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「彼女は……寂しかったでしょうね。ずっと、あんな場所で一人っきりで」
フゥとの会話を終え、自分達が住居として与えられている部屋へと戻る途中リューがぽつりと呟いた。
「…そうだな」
「でも、アスカと話が出来てとても喜んでましたよ?」
「ん?フゥが言ったのか?」
その言葉に隣を静かに歩くリューを見れば、何とも柔らかい微笑を携えてこちらを見つめる金茶の眼と視線がぶつかった。
「えぇ。意識だけが眠りから醒めて、自分がどういう状況なのかも分からなくて…でも、アスカが応えてくれて、とても嬉しかったと」
「そっか……」
思えば、最初は声が聞こえた時気味悪がっていた。
だが言っている意味が分かるようになってからはどんどんあの声が聞きたくなっていって、どんどん引き込まれて行った。
無視なんかしないで良かった。
フゥの声が聞こえたのが自分で良かったと今では思う。
「アスカはフゥさんが好きなんですねぇ」
「んん?」
すき……?
って、嫌いの…反対?
「そりゃまぁ嫌いじゃねぇし。って事は好きって事じゃねぇの?」
「いや、そういう―――いえ、そうですね」
「?」
リューは珍しく言い淀んでいたが、それ以上その話は続けてこなかったのでこちらもまぁいいか、とそのままお互いの部屋へと別れた。
次にフゥの所へ行けるのは何時になるだろう。
フゥは何時になったらあそこから出る事が出来るだろうか。
自分達がココを発たなければならなくなった時…
フゥは、目醒めているんだろうか。




