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「―――ッはぁ!できたぁ!」
植物やら鉱物、動物を何も無い空間に召喚する。
その訓練の時間。
「マジ?ペルすげぇじゃん」
「ふふん、クロにもできたのよ!私にだってすぐ出来てもおかしくないじゃない!」
七人の中で紅一点のペルが、満面の笑みでそう告げていた。
ペルの目の前には、一輪の桃色の花が咲いていた。
「その割に時間食ったじゃねぇか…しかもめっちゃクロに教わってたし」
「うるさいわね!マールなんか全ッ然出来てないじゃない!」
「うっ…」
時間を食ったといっても、ペルが成功したのは七人の中でも四人目だ。
更に下にいるマルが何かを言える立場には無かった。
皆まずは自分の一番得意な属性召喚から行っているが、ペルの双子の弟であるクロは魔力も高く飲み込みも早いのか、既に全属性の召喚に成功している。
これでクロがコツを教えたり出切れば、皆も上達が三倍は違ったかもしれない。だがクロは喋る事が苦手で表情変化にも乏しく、何を考えているのか理解し難いので教える立場には全く向いていなかった。
「ごめん……僕、教えるの下手で…」
「クロが謝る事ないのよ!あっちがコツを掴むのが下手なんだから!」
「いや、でもお前も時間かかっ」
そう突っ込みを入れようとしたマルだが、ペルにギロリと睨まれさっと視線をあさっての方向へと逸らし、話題も逸らした。
「い、いや~でもクロはすげーよ!ホント召喚もあっという間だったしさ!」
「当たり前じゃない。クロは凄いのよ!」
「でも…僕体力ナイし、武器の扱いもニガテだから……」
皆それぞれ得意不得意な分野がある。
魔力が高い者、武器の扱いに長けた者、戦略に長けた者。
俺自身は武器派だから魔力を多く消費するこの訓練は苦手な方なんだけど。
『アスカ』
ふと、頭の中に響いてくる声。
その声の主の方へ一瞬視線を移すと、バッチリ目が合った。
リューだ。
フゥと三人で頭の中での会話をした後、俺とリューは二人でも時々声に出さない会話をしていた。




