Well, I've gotta now 1
あの日、リューとフゥに会いに行った時から。
以前にも増してフゥの事ばかりを考えるようになった。
リューが言った言葉。
『アスカは、フゥさんが好きなんですね』
好き。
嫌いの反対。
俺はフゥの事が嫌いじゃないし、それは好きという事で。
でも、だとしたら他の連中はどうだろう?
リューを始め、同じ境遇となった仲間達。
こいつらの事は“好き”と“嫌い”で分ければ前者だ。
自分達の身体を勝手に改造して利用するココの奴ら。
考えるまでもない。“嫌い”だ。
だが、リュー達と接して感じる“好き”と、フゥに感じる“好き”はどうも何かが違う気がする。
「フゥ」
彼女の名を声に出して呼んでみる。
じわりと、胸の奥底から温かさが滲み出て来るような感覚。
「リュー、クロ、ペル、マル、ハビ、レン……」
続けて皆の名も呼ぶ。
やっぱりどことなく安心感というかホッとする暖かさ。
一部イラッとする箇所はあったけれども。
だけど。
だけど、皆の名を呼んだ時とフゥの名を呼んだ時では暖かさの感覚が違う。
どこがどう違うのか、ハッキリと説明はし難かった。
「フゥ…は」
毎日会いたい。声を聞きたい。声が聞けなかった時は不安だった。
初めて会えた時は嬉しさ以外感じなかった。
フゥをあの狭い空間から出してやりたいし、出られたら髪も瞳も肌の色も確かめたい。あのちっこい身体を抱きしめたいし、隣で一緒に歩きたい。
笑顔が見たいし、他にどんな表情をするのか知りたい。
フゥの、全部が……知りたい。
「―――あ」
ふと、そこまで考えて思わず声を漏らす。
一瞬頭の中に浮かび出てきた言葉。
「あぁ、そうか……俺は」
どうして今まで分からなかったんだろう。
忘れていたんだろう。
人であった頃は確かに持っていた筈の感情。
この、感情。




