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それからリューには今までの事や声の主についてを全て話した。このまま隠し通すなんて芸当もとても無理だ。
「そんな状況だと、どこかに閉じ込められているか……それとも、私達が眠らされていた時の状態のような感じに近い気もしますね」
「俺もそう思った。でもココに居るかどうかも分からねぇし、そもそも俺達みたいなのが他にいるって話も聞かないしな」
実験体となったのは七人。
研究員にはそう聞かされているが、本当の事を全て晒しているとは到底思えない。実験というからには成功の他に失敗ももちろんあっただろう。
「んー……その辺はちょっと探ってみますか。それは私に任せて、貴方はとにかく呼びかけ続けてみて下さい」
「あぁ……すまねぇ、リュー」
「いいえ。私も気になりますから。見つけてあげましょう。その方はきっと……一人で寂しがっている」
リューとの会話の後もずっと呼びかけ続けていた。リューが言った言葉が頭から離れなかった。
『一人で寂しがっている』
何も見えず、聞こえず、指の一本も動かせない状況で。
意識だけが覚醒したアイツは困惑しただろう。
だからアイツも呼びかけていた。
『ココハドコ』『ダレカイナイノ』
と、ずっと。
それが、自分に届いたのだ。
何故だかは分からない。
他の六人には聞こえていないようだし、理由など考えても考えるだけ無駄だ。
確かにリューの言うように、アイツの声は寂しそうだった。
「アンタの声、聞かせてくれよ……聞きたいんだ」
誰も居ない薄暗い廊下の片隅で、知らず知らず声に出してそう呟いていた。