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県立正傳高校  作者: 白苑
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第二話:罰ゲーム

 何かの小説でよんだ気がする。学校初日に自己紹介で周りの空気を一瞬で0℃以下まで下げた自己紹介。確かハ○ヒだったか?いや、それは今はどうでもいいことだ。問題は、この女がそいつみたいに宇宙人〜みたいな事をいいださないかだ。

 が、俺の不安は当たらなかった。その「小戸神 朋恵」(おとかみ ともえ)はそんなことをいいだす奴ではなかったのは幸いだ。ま、小説を読んだ限りでは不幸を体験するのは前の席の奴だしな。


 一言でいうなればその考えは甘かったということか。


 小戸神 朋恵は別に女子と話すし、変なことを言い出す女ではなかった。普通にみれば「美少女」に分類されるであろう顔に、髪は長くて腰まで届きそうである。が、一つあれなのは・・・

「話し掛けてくんな、ボケ」

 と男子が話し掛けるとこう切り返されるのである。だれが話し掛けてもだ。もちろん教師が男ならものすごい勢いで罵声を浴びせる女だ。それを正常といえようか?いやそうな顔をするのは分るがここまで露骨に男を邪魔者扱いせんでもいいと思うのだが。

「おい、このゲーム負けた奴は小戸神に話し掛けるってのはどうだ?」

 今、俺はクラスメイトの渡辺と武藤の二人とトランプをやっているところだ。ババ抜きだが。そこ、幼稚と言ってもかまわないぞ。俺も丁度思ってたところだ。だが、まだ始まったばかりの高校生活で誘ってもらったのに断るなんてことは俺には出来ない。今だけだろうな。

ババ抜きをしてるところまではいいだろうが、武藤の罰ゲームの提案は勘弁してもらいたいところだ。

「おいおい?あの小戸神に話し掛けろってか?ものすごく嫌そうな顔をされて罵声を俺たちが逃げた後も言ってそうだぞ?」

 俺は武藤のトランプを一枚引き自分の手持ちに加える。よし、9はある。

二枚カードを捨てながら俺はなんて話掛けるのかを聞いた。

「そりゃあお前自分で考えろ。人に頼ってばかりの人間だと大きくはなれねぇぞ?」

 つまりは全く考えていないらしい。渡辺は自分にその罰ゲームという名の矢が当たりたくないのだろう。ものすごい勢いの集中力を見せている。いや、ババ抜きって基本運じゃないのか?

「いいか?人はいろいろんな事に挑戦して成長してきたんだ。そして、このババ抜きは挑戦者を選ぶためのものだ!!」

 なにやら熱弁しながらくだらない事をいってやがる。そんな挑戦、1人で勝手にやってやがれ。俺たちを巻き込むな。

 もう途中なにがあったかなんて面倒なので描写を省くことにしよう。結論から言えば負けたのは俺だ。最後の二択を武藤に当てられてしまって見事罰ゲームが確定してしまった。

「はっはっはっ!正義は必ず勝つのだよ五十嵐君っ!」

 お前が正義ってことは俺は悪か?いったい何をもって自分を正義で俺を悪と言っているのかは分らないが、とりあえず調子に乗ってることだけは誰の目からでも明らかであろう。

「じゃあ約束の罰ゲームを今っ!果たしてもらおうか」

「おい、大体俺は了承してねぇぞ?」

 別にやってもいいが、無残な結果に終ることを自分からやりたくないと思うのは人として仕方が無いだろう?

「なにチキンな事を言ってるんだよ。やらないなら今日からお前をキング・オブ・チキンと呼ぶぞ!」

 そんなあだ名で呼ばれて周りに定着しても困るので、俺は小戸神に話掛けることを決意した。


「・・・よお」

「・・・・・・・」

 い、いきなりのシカトである。

俺は渡辺の席から小戸神の席に移動して話掛けたが、現在このような反応をされた。いや、この場合反応がないと言うのが正しいのか?

とりあえず、政治家が記者の質問をシカトする時並のシカトで俺の声は小戸神の耳にはどうやら入らない。もしくは入れようとしてないらしい。

「あのさ・・・」

「・・・何よ?」

 OKとりあえず耳には入ってるらしい。さて、反応をしてくれたのでここからどうやって話題を広げよう。

「用が無いなら話掛けないで?ウザイから」

 と俺が数秒間考えてる時間すら惜しいらしく、速攻で会話は終了した。会話と呼べるものかどうかは、気にしない方針で行こうと思う。

俺は武藤と渡辺に無理と手をひらひらさせて合図すると、二人とも笑いを堪えてやがった。あいつら、いつかぶっ飛ばす。


 その後は普通にクラスメイトの女子とは普通に話してる雰囲気なのだが、なぜ俺たち男とは話したがらないのだろう?ま、人それぞれか。

「ん〜顔はいいんだがな。どうもだめだ。きついな」

 まったくもって同感だが、お前にそんなこと言える権利はないと思うぞ。

「いいんだよ、聞こえないなら別にいいんだよ」

 まったくもって弱い奴である。弱者という言葉はこいつのためにあるものではないのか?俺は俺でくだらない思考をしていると1人の女が歩み寄ってきた。

「ねねっ!小戸神に話し掛けた?すごいね?勇気あるね?」

 第一印象はものすごく明るい人ということだ。

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