表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

現代童話集

野球が大好き

作者: 早崎富也

はじまりはじまり~

あるところに野球が大好きな2人の少年がいました。


2人は小学生の頃、同じ少年野球のチームに入り、一緒に野球をしていました。

中学生になると2人は同じ学校に入学し、野球部に入りました。

2人は高校も同じ学校に行きました。

しかし、1人は野球部に入らず帰宅部になりました。


ある日、野球部に入った方が、帰宅部になった方に尋ねました。


「君は野球が嫌いになったのかい?」


「いいや、今でも野球は僕が一番好きなスポーツだよ」


「それじゃあ、どうして野球部に入らなかったんだい?」


「野球を嫌いになりたくないからさ」


「?」


「小学校の頃は野球をするのがとても楽しかったよ。

家に帰った後、テレビで野球を見たり、休みの日は球場で野球観戦したり、とても幸せだったさ。


けど中学校で野球部に入ると、毎日朝早くから日が暮れるまで練習しなきゃいけないから、テレビで野球を見れなくなったんだ。休みの日も練習があるから、野球観戦もできない。

たまに見ることができても、練習の一環として、フォームやプレーの観察に集中しなくちゃいけないから、全然楽しくなかったんだ。


中学生でこうだったんだから、高校の部活はますます練習ばかりになって、もっと楽しくなくなっちゃう。

そしたら僕は野球が嫌いになっちゃうよ。

けど帰宅部なら、すぐに家に帰れるからテレビで野球を見れるし、野球観戦にも行ける。

それなら好きなだけ野球を楽しむことができるし、ずっと野球が好きなままでいられる。


僕は確かに野球は好きだよ。

ただ、野球をするよりも、見て楽しむ方が好きだったのさ。だから、野球選手には向いてないよ。

毎日仕事として、練習しながら生活するよりも、趣味や遊びとしてやりたい時にやりたいだけやる方が性に合ってる。その方が好きなんだ。


ごめんね」


「謝ることないよ。

何を好きになるかは個人の自由だし、どれくらい夢中になるかも、どう好きになるかも自由だ。

自分の意志でどうこう出来るわけないよ。


一緒に野球をできないのは残念だけど、僕の野球を観て楽しんでくれよ」


それからも2人はずっと友達でした。

やがて2人は大人になり、1人はプロ野球選手になりました。

もう1人は公務員になり、よく休暇をとっては野球観戦に行きました。


その友達が出る試合は、必ず観に行きました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ