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第17話 「性格はいつか運命になる」

 


挿絵(By みてみん)




 ■ ■


 


「みんな、ジュースをもらいましたよ。いただきましょう」


 石原先生が紙パックの飲み物を持ってきてくれた。駅長さんが差し入れてくれた、オレンジジュースやアップルジュースだ。

 子どもたちが、わっと歓声をあげる。


「はい。あと30分で学校に戻りますよ、最後までがんばりましょう」



 ジュースを飲み終えると、ツヅミたちはまた定位置に並んだ。


 この間、通りがかる人たちに変化があった。

 学生が増えてきたのだ。


 どうやら今日は、とある高校の試験の日だったらしい。まだ昼前だというのに、下校する高校生たちが現われはじめた。


 彼ら彼女らの持つカバンを見て、ツヅミは「あっ」と声を漏らす。


 お兄ちゃんの学校だ。

 そう言えば、お兄ちゃんも試験勉強してた気がする。



「募金、お願いしまーす」

「おねがいします」


 一生懸命に声をそろえてみるが、どうも反応は(かんば)しくない。女子高生ふたりが、かわいいかわいいと言って写真を撮っていったが、募金はしてくれなかった。


 もちろん相手も学生なわけで、こづかいから寄付してくれとは言えないが……写真だけ撮っていくのはどうなんだ。



 それでも、少しずつ様子が変わってきた。3人組以上のグループが目立ちはじめたのだ。

 面白いもので、グループのひとりが募金してくれると、連れの学生も募金してくれる。


 そこに、またべつのグループが現われたら入れ食い(・・・・)だ。募金している同級生を見るや、彼ら彼女らも寄付をしてくれる。

 やっぱり、おなじ学校の顔見知りが募金しているのを見たら、スルーしにくいのだろうか。


 彼らの寄付額はけっして大金じゃないが、ワイワイと(にぎ)やかなテンションで集まってきてくれる。

 それが、募金活動をとても楽しいムードにしてくれた。


 ツヅミの募金箱にも、新たに何十枚かのお金を入れてもらえた。



 それはもちろん嬉しいんだけど、さっきからツヅミは、腕がメチャクチャ疲れていた。箱が重くて重くて、たまらない。

 それに首ヒモが食いこんで、肩がひどく痛い。


 無理もない。

 お金はぜんぶあわせても300グラムくらいだろうけど、666号を搭載してる箱そのものが、メッチャ重いんだもん。


 なんだか、足も痛くなってきた気がする。

 もう2時間以上立ちっぱなしだし、当たり前だ。


 いよいよ、募金活動の刻限もせまっている。誰ともなしに、お腹すいたすいたと言いはじめた。



 そこへ。


 な、なんということだ……!



「あ、ツヅミちゃんのお兄ちゃん」

「あれ。えーっと、ミキちゃんだっけ。なんだ、ツヅミもいるのか」


 マモルが現れた。

 さっきの電車が到着して10分以上たってるというのに、今ごろになって、ひとりで改札から出てきた。

 トイレにでも行ってたのだろうか。



「ゲッ! お、お兄ちゃ……」

「なんだ、ゲッって」


 マモルはツヅミを見ても驚かない。昨日の夕食のとき、ツヅミが募金活動をすると聞いてたからだ。

 とは言え、まさか駅にいるとは思わなかったが。


 ツヅミはというと、メチャクチャ(あせ)っていた。

 まさかお兄ちゃんめ、募金する気じゃあるまいか。


 家族にビックリ箱のことがバレるのはマズい。

 ヒミツの666号計画が台無しだ。



「ツヅミちゃんのお兄さん?」

「うわ、けっこうカッコいい」

「背ぇ(たか)ぁ。バレー部だ」


 ほかの子たちが、わあわあと騒ぎ出した。


 注目を浴びて、マモルは居心地が悪いやら、かっこいいと言われて悪い気はしないやら。

 いや俺バスケ部だよ、ツヅミがいつもお世話に……と、似合わない愛想(あいそ)笑いで、先生やクラスのみんなに頭を下げていた。


 ツヅミはなんとなく恥ずかしい気持ちになった。学校の活動を家族に見られるというのは、どことなく落ち着かない。

 なんか、自分だけ授業参観されてる気分だ。

 クラスのみんなに兄を冷やかされるのも、なんかヤだった。



「もう、お兄ちゃん帰って!」

「言われんでも帰るわ」


 ふだんと変わりない、ぶっきらぼうな会話。


 だがツヅミはホッとした。

 やれやれ、やっとお兄ちゃんがいなくなってくれる。


 しかし、あってはならないことが起こった。


 去ろうとするお兄ちゃんを、なんと村井くんが引き止めたのだ。


「箱崎さんのお兄さん、募金していってよ」



「ちゅっ! き、貴様……!」 

 舌打ちするツヅミ。

 


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イタいぜ!



チャッカマン



チャッカマン

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