第4話 スラ子と授業
スラ子と仲良く登校し、学校に着くと早速授業が始まる。俺は、ビンからスラ子を出して上げて授業を受ける。
「なぁ、スラ子。離れてくれないか?」
授業中。スラ子は、黒板に書かれた文字列を俺がノートに書き写している時いつも。
「春一さんの手は暖かいでスねぇ〜」
とか言いながら文字を書いている俺の手をポヨポヨと追ってくる。ちなみに今、スラ子の身体は、『一般的なスライムスタイル』だ。文字通り世間一般的に認知されている丸っこい感じのスライムの形状により俺の手よりちょっと小さいくらいの大きさになっている。
「スラ子。せっかく書いた文字が全部溶けだしちゃうじゃないか」
そう、スラ子の身体は水分によって出来ている……のかはわからないが、濡れたところから順に文字は溶け出てしまうのだ。
「え〜。春一さんの手。暖かいので気持ちいいんでス〜」
「そうか。仕方ないあれを出すか……」
頑なに離れようとしないスラ子に、俺はある秘策を繰り出す。こんなこともあろうかと筆箱の中に隠し持っていた小包を机に広げた。すると
「春一さ〜ん! それは、金平糖じゃないですかぁ〜!!」
ふっ。食い付いたようだ。そう。スラ子は、金平糖が大好物なのだ。
「よし。スラ子食べていいぞ? しかし、条件がある。今すぐに手を追っかけるのはやめるんだ。やめれば食べられるぞ? さぁ。どうする?」
「………」
スラ子は、今、葛藤しているであろう。手から離れて金平糖を手に入れるか。金平糖をもらわずに手を離れないか。スラ子は、悩む金平糖と手を交互にポヨンポヨンと見て。
あ。どいた。
「春一さんは、イジワルでス〜!」
いじけた顔で金平糖を食べに来るスラ子
あ〜可愛いな。
スラ子が悩み抜いて食べられた金平糖はスラ子の体の中でサイダーのように泡が立ち溶けて消えていく。
「美味しかったですゥ〜」
満足したスラ子は俺の手に絡みついてきた。
………それじゃあ金平糖あげた意味ないじゃん。
でも可愛いから許す!
こうしてスラ子と受ける授業は終わりを告げるのであった。




