プロローグ
はい、今回からこちらの殺し屋と青のバラを連載させていただきます。
かなり面白い話に仕上がったと思いますので、ぜひ是非最後までご愛読ください。
ただ、溜め書きがそんなに無いので、もしかしたら急に不定期になるかもしれません。それはご了承ください。
それではどうぞ!
この世界は残酷だ。
才能が全てだった。どれだけ頑張ろうとも才能が無ければ切り捨てられる。どれだけ正しくてもその力は認められない。
種族差別ってのもある。人は自分勝手だ。自分勝手に自身と違う見た目をしているからってだけで追放する。
追放とは指定手配をして全ての援助をバッタリと止める事だ。今までは国から最低限生きられるくらいは援助をされていたのにそれがぱったりと途絶え、食料も買うことが出来なくなってしまうので魔物を狩ることを余儀なくされる。
だが、魔物はかなりの力を持っている。そんな生活を続けていたらいつかは限界が来て相当な強者で無ければ生き抜くことは出来ない。つまり、追放された時点で死あるのみだ。少しでも気に触ることがあれば追放される。だからみんな、必死になって自分は役に立つアピールを繰り返す。
私はエルフだった。
青髪で、青の瞳。同種族のみんなには綺麗とか羨ましいって言われた。だけど人間の世界では違った。この姿は異常なのだ。その為、私は直ぐに追放の対象者となってしまった。
エルフ達は国内の端っこでひっそりと暮らしていた。みんなには冒険者として頑張ってくると言ってきたというのに冒険者にすらなれずに追放。もちろん武器なんて持っているはずもなく、街の周辺にいる魔物にすら対抗する力を持ち合わせていなかった。
あー、私はここで死ぬんだろうな。そう思った。でももうそんなことはどうでも良くなってしまった。私は全てを失ってしまった。もう何も失うものが無かった。もう死んでもいいとすら思った。
だから思わず洞窟の中に居た魔物の群れに体一つで武器も持たずに軽装備で突っ込んでしまったのだ。それが運命の分かれ道となった。
そう、魔物に囲まれてしまったのだ。そこでようやく私は後悔をする。なんで、こんな軽装備で洞窟なんか来ようと思ったのだろうと。
恐怖が私の頭の中を支配する。
死にたくないと本能が叫んでいる。だが、私の足は腰が抜けてしまって全く力が入らなくなってしまっていた。
逃げようにも逃げられないこの状況。絶体絶命だ。
「あー私、ここで死ぬんだろうな」とぼんやりとそんな思考が浮かんでくる。
だけど、死にたくない。それは生物として当然の事だ。
「死にたくないよ……だれか……助けて、この魔物たちを倒して私を助けて!」
そう呟いた瞬間だった。
一瞬にして周囲の魔物たちが一掃され、素材だけをその場に残して灰となって消えてしまった。
何が起こったのか、流石に理解が追いつかず、私は思考を停止してしまう。
「おーい、大丈夫か?」
背後から声が聞こえてくる。
その声にビックリしながらもゆっくりと後ろへと振り返るとそこにはナイフと何やら鉄のブーメラン状の物体を持っている男が立っていた。
服装は黒一色でよく見えないものの、優しい顔立ちなのは見えた。
「しっかし、この落ちているものはなんだ? あれか? よく聞くゲームのばぐって言うやつなのか? どうして消えねぇんだ?」
素材の方を一瞥すると、今度は私の方へと向き直って来た。どうやら私の姿を観察しているようだ。
「もう、こんな危険な場所に武器も持たずに来るんじゃないぞ」
手をヒラヒラと振り、この場から去ろうとする男性。私は思わずその後ろ姿を見て呼び止めてしまった。
「あ、あの!」
「なんだ?」
色々と私はこの人に聞きたいことがあった。だけど、恐らくそんなに何個も質問には答えてくれはしないだろう。
これだけ強いということは忙しいはずだ。だから、この一つだけを聞くことにした。
「貴方は一体、何者ですか?」
「俺か? 俺は……」
男性は一瞬だけ考え込んだ。そして難しい表情となるものの、なにやら覚悟を決めたように私に向かって言い放った。
「俺は――殺し屋だよ」
これでプロローグが終わりました。
第1話公開は今日の午前7時となっておりますので、ぜひ是非そちらもご覧下さい。
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