を理解した。もし、魔物を召喚できる魔法があるならばあれを召喚出来るやつを街の中に入れるのはまずいからな。
「さ、サツラさん!」
「ん? 俺たちは傍観してようぜ」
「やっぱりですか……」
俺の返答に崩れ落ちてしまうハルロート。なにせ、俺は依頼を貰っていないんだから戦いに参戦する訳には行かないからな。
はい、第二章がスタートし、違う国へとやって来ました。
そこでいきなり魔物たちの襲撃が!
果たして殺羅はどうするのでしょうか?




