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異世界の伊東家たち  作者: 織姫彦星
初めての冒険編
8/36

第8話「そして、はじめての冒険(3)」

 俺たちは森を探索するため森を徘徊していた。


 この間も村の危険を考えたが、警備兵がくるまで、どうか門を

 閉めておいてほしいと言っておいたのでひとまずは大丈夫だろう。

 集まった群をだいぶ減らしたのか

 この数日こなかったこともあり、とりあえず回りを警戒しつつも

 遭遇率は決して高くなかった。


 数匹遭遇したが、いずれも問題なく撃退する。


 相手の動きが手に取るように分かるのが実感に繋がった。


 楽しいなと思えるようになっていた。そしてこうとも考える。


 なるほど、こんな成長をしたらそりゃ国がほおっておかないな。

 そんなことを思いながらも歩きながら、移動している俺たちは

 ふとある外套をした人たちを見つけた。


 たしかにコソコソしてるな。どうみても怪しいそいつらを見つけた俺たちは

 気配を消して、近づく。


 格好は、黒い外套のようなものを着ており、いずれも

 身長が高かったり低かったり、この時点で一様にみんな身長の低いこの村の

 獣人ではないことが分かる。それにあんな危険な目にあった村の人が、

 うろつくのもおかしいし。


 そうして近寄ると、話が聞こえてきた。


「さっさとずらかるぞ。俺たちが今度は襲われちまう。」


「だがおかしくないか?あれからすげー数の餌肉撒いたってのに、

 ガルルウルフの数が減ってるんだぜぇ?」


「バーストタウラスも解き放ったと聞いていたから

 同士討ちでもしたんだろうよ。」


 そんなことを話しているそいつらが犯人だと、俺たちは頷き

 全力で距離を詰めた。俺はその速度に驚いた。

 なんせ、ミネローズさんとルクスさんよりも相当早く来てしまったから。


 二人もそんな俺を見て驚いていた。


 だが、それどころじゃない。


 不意を突かれた外套を着た男たちは俺たちを驚いた目で見ると、

 とっさに手持ちの武器を取り出した。


「お前たちか。変な肉ばら撒いてたやつらは……。」


 そういうと、俺は背後へ回り込んで手刀を構え相手の延髄に叩き込んでいった。


 一人はみぞおち外の腹部を殴りつけ、気絶させないようにした。


 それを押さえつける。


「な、なにもんだてめぇら!く、くそっはなせ!」


 男は必死に俺を振り払おうとするが、

 俺が完全に押さえつけているためもがくのみで何もできない。


「さあ、話してもらうわよぉん?うふふ……。」


 彼からは普段からは感じられない怒りに

 俺も少しひるむが、それも当然か。


 俺だって腹から煮えくり返る思いだ。


「な、なんのことだか……ぐぁ!」


 とぼけようとする男にミネローズさんは

 男の手に剣を突きたてた。


 うわぁ、痛そう……。


 手をそのまま刺して、ぐりぐりしてるんだから。

 ……この人間違いなくSだな。


「お、俺たちは……ぐ……た、ただ頼まれた……だけだ……。」


「そいつは誰だ?」


「い、言えるわけ……ぐあぁ!」


 そして今度は逆の手に剣を

 刺して、ぐりぐりするミネローズさん。


「いいかしらぁん?今はこの程度だけど、

 ……私ってこういうプレイって大好物だから

 素直に言わないと……もっとひどいわよぉ?」


 プ、プレイってあーた。


 その言葉に青い顔をした男は、素直に自供をはじめた。

 なるほどな。不要なものを追い出す卑怯さはどこの世界にも

 あるもんだなと俺はその時思った。


 そうして俺たちはリュックへ念のために入れておいた縄で男たちを

 木に縛りつけ、先ほど聞き出した男一人を連行して近くにあるという町へ案内させる。


 縛られた連中は運が悪ければ、ガルルウルフに襲われるだろうが

 俺は自業自得だと割り切りつつ、やりすぎたかという思いに苛まれた。


 町はわりと小さいところではあったが、それなりに施設が整っているらしい。


 男を連れて、警備兵の兵舎へ向かった。

 そしてオーブルの町で兵士を勤めているルクスさんが間に立って、

 事情を説明すると警備兵は快く引き受けてくれた。

 早々に出立をするその手際のよさに感服をした。


 また、ギルドへの討伐の依頼を行いに行くため、

 ギルドへ行き今度はミネローズさんが説明すると

 職員が納得をしてくれて、すぐに手続きをしてくれた。

 手続きの方法はミネローズさんが引き続き行ってくれ、

 村から渡された報酬金を払った。


 その際にふと討伐系の依頼を見たが、特にそれ関係の

 依頼が見当たらなかった。普通だったらあんなのが出たら、

 あってもよかっただろうに。


 そして、兵舎へ戻ってきた俺たちは、また話し合いを行う。


「それで?考えているんだろう?捕まえる方法。」


 ルクスさんが、飲み物を飲みながらそう聞いてきた。


「まぁ一応。外套で顔を隠し、報告する振りをするんです。

 幸いにも入る時の合図とかは聞きだしてますし。

 警護兵の人も一緒に来てもらって、言質とってもらいます。。

 心苦しいけど、証拠のためにこれも持ってきましたから

 相手も油断するはずです。」


 そう言って俺は、ユフィさんミフィ親子の大事な家族である

 父親の体の一部、うさ耳を取り出す。

 あの時千切れていたものを持ち帰り、渡したものをまた改めて、

 借りてきたのだが、正直胸が痛すぎる。

 犯人捕まえるためとはいえ、こんなことをしなければいけないということも

 それを思い出させるようなことをすることに。


「……君は優しすぎるな。そこが欠点にならなければいいんだが。」

「そうねぇん。あなたの優しさを私の抱擁でつつんであげたいわぁん。」


 ブルッと鳥肌が立ったが、

 ミネローズさんの言葉は聞き流しつつ、

 それを警護兵の方にも伝えた。


「わかりました。少し危険ではあるかもしれませんが、

 我々も協力させてもらいますよ。」


 と言ってくれた。


 よし、とりあえずは下見も兼ねてその店にいってみるか。

 そのまま男に聞いた店まで行く。

 そこはとてもこの町にはそぐわないほどの外観をしていた。

 どうやって儲けたのかは知らないが、それほどに小さい町には

 ありえない豪華さを放っていたからだ。


 そして近くを通るふりをして、男が不自然に店の前にいることに気づく。

 事前に外套の男から聞いていた通りだった。

 店には自然を装った見張りがいるということ。

 もう用はないなと、引き返そうとしたその時、

 何かにぶつかった。


「っと、すいません。」


 俺がそういうと、フードを被った男の目が俺を射抜く。

 どうやらこの人にぶつかったらしい。

 しかし、なんて目だ。

 そこから見えた赤い目は俺を射抜くかのような目だったが、

 一瞥をすると前を向いて、小さい声で


「……こちらこそ。」


 と、言って立ち去った。

 その先には狐のような獣人がいて、

 彼に礼をするとともに姿を消した。

 持っていた長物っぽいのって武器か?てことは、

 用心棒みたいな感じか。

 俺はしばらく見ていたが、

 気を取り直して二人とともに店を後にした。


 そしてその夜――


「それじゃ、手筈は以上です。一応念のために、外套に隠れる武器は

 忍ばせておいてください。」


 と説明した上で、その問題の店へ向かった。


 店に行くと、近くに潜んでいるミネローズさん、ルクスさんや包囲をして

 くれている警備兵さんに頷くと

 まだ灯りが点いていたため営業をしていることを確認し、店の扉を開ける。


 さあ、ここからだ。


 俺は、声を男に似せるために低い声を意識して、男に聞いた合図で店に入る。

 店の前に立っていた男に案内をされ、その奥に通された。

 部屋に入ると、昼間に見たことがあった二人の人物がいた。

 あの狐の獣人と、その横にいたフードを着た男だった。

 そうか、あいつらがそうだったのか。


「……お待ちしてましたよ?それで守備はどうなってますか?」


 狐の獣人は、そう聞いてきた。

 俺は落ち着きながら、男のように


「へ、へい。今日も朝から餌を撒いてきましたが……あのモンスターが同士討ちしてるのか数が減ってやすね。」


 ……。


 難しい。


 そんな風に演技について考えていると、


「……そうですか。バーストタウラスを暴走化させたのは失敗……でしたかねぇ。まぁいいでしょう、奴を倒せるほどの冒険者はそうそういません。……村には万が一でも被害が及ばないようにしないと……ね。」


 は?

 フードを着た男がピクっとなる。

 な、なんだ?

 俺はその話とフード男の仕草が気になったが、一瞬にして頭から離れた。

 狐の獣人は、俺から距離を取り、フードを着た男が立ちふさがったからだ。


「君たちがガルルウルフをやったのでしょう。

 ……ばれているのですよ。」


 そう言って、フードの男が距離を一瞬で詰めて俺に隠していた槍の獲物を

 突き立ててきた。

 くっ。

 俺は油断したが、なんとか避けて外套を破いた。

 顔が公になった俺はいまさら隠す気もなく、狐の男に聞いた。


「……なんでわかった?」


「匂いですよ。」


「あ。」


 そ、そうだ、獣人族ってのは匂いに敏感だ。

 そのことをすっかり忘れていた。

 いつもの外套の男の匂いを知っているこいつらは、

 別の匂いに違和感を感じたのだろう、明らかに誘われたってわけか。

 俺は自分の甘さにイラつきながらも、狐の獣人を見据える。

 だが、それを守るかのようにフードを着た赤い目をした男が立ち塞がる。

 赤い目?

 俺はこれと同じ目を見たことがある。

 まさか?


「……お前、兎の獣人か?」

「!」


 やはりそうだった。

 ビクリとしたその一瞬を、俺は見逃さなかった。

 この近くの別の村からの出だろうか、そうじゃなければ、

 こいつがあの狐を庇う理由が理解できない。


 そう思うと俺は、すっと構えを取る。

 武器は短剣しかないが、ないよりはマシだ。

 そして、見張り役や店にいた男が俺たちを包囲していく。


 言質のために協力してくれた警護兵も若干焦りつつ、外套を脱ぐ。

 くそ、まいったな。

 あきらかに計画の杜撰さが招いた状況だ。

 何かないか、何か……。


「お前たち、そいつらを逃すな。……ラビィ、お前はその目の前の男を殺せ。」


 そういうと狐はクックックと笑い声を上げた。


「……死ね。」


 そういうと、店の中にも拘らずそいつは鋭い突きを放ってきた。

 は、早いっ。

 そいつの速度は、成長した俺の目にも捉えられるものではなかった。

 ぎりぎり避けるが、やはり少しあったかのような痛みを感じた。

 ……くそ、強いぞこいつ。


 俺は、狭い空間でしかも複数人がいる状況で、得物は短剣という悪条件に

 苦虫を噛み潰したかのような顔を浮かべているのが分かる。

 なんか絶対絶命って感じだよなこれ……。

 それに気をよくしたのか、狐は椅子に座りながら


「あれはある種の実験なのです。その守秘を誰も侵してはならないので、

 死んでいただくしかないのですよ。諦めてください。」


 俺と警護兵。

 間に挟まれた俺たちは、どうしようもなくなってしまう。

 そして、隙を突いたフード男が鋭い突きを繰り出した。

 渾身の力を込めて、それを受けるがそれてしまいそれが肩に突き刺さった。


「ぐあぁ!」


 俺は、肩を抑えると同時にポロっと俺の持っていた

 あの家族の形見を落としてしまう。

 まずいと思ったその時、


「そ、それは!」


 と、ふと前の男の動きが止まった。

 ん?なんだ?

 無理やりちぎれたようなそのうさぎの耳をじっと見て、考えている。

 鼻をひくつかせながら。


「貴様、その耳の持ち主をどうした……。」


 抑えた低い声に俺は、ゾクっとした。

 堪えられたその怒りにはものすごい怒りを感じさせた。


「ひ、拾った。ガルルウルフに襲われていたらしく

 俺たちが着いた頃には……もう。」


 その時のことを思い、少し胸が痛くなった。

 すると、


「な、なんだと!?」


 と、フードの男は驚いていた。

 どういうことだ?

 だがまぁいい。動揺しているうちに、


「お前、兎の獣人なくせに、自分の同族であるほかの村が

 襲われてるってのによく平気でそんな別種族の味方ができるんだな……。」


 フードの男に対して言い放った。

 だが、男はわけがわからないと戸惑った表情をしていた。


「な、何をしている!早く殺せ!!」


 狐の男は何かを焦ったかのように男へ命令をする。

 なんだこいつら……。

 そして俺は考える。違和感、違和感……。

 そういえば先ほど聞き流していたが、あの狐は最初なんて言ってた?


 ……村には万が一でも被害が及ばないようにしないと……ね。


 俺はその文言を思いついた。

 な、なるほど……俺はたいして頭が成長してないことにがっかりするも、

 それを思い出したことでなんとなく話しが見えたような気がした。

 村にはやつのいうような護衛なんてのはいなかった。

 別の村を考えたが、ここからはかなりの距離がある。


「お前、村は守るから実験のために協力しろとかなんとか、

 そういわれてるんじゃないのか?」


 そう言うと、フード男はますます驚いた顔をした。

 やっぱりそうか。


「その耳の人は助けられなかったんだ。だが、その娘のミフィという子は助けた。

 そしてそのあとに、ガルルウルフが群の集団となってきた。

 それらを撃退はしたが、その死の匂いを嗅ぎつけたのか……バーストタウラスが

 来てね。そいつも村人と協力して倒したけど。」


 淡々と説明してやった。

 すると、フード男は一瞬俺を睨むと、狐のほうへ向き直り。


「約束……だったはずだ。 村は守ると……。」


「ば…そんな奴らのいうことを信じるのかね?わ、私は商人だ。約束をたがえることなどあるはずがないだろう!それに君にも手に負えないバーストタウラスを倒すなどできるはずがないだろう!」


 と、焦った狐は余計なことまで言う。

 そうか。


「その倒せないモンスターを森に解き放って、

 果たして護衛何人がかりで倒せると思っているんだ?

 絶対あれは数人で倒すことは難しいと思う。そうだな、相当な熟練を積んだ

 冒険者が必要になるはず。けど、冒険者ギルドの依頼にそういった依頼はなかった。」


 俺がそのことを追求すると、狐は相当動揺した顔をした。

 こんなやつがあんなに人のいい人たちを……。

 俺は一瞬で距離を詰めようとするが、フードの男に静止された。


「待て。お前は人を殺したことはないんだろう。ここは俺が殺す。」


 そう言って、問答無用に槍を狐へ突き立てた。


「がっ!」


「俺とお前の契約は、村に手を出さずに護衛を配置しあくまで

 貴様が実験のためとした目的による護衛が交換条件だ。

 だがそれをお前は違えた。ゆえに……。」


 そう言うと、フード男は槍を再度振り上げ、


「……死ね。」


 頭に向かって、そのまますごい速度で振り下ろした。


 ―ガキンッ!


 俺はそれをなんとか先回りをして短剣で受ける。

 槍の威力を消しきれなかった短剣はあえなく砕けて、

 また俺の肩に槍が刺さった。

 お、俺こんなんばっか……。

 そう思いながらも、痛みを堪えつつフード男を見据えて呟く。


「こ、こいつをただで殺さず、それなりの罰のために生かすべきだ。」


 それに対して、フード男はくっとのどを鳴らすと槍を引いた。

 一連のやり取りを見て、警護兵を取り囲んでいた男たちは

 これまでと思ったのだろうか、一目散に逃げ出した。

 ……まぁ、袋のねずみだが。

 外にはミネローズさんやルクスさんと一緒に、警備兵の人たちが

 逃走阻止用に取り囲んでいるんだから。


 俺は持っていた縄でフード男の剣気に当てられて気絶した狐を拘束し、

 警備兵に謝罪しながら、槍を下ろしその場に立ち尽くすフード男の肩を叩いた。

「お前ってミフィの家族か?」


「……ああ。」


「……そっか。」


 俺たちはそう言葉を交わすと、静かにその場を立ち去った。

 フードの男、ラビィだっけ?

 ラビィも一連の事件に関わっているとして、警備兵に連行された。

 いくら交換条件にといっても、協力していた罪は消えないだろう。


 そして、獄室と呼ばれる牢屋に入る前にラビィに尋ねてみた。


「俺たちはこのことが解決したら報告のため、村へ立ち寄る。

 ……ミフィやユフィさんに何か伝言は?」


 それに対して、立派な耳にピアスだろうか、光るアクセサリをした

 耳と赤い目をした精悍な顔つきのラビィは呟くようにいった。


「村を守るためとは言え、迷惑をかけてしまったと。

 それから、お前には心より礼を言う。村を救ってくれて感謝する……。」


 俺が渡した彼の父の形見となる耳を見ながら、涙ながらに言う彼を見て

 俺は一抹の寂しさのようなものを心の中に宿した。

 結局彼も、家族のことを愛しているがゆえのことだと。


 その後俺たちは、警備兵に改めて今回の計画についての杜撰さにより

 危険を冒してしまったことを謝罪した。

 警備兵の人たちは気にしなくていいと言ってくれたのが救いだった。

 その夜は宿屋に泊まり、久々のベッドで休んだ。

 そして、次の日、昨日やられた傷が塞がっていることに驚きつつも、

 警備兵の兵舎に立ち寄って進展具合を聞いた。


 狐の男は、犯行を認め、

 村から住人を追い出し、その土地をひいきにしている有料客へ

 売り出すための目的と自白したらしい。

 その背後関係に別組織があるかを調査したりしたが、

 今は分からないということだった。


 俺としては、あのモンスターを狂わせる謎の粉が不可解でならない。

 あれって俺らが住んでいた世界でいう、覚せい剤っぽいし。

 そんなこんなで、俺たちは町を出ると、まずは一路目的のものを

 収集するため歩き出した。


 出るときに、見た金髪を見て依頼を思い出したからだ。

 危ない、そのまま村に立ち寄って帰るところだった。


 そんな俺たちは、一日近くをかけ、

 なんとかコルド炭鉱まで着いた。

 近くを探索したが、目的となるものを見つけた俺は

 そのままリュックにしまった。


「はぁ、やっとここまできた……。」


「うふふん。割と長かったわねぇん。」


「まぁ旅には予定外はつき物だよ。」


「よ、予定外すぎたというか……。」


 俺たちはそんなことを話しながら、帰り道に再度村へ立ち寄った。


 村の入り口には警護らしき人たちがいて、連絡が回っていたのか

 俺たちに礼をしてどうぞと声をかけてきてくれた。

 そして、俺たちに気づいたのか村の人たちが集まり、

 どうぞどうぞと村の集会所のような場所へ連れて行かれた。


 遅れて、ユフィさんとミフィも来た。


「あなた方のおかげで犯人が捕まったというのは

 すぐにこの村にも連絡がきました。

 本当にこれ以上なんて言ったらいいのか……」


 ユフィさんは涙ながらにそう言ってきた。

 本当によかった。


 あとやっぱりいうわ。ユフィさん萌え~。


「あのそれで、お兄さんのこと……。」

 俺はこの一連に関わってしまったラビィのことを話した。

 そして、ラビィからの伝言も。

 話を聞いている間、ユフィさんは辛そうに顔を歪めながらも

 黙って話を聞いていた。


「……そうですか。ラビィは村を出て我々の生活のために

 色々仕事をしていたようですが、

 まさか犯人たちに利用されていたとは言え……

 それもあなた方に出会ったことで改心したようで何よりです。」


「いえ……。」


 そのことを聞いていたのであろう、周りがしーんと静かになる。

 彼はこの村のために行ったが、結果的にこの村に

 危険なものを解き放った協力者であるがゆえどうしようもないのだろう。

 その空気を払拭するかのように俺は、


「さ、あなたたちの英雄様が帰ってきたんだから!盛り上げてくださいよ!

 お、そこの人!あなた可愛いですね!ちょっとお酌をしてください!」


 と、言いながら近くにいた村の娘らしき人に話しかけた。


「いや、わし男じゃが……。」

「ぇ……。」


 とそのやり取りが面白かったのか、先ほどまでの空気はなく

 みんなが一様に笑いあった。

 う、うーん。空気変わったはいいけど、

 この顔を赤くしているおっさんどうしよう。

 だが今くらいはいいだろうと思って気を取り直し、

 今は脅威の去ったこの瞬間をみんなで祝おうと盛り上げた。


 その翌日、討伐隊のリーダーなる人が来て、

 ギルド依頼による討伐隊が組織され、徹底的な探索を行ったせいか、

 この村に害となる肉を食べたモンスターたちを

 殲滅したと長のほうに連絡がきた。

 依頼者であるミネローズさんが、そのリーダーの手帳に触れ無事に

 依頼が完了した。


「これでこの村もようやく平穏になりましたね。」

「うふふん。私も鼻が高いわぁん。」

「兵士をしててこんなことが経験できるとは思わなかったよ。」


 そう口々に話をしていた。

 そんなわけで俺たちもいつまでもここに居るわけにはいかないため、

 再びもう一つの収集依頼をこなそうと旅にでることを告げる。


 村のみんなが一様にもう少しと引きとめたが、

 それを俺たちは丁寧に断り、再度、村のみんな総出で送りだされた。

 また必ず来ることを誓って。


 今度は俺たちの家族を連れてこよう。


 このもう一つの家族たちへ紹介するために。

純白よりも筆の進みが速い・・・・・・。


読んでておかしな部分を修正。

次回はその後のプロット変更の都合で、

まだ冒険が続きます。


字下げ等修正(3/28)

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