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Prologue
『――――……』
あぁ、
まただ。
声が聞こえる。
誰だ?
その辺から聞こえてくる訳じゃない。
まるで頭の中に直接響いてくるような感覚。
小さすぎて不明瞭で、なんて言っているのかも分からない。
だけど、聞こえる。
アンタ、誰だ―――?
***
これもこの新しい『カラダ』の能力という訳だろうか。
そんな考えがふと過ぎる。
「なぁ、なんか変な声聞こえねぇ?」
「変な声?……その辺にいる研究者の声とかじゃないんですか」
隣を歩いていた男に声を掛けるが、返ってきたのは自分が欲しい答えとは違っていた。
「いや、そうじゃねぇ。なんつーか……頭に直接響いてくんだよな。ちっさすぎて何言ってんのか分かんねぇけど」
「頭に……?さぁ。私には聞こえませんけど」
「そうか」
この男以外にも、自分と同じ立場の者に聞いてみたが皆一様に答えは同じだった。
という事は、特にこの『カラダ』の有する能力という訳ではなさそうだ。
『――――……?』
あ、また。
なぁ、アンタなんなんだ?
誰なんだよ。
―――教えてくれよ。