第13話 チャンス
昼休憩のチャイムが校内中に響き渡る。俺のクラスの話題は、転校生の姫崎夜華さんで持ちきりだ。
「姫崎さん! 髪綺麗だね!」
「どこから来たの?」
などと質問責めを姫崎さんに浴びせるクラスメイト達。
だが、俺が気になるのはそこではない。姫崎さんの机の上に存在する紫色の物体。そう、俺が愛してやまないスラ子と同じスライムだ。
そんなことを思っていると幼馴染の奏とクラス委員長がこちらに近づいて来た。
「ねぇ、春一。あれってスライムだよね」
「あぁ。そうみたいだな」
「スライムってスラ子ちゃんだけじゃなかったのね。驚きだわ」
「姫崎さんも綺麗だけど、あのスライムも可愛いね」
「私、ライムさんとお友達になりたいでス〜」
俺の机の上で、ぽよぽよと揺れているスラ子がライムを見ながらそう言う。
確かにスラ子の気持ちは、わかる。
今まで人間の友達しかいなかった、スラ子にとって同じ種? がいることは、とても嬉しいことなのかもしれない。
「そうだな。機会があったらお話ししてみようか」
「はいでス〜」
と、そんな話をしていると、担任の鈴音先生がやって来て。俺。奏。桜花。スラ子。にこう告げた。
「ねぇ。春一くん達。夜華さんに学校の案内をしてあげてくれないかしら? もちろんスラ子ちゃんもね!」
願っても無い機会は、突然にやって来た。
そして、スラ子は、嬉しさのあまり、ポヨンポヨンと飛び跳ね大喜びをしていたのだった。




