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県立正傳高校  作者: 白苑
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第三話:会話?

 この明るく美人な女は誰だ?と思ってしまった。あの小戸神の自己紹介で他の人の自己紹介など覚えていない。

「あ、自己紹介聞いてなかったでしょ?私は久須見くすみ 春海はるみ。おし、脳内に入ったかな?」

 俺が頷くと久須見は満足そうに頷いた。結構愉快な奴だ。小戸神とは大違いだな。

「いやぁ〜私ね?今まで最初は興味本位で小戸神に話し掛けてた奴らを見てきた隣の貴方が話しかけたのが面白くてね」

 つまり、無残な結果に終る事を自分からやっている姿が面白かったらしい。俺は好きでやったわけじゃない。

「あ、そうなんだ。でも、まだ貴方はましなほうよ?もっとぼろくそ言われた奴はイッパイいるんだから」

 ケラケラ笑いながらずいぶん1人でツボにはまっているようだ。そんな事知っているさ。


 俺だって最初は、小戸神の顔と女子と話してる雰囲気を見れば普通にいいなぁ〜って思っていた。そりゃあ俺だって健全な男子高校生だ。女子とはお近づきになっておきたいものだ。が、相手は俺の望みを核爆発を起こした勢いでぶっ壊してくれた。


 前にちょっと顔のいいギャル男が小戸神に話し掛けていた。

「ねね、この後暇?親睦も兼ねてさ、何人かで遊びいかない?」

「いかない」

 即答である、まさに光の速さの如く断りを入れていた。

小戸神はそいつの顔もみないし、席に座って目線を前のほうに向けていてピクリとも動こうともしない。

「いいじゃん、ちょっとだけだからさ。ていうか、もう来るしか無くね?俺が誘ってるんだからさ」

 はぁ、うちの学校、いや、このクラスにこんなアホな奴が居たとはちょっとばかりショックだ。それに、小戸神は額に血管が浮き出るんじゃないかというくらいすごい顔をした。

「ふざけんな!なんで私があんたみたいな下等な奴と一緒に居なきゃいけないわけ?遊びに行くですって?はっ!!1人でカラオケ篭ってアニメソングを熱唱してろボケがっ!!」

 いや、確かに男の言ってる事もあれだったが、こいつの言ってる事もすごい。ていうか、女がこんな言葉を発する所を始めてみた。いや、都会の中心部いけば居そうではあるが。

 その名前も知らないギャル男くんは、小戸神の発言を聞いて自分をみてくる視線に耐えられずにどこかへ逃げていった。ご愁傷様である。


 まぁこんな事が俺の隣の席で起こったのだ。しかもこれだけではない。男なら誰でもこんな感じで追っ払うのだ。できれば自分からは仕掛けたくないと思うのは当然だろう?

 が、ゲームをし、その途中で武藤が提案した罰ゲームを実行した俺を誰が責められよう?俺はただ忠実に事を実行に移しただけだ。

「ま、でもさ。私も友達として男とも仲良くしてほしいわけよ?だからさ、隣なんだしちょっち粘ってくれない?」

 また妙なお願いをされたものである。小戸神と仲良くだって?俺が望んでも小戸神が受け付けないだろう。あいつは男に対する赤外線とバリアを張ってあるのだ。男が近づくと赤外線が察知して、バリアを展開する。更に威圧感までだしやがるぞ。

「そこを頼んでるんじゃない。小戸神が男と話すようになればクラスの雰囲気もずいぶん良くなるしさ。それに行事とかあるときに困るっしょ?普通に話せないのって」

 まぁ確かにその通りではある。男は小戸神を避けてるからなんとなくそこら辺の雰囲気は悪いものである。改善できるならしたほうがいいに決まってるのだが、なぜその役目が俺に回ってくるのかが理解できないぞ。

「細かいことは気にしないのが、人生上手くやってくコツだよ?ま、とりあえずね。まかせたよっ!」

 と、言い残し女子の輪の中に入っていった。あの中にはは入れないな。

「おいおい、どうするんだ?お前」

 武藤は面白がっているだけのようだ。他人が犠牲になって面白いことをやるなら確かに面白がるだろうが、ものすごくむかつく。

「危ないんじゃない?あまりしつこくするとぶっ飛ばされるって聞いたよ?」

 犠牲になる俺を心配してくれてるらしい渡辺をちょっと有力な情報をくれた。

どこからの情報だよそれは。

「え?秘密かな」

 どうやら企業秘密らしい。将来の職業は新聞記者や情報屋にでもなるつもりか?

「そんなつもりはないけどね。で、どうするの?役目を引き受けるの?」

「さぁな?気が向いたらとだけ答えておこう」

 俺はさもヤル気が無い口調で答えた。実際ヤル気など数値化したら、ナノな桁であろう。


 小戸神は4月の中旬に入っても男とはまったく話をしなかった。いや、まったくではないな。罵声だけは浴びせてる。

対する俺はというと小戸神に話し掛けるのを戸惑っていた。自ら屍になるのを望むのは自殺志願者だけだろ?

 だが、事態は動いたのだ。なんと小戸神から話し掛けてきたのだ。

「あんた、春海と仲いいの?」

 と、小戸神からアプローチをかけてきたのだ。

俺は戸惑いながらしっかり対応をした。

「いや?別に適当に話す程度の仲だが?」

「ふぅん」

 とまぁそれだけである。でも十分な収穫といえるのではないか?相手から話し掛けてもらえたのは大きい。おし、役目を果たすために少し話し掛けてみるか。

「久須見とは仲がいいのか?」

「別に?気になるの?」

 お、俺から話し掛けて話が繋がったのは初めてじゃないか?ちょっとした感動を覚えるぞ。

「別に、ただ聞いてみただけだ」

「あそ・・・。あの子、普通の子と違う印象を受けたのよ。第一印象で」

 俺はお前の第一印象がどの女子生徒よりも違う・・・いや、ずれてる印象を受けたぞ。

「そういうことじゃないわよ。それになに?私がずれてる?」

「あ、いや、今のは言葉のあやだ」

 小戸神は機嫌を悪くしたらしく、「ふんっ」と鼻で軽くあしらいやがった。ま、でも会話になってたと思うぞ?


 それから俺達は何度か会話もするようになっていた。相変わらず長くは続かないものの、人と人が会話していると周りからも認識できるくらいの言葉を交わす程度になっていた。

「なによあのドラマ。婚約者が現れたから身を引くですって?情けない女ね。本当に好きなら奪えばいいのよ。世の中奪ったもん勝ちよ」

 こいつは将来強盗にでもなるつもりか?こいつなら人質を全部殺してから金などを盗み出しそうだが

「大体男も男よ。女1人守れないなんてダメな奴ね。私ならケツに蹴りを何発も入れて、東京湾に足枷つけて沈めるわ」

 こいつならやりかねない・・・。俺は小戸神の威圧感と春なのに蒸し暑い感覚から逃れるためにネクタイを緩めた。


 突然ここで県立正傳高校の制服などをご説明しよう。俺が説明するのは物凄くメンドイが、あまりにも描写が少ないため仕方があるまい。

県立正傳高校の制服はブレザーだ。夏はネクタイ付シャツブラウスがうちの高校の制服だ。ネクタイの色は一年が赤、二年が青、三年が緑といった感じだ。そこ、ありきたりとか言わないように。

 つぎに上履きもネクタイの色のように、学年によって分けられている。

 そして、学校の場所だが山が物凄く長い坂の後ろにあるような場所だ。ちかくにはコンビニなどがあり、駅から約10分という中々便利な場所にある。近くには商店街などもあり、学校の付近から通学してくる奴が特に多い。もちろん俺もその1人だ。

 校舎は新校舎と旧校舎に分かれている。基本授業が行われるのは新校舎だが、特別授業などの場合は旧校舎だ。一般の教室やパソコン室。職員室や会議室などは新校舎にあつまっているため、その他の教室などは旧校舎に集まっている感じだ。

 ちなみに俺の教室は3階だ。

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