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それから来る日も来る日も訓練が続いた。
武器での戦闘、能力の扱い方、召喚の訓練。
休憩時間も少なくなって、昼夜問わず戦い方を叩き込まれる。そんな様子から、連中も余り時間の余裕は無くなって来たようだった。
戦場の状況は聞かされないが、窮地に追い込まれているのかもしれない。
俺も時間を稼ぐのは難しくなった。
「一時はどうなるかと思ったけどよ!召喚もコツさえ掴めばなんて事ねぇな!」
「そりゃ良かったな」
マルも無事に能力を示す事が出来、後はそれに磨きをかけるだけ。
ココの連中の雰囲気からしても、戦場に趣く日はそう遠くはなさそうだった。
そんな時、リューからの声が頭の中に届いた。
『アスカ…彼女の事で』
『なんだ?』
『いえ……私達がココを出るまでには、目覚めるのは難しいでしょうね』
『そうだな……』
考えたくない事だったが、それは間違いないだろう。自分達七人がココを離れ戦場に趣く頃、まだフゥはあのガラスから出られないまま。
『……彼女に繋がれてるコードやパイプ類なんですが』
唐突といえば唐突なリューの言葉に、一体何を言い出すのかと思ったが、確かにリューのその行動には見覚えがある。
『あぁ、お前しょっちゅう見てたよな。何か気になるんだろ?』
『えぇ……一つだけ』
『?』
『あれには、我々とは異なる……妖魔には関係のないモノが流し込まれているようですよ』
『なんだって…?』
どういう、意味だ?
フゥも明らかに自分達と同じ妖魔だ。
なのに、それに関係ないモノが流されている?
『なんだよそれ』
リューから返って来た答えは、ある意味衝撃だった。
『―――人間の、魔力』
『……にんげん、の…?』
益々訳が分からない。
何故妖魔の身体に人間の…だけど、それが多分。
『フゥが出られねぇのは……俺達と違う立場なのは、そのせいか』
『恐らく。連中は彼女に私達とは違う実験を行っている。それが妖魔の能力と人間の魔力との融合という事でしょう』
『チッ……何だよ、それ』
妖魔のチカラだけでは飽き足らず、人間のそれまでも合わせる。
そのどこまでも身勝手で傲慢な考えに、反吐が出そうだ。
そのせいでフゥは出られない。
人間達の強欲な思考の為に。
成功するかどうかも分からないまま、長い間あの無機質な透明のガラスと液体に囚われ続けている。
無理矢理にでも出してやりたいのに、そうすれば何が起こるか分からない。
下手をすればフゥの命が無くなる。
……危険すぎた。
結局何もしてやれないまま、拳に強く強く力を込めて握り締める事しか出来なかった。




