第12話 転校生達
リボンを付けた天使スラ子と幼馴染の奏と共に学校に着き教室に入る。しばし談笑しているとチャイムが鳴り、朝のホームルームになった。
「えー。突然ですが、このクラスに転校生がやってきました」
俺たちのクラス担任の鈴音先生が告げる。転校生が来ると。それを聞くとすぐに教室内がざわつき始めた。
「男の子かな? 女の子かな?」
「お嬢様とかだったりして」
などと転校生に対する憶測が飛び交う。
「はーい。皆さんお静かに。では、紹介します。姫崎 夜華さんです」
そう鈴音先生が告げると、ガラガラと音を立てて扉から教室から入ってきたのは、綺麗な紫がかった髪の毛を白と黒のフリルのカチューシャでまとめて切れ長の瞳をした。一言でいえば美しいと言う表現が適切だろう。そんな少女に、教室が驚きのあまり静まり返った。
「……。姫崎 夜華です。よろしくお願いします」
転校生は、静かに教壇の前に立ち、静かに自己紹介をした。姫崎さんと言うらしい。
「えー。姫崎さんは、ご両親の仕事の都合で転校してきました。皆さん仲良くしてあげてください。それで、姫崎さんの席は……あ、春一くんの隣が空いているわね。姫崎さんあそこの席に座ってくれる?」
「はい」
と鈴音先生が示した俺の隣の席まで静かにやって来て着席をする。その姿はまるで、女優さんのような美しさ。
「春一さん! 姫崎さんすごく綺麗でス〜」
「あ、あぁ。そうだな……」
俺とスラ子は、席に座った姫崎さんを見てそう声を漏らした。俺に至っては完全に見惚れていた。するとそれに気付いたのか姫崎さんが
「………。これから宜しくお願いするわ」
と声俺たちに向かって一言。
「う、うん。よろしく」
「よろしくでス〜! 姫崎さん!」
「……? あら? 私達同じみたいね」
「うん? どういうこと?」
俺たちが同じという姫崎さんは、カバンの中から一つのビンを取り出して机の上に置いた。そのビンには紫色の液体が入っている。
そしてその液体が、ぷるんと震えたと思ったら。
「スライム同士。よろしくなノ〜!」
と声が聞こえる。
「え? 嘘だろ?」
「私も驚いたわ。まさかスライムがこの子以外にいるなんてね」
姫崎さんは、スラ子を見つめながらそう言った。
俺は、驚愕した。スラ子以外のスライムが存在することに。そのスライムが姫崎さんによってビンから放されるとスラ子と同じ形状になり名を名乗った。
「ライムなノ〜。宜しくなノ〜」
ライムと名乗ったそのスライムは、仲間がいたのが嬉しいのかぽよぽよと揺れ感情をあらわにしていた。
スライムを持った転校生。姫崎 夜華。
そして、もう一匹のスライム。ライム。との学校生活が始まったのだった。




