第三次世界大戦(終)
「どうするんだ?このままでは負けるぞ。」
三十代くらいの男は言った。軍部の会議室が一瞬で静まり返る。元々わかっていたことだ。ファーストクリスタルはそう簡単には手に入らない。ファーストクリスタルの量でアメリカは優位に立ち、中国、インドは人口の多さから精鋭部隊が多く、だいぶ優位な位置に立っている。そんな中、人口も、資源も乏しい日本は戦っていけるだろうか。答えはノーだ。今まではなんとか他国と張り合えてきていたが、それももう限界だ。技術を進化させ様にも、そもそもファーストクリスタルがなんなのか分からないため、進む気配がない。
現実を叩きつけられた軍部の面々はある男に目線を向けた。
「はぁ、仕方ないですね。」
男はそう言うと立ち上がり、右手を前に出した。
「あ〜はいはい。」
軍部の面々は息を呑んだ。
「えーっと…申し上げにくいんですが、もうすぐ日本は崩壊します。と言うより、世界が崩壊します。」
「な…。」
軍部の面々は固まった。男の名はイリン。自称だが、未来を見る能力があるらしい。軍部ま最初は信じなかったが、戦争が男の言った通りに進んでいることに気づき、たまにこうしてイリンに意見を求めている。
「崩壊を逃れる方法は…」
「ありませんね。」
イリンはそう言い残し、その場を後にした。
「本当はないわけではないんだけどね。」
イリンは心の中で言った。
「頑張ってね。条くん。」
次回「剣技」