第11話 リボンとスラ子
休日明けの朝。
「春一。おはよー!」
俺こと春一は、自分で言うのもおかしな話だが。元気がない。とぼとぼと学校に登校すべく歩いていた。すると、後ろから元気な声で挨拶が飛んできた。
この声は、多分、幼馴染の奏だろう。そして俺の元へ駆け寄ってきた奏が俺をみて一言。
「やぁやぁ! 元気がないねぇ。どうしたの?」
……どうしたもこうしたもない。俺が元気のない理由。それは、スラ子がいないからだ。そう俺は、この土日の間。ずっと一人だったのだ。いつもいるはずの可愛いスラ子は、奏の家にお泊りに行ってしまった。
「スラ子は? 俺の可愛いスラ子は?」
「スラ子ちゃんならいるよ? ねぇ。スラ子ちゃん!」
俺にそう問われた奏は、手提げバッグの中を覗きながら答えた。
「春一さん! 目を瞑っててくださいでス〜!」
「え? なんで?」
奏の手提げバッグの中から俺の可愛いスラ子の声がしたと思ったら目を瞑って欲しいとの要望に頭にはてなが浮かぶ。
「いいからいいから! ほら瞑って!」
俺は、よくわからないながらも目を瞑る。
「喜んでくれるでしょうか〜」
「絶対喜ぶよ! 驚きすぎて腰抜かすんじゃないの?」
俺が暗闇に閉ざされてる時にコソコソと話している奏とスラ子。声が小さくあまり聞き取れない。
「はい! 開けていいよ!」
「ん。………なっ!?」
奏からオーケーが出たので目を開けると
天使がいた。
「ど、どうでしょうか〜? 似合ってますでス〜?」
俺の視線の先。奏の手のひらの上。そこには、赤地のリボンに白玉のまだら模様が入っているリボンを付けたスラ子が顔を赤くして縮こまっていた。
「あぁ…。なんて可愛いんだ……」
俺は、その姿に、目を奪われ。感動して思わず感情を口に出してしまった。
「えぇ!? はずかしいでス〜」
「良かったねスラ子ちゃん!」
その言葉にスラ子は、恥ずかしがり。奏は、スラ子を讃える。
「それにしてもどうしたんだよ。そのリボン可愛すぎか」
「これは、お泊まり中に、奏さんと買い物をした時に見つけたんでス〜」
「似合うでしょー」
「ああ。似合うって言うもんじゃないぞ。これは、天使だ!ついに俺は、天使をこの目で見たんだ!」
そして、俺は、新たな天使スラ子と共に学校を目指し歩き出したのだった。




