第7話 調理実習2/2
第7話です。
家庭科の授業でカレーを作ることになった俺たち。
スラ子はカレーを楽しみにしている。
各自、好きなグループを組んでカレーを作り始める。俺は、幼馴染の奏とクラスの中でも仲がいいクラス委員長の花房 桜花とスラ子の三人グループを作った。
ちなみに桜花とは、幼馴染ではないものの小中高とともに学校は同じ。俺の意見だが、大和撫子みたいな少女だ。透き通るくらいの腰まで伸びた黒い綺麗な髪の毛。スタイル抜群。勉強もスポーツも優秀。将来を約束された美しい女性になると俺は思う。
そんな事を思っていると。
「春一さーん! ニンジンどうぞでス〜」
スラ子が自身の変幻自在の身体から触手なようなものを作り出し。二本でにょ〜んと、ニンジンを俺に渡してきた。可愛い。
「私も、皆さんのお役に立ちたいでのス〜。何かできることはありますか?」
なんて、優しいスライムなんだと俺は、感動する。
だが、手伝いといってもカレーは、簡単に作れる。野菜を切って煮込んでルーを入れるだけ単純だ。
「うーん。野菜を切る……かぁ〜。スラ子には、危ないかなぁ……」
俺は悩む。スラ子に怪我をさせてしまってはいけないと。しかし、
「大丈夫でス〜。スラ子なんでもやりまス!」
やる気満々の自信に満ち溢れた眼差しで俺を見てくるスラ子に俺は、スッと包丁をスラ子に差し出した。
「ありがとうでス〜!」
差し出された包丁を二本の触手でにょ〜んと嬉しそうに受け取るスラ子。天使がいる。
「じゃあ。俺が皮を剥くからスラ子は、一口サイズに切ってくれるか?」
「はいでス!」
皮を剥いたニンジンを包丁を持ったスラ子の前に置く。
「気を付けてやるんだぞ」
「はいでス〜……」
スラ子は、ニンジンに包丁の刃先を当て狙いを定める。その表情は、真剣そのもの。
そして、そっと、包丁を縦に振り、ニンジンは、一口サイズに切れた。
「や、やりましたでス〜! 春一さん! 見てましたか!? スラ子切れましたよ?!」
自分の力だけでニンジンが切れたことに大感激するスラ子。
俺は、そんなスラ子を見て我が子を育てる親は、こんな感情なのかと何故だか瞳に涙か潤んでいた。
こうしてスラ子の活躍によって俺たちのグループは、美味しいカレーができスラ子も俺たちも美味しく食べることができたのだった。




