表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/27

第23話 「親の心を子は知らず」

 



挿絵(By みてみん)




 ■ ■



 

 翌々日。

 仕事から帰ったパパは、深刻そうにツヅミに言った。


「ツヅミ……明日学校が終わったら迎えに行くから、校門で待ってなさい。なんか大変なことになったぞ……」



 パパは、市役所の市民課で働いている。

 ところが今日、地域福祉課の課長さんが、ツヅミに会いたいと言ってきたそうだ。地域福祉課と言えば、市の募金活動の総括窓口ではないか。


 まさか娘の一件で訓告処分かとビビったが、それなら本人まで連れてこいというのはおかしい。


 とにかく次の日。

 親子ふたり、死刑判決を聞きに行くような心境で、びくびくしながら市役所の会議室へ向かった。

 そこには課長さんだけではなく、市長さんまでいたからブッたまげた。



「お、お父さんは関係ないんです! ぜんぶあたしのせいなんです! ウワー、オエオエオエオエ……」

 かわいそうに。

 ツヅミはパパが解雇されるものと思い、大泣きしてしまった。


 そうではなかった。

 なんとツヅミは、市長さんから直々(じきじき)に、募金箱の製作をお願いされたのだ。



 ひったくり犯の逮捕に協力したニュースのおかげで、市の募金活動にも注目が集まったらしい。

 平年の、ゆうに3倍以上の寄付額が集まっているそうだ。


 さらに事件の動画もネットでバズり、たいへんな反響となっていた。


「なんなんだ、この子は」

「コーヒー仮面が空気抵抗で輝いて見える」

「犯人も気の毒に。執行猶予つけてやれよ」

「この先生、生徒置いて逃げてんぞ」


 とにかく反響があった。



 市としても、これを逃す手はない。

 市役所のロビーに募金箱を設置し、あのニュースの子が作りましたとPRしたいというのだ。

 パブリック・リレーションズしたいというのだ。


 その、あれだ、広報ね。


 すなわち。

 ビックリ箱みたいな募金箱を、ツヅミに作ってもらいたい。そしてゆくゆくは、総合体育館や図書館にも置きたいというのである。



「いえ、うちの娘にとてもそんな大役(たいやく)は。申し訳ございません」

 パパは礼儀正しく断った。

 わずか1秒で。


 本当なら、市の正職員の立場で拒否できる話ではない。だがツヅミの製作物で、今度こそ死人でも出たら取り返しがつかない。

 娘の将来を思い、断った。

 


 ツヅミはちがう。

 どこまでも空気の読めないツヅミは目を輝かせた。自分が失墜(しっつい)させてしまった箱崎家の名誉を回復する、またとないチャンスではないか!


「やっ! やっ! やりま、やりまくり、やらせてくだくだくだ!」


 興奮しすぎて日本語にならなかった。

 どうにか声をしぼりだし、肯定の意思を示そうとがんばる。


「やりま、がんば、一生懸命懸命懸命……!」



「申し訳ありません、娘もできませんと言ってます」

 通訳するパパ。


「ちょっ! ちが、ちがいま、おけおけおけおけおけ!」

「黙るんだ、黙りなさい」


 泣きじゃくる娘と、鬼の父。

 


「待ちたまえ、箱崎くん」

「お嬢さんの話も聞いてあげなさい。なんということだ」


 困惑するえらい人たち。

 急に不安になってきたようだ。







【 ツヅミちゃんに質問のコーナー 】





挿絵(By みてみん)




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


イタいぜ!



チャッカマン



チャッカマン

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ