ループ
「ボス、連れてきましたよ。」
「ああ。ありがとう。」
あのまま連れてこられた基地。ボスと呼ばれた者が暗闇から姿を現した。
「え?女性…」
「やぁ、久しいね。緑色。」
「すいません、俺、記憶がなくて…」
「そうか。記憶喪失なのか。仕方ない。」
そう言ってボスは部屋を後にした。
俺は何が何だか分からないのでひとまず連れてきた青年を見た。だが、青年はこちらに気づいたにも関わらず背中を向けやがった。
(こいつ…)
すると奥からボスが戻ってきた。
「使うのが久しぶりだから操作方法覚えてるかな…」
ボスの手には野球ボールぐらいのサイズのオーブを持っていた。
「それは…一体…?」
疑問を問いかけたが、問答無用で使ってきた。
ボスは俺に近づき、右手に持ったオーブをつけていった。
「アーティファクト起動。」
「え?何…」
この後の記憶はない。何が何やら。
「ん…ここは…」
「目覚めたか。」
前から話しかけてきたのは、俺だった。
「?」
俺が二人いる…
「ああ。二人いる。今回のループのお前、前回の俺だ。」
「え、ループ?」
「ああ。俺たちはループしている。」
(何言ってるかわかんねぇ)
「まぁ、気にする必要はない。今から君は死ぬんだから。」
「え…」
目の前にいた緑色が消えている。
(どこ行った…)
「!!」
とっさに避けだが、気づかなかったら背中に剣が刺さっていた。
「こわ!」
(何なんだこれ…)
「説明されなかったのか?一つにすると言われなかったか?」
「いや、言われたけど…」
「仕方ない。軽く説明する。俺たちの組織は地球外生命体と戦っている。」
「はぁ。」
「そして俺たちは激戦を乗り越え、ラスボスまで辿り着いた…」
「タンガ、ジン、私についてこい。他のものは緑色の指示に従うように。」
「了解。」
全体に指揮を出したのは、女の剣士だった。両手で持てるぐらい大きな剣を持っている。その剣士について行く二人の剣士。二人とも片手で持てるくらいの大きさの剣を持っている。10人くらいだろうか。一塊になっていた集団から3人は抜け出した。
しばらく走っていると、ボスらしき敵が現れた。赤い仮面をつけた4本腕。人の見た目から離れた異質な存在。それを目にした女の剣士は言った。
「やっと見つけたぞ。カハラ星人。」
「何度もこりずにご苦労だな。」
「ああ。今回は万全の状態だ。今までは仲間は殺されてきたが、今回は誰もかけることなく、ここまできた。終わりだよ。カハラ星人。」
「仕方ない。今回はここで終わろうか。次回が楽しみだな。ラームの剣士達。」
そう言って、カハラ星人の体から無数の光が飛び出し、辺りを覆った。
「そして、地球はもう一度始まった。」
「ごめん、めっちゃ解説してくれてたけど、全然分かんない。」
「はぁ。まぁ、説明はこのくらいで良いだろう。要するに、俺には前回のループの記憶がある。だから、体の主導権を俺にして、お前という自我が存在しない様にする。」
「え、俺って、殺されるの?」
「ああ。じゃあな。」
緑色の右手に持ったナイフが俺の首に向かって飛んできた。
次回「弱者」