表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
流星学園  作者: 森宮寺ゆう
一学期『願いを叶えに』
32/34

第31話 地の下の狂気

(きっとここに例の女性が…)

 幽羅の目が向かったのは森の中。真っ暗で何も見えないでいると、ポツポツと光る点のようなものが映る。フクロウ、カラス、スズメ、ハトといった多種多様な鳥類が木の枝の上で目を光らせている。全ての鳥が木の枝からピクリとも動かず、そこに鎮座している。

「防犯カメラ、でしょうか。こんな大自然に人工物なんて設置したら怪しいですからね。あ、森林の中で監視役であろう鳥たちが監視網を張っています」

 幽羅の目は鳥の群れの真ん中を横切っていく。

「進むたびに監視の数が増していますね…よっぽど見られたくないものがあるのでしょうか」

 幽羅はゆっくりと目を前進させながら、自分の見ている景色を弦たちに報告する。

 鳥たちは一本の木を中心に監視網を張り巡らしている。その木はなんの変哲もない木であるが、明らかに監視の量が尋常じゃなかった。

(しかし肝心な入り口が見当たりませんね。いっそ地中を潜ってみますか)

 眼球たちは木の周辺を何周かした後に、スッと地面の中を通り過ぎていく。数秒の間、土の景色が続いていたが、一気に視界に光が入り込んできた。

「まぶっ!しかし…ビンゴ、ですね」

 暗闇に視界が慣れていた幽羅は、急に明るくなったことに思わず驚いてしまったが、即座に笑みを浮かべる。

「見つけたのか?」

「はい、バッチリです。しかしー、なんの変哲もないただの廊下にでてしまいました」

 幽羅はぐるりと回りを見渡す。そこは一般的で、普遍的な廊下が広がっていた。しかしそこには床や壁には真っ赤な血がべっとりとへばりついていた。

「ただ血が大量に付着してますね。殺人パーティ終わりなのでしょうか?」

「血?そこは生徒の死体を保管してんのか?」

「かもですね~」

 幽羅が目をさらに奥へと向かわせると、一人の男を発見する。研究服姿で、脇にはレポートらしきものを抱えられていて、小走りでどこかに向かって駆けている。

「何者かを発見しました。今から追いますね」

 幽羅は目をスピードを上げて男の後ろを追跡する。男はパスワードつきの扉の前に立ち、パスコードをうち始める。

(随分とまあ厳重な扉ですね。この先には何があるのでしょうか)

 幽羅は男がパスワードうち終えると同時に壁をすり抜けて奥へと進んでいく。

「うへぇ…」

 幽羅は思わず顔を歪めて変な声を漏らす。奇妙な声を出した幽羅に由佐は首を傾げながら幽羅の顔を覗き込む。

「どうしたの?情報屋さん。顔色が悪いけど…」

「いえ、ちょっとまぁ、少しショッキングな光景が広がっていましてね。様々な生物が檻の中に入れらています」

 幽羅の目の前に広がっていたのは、数千はゆうに超えているであろう数の檻が数百人が簡単に納まるくらいの大きさの広間をびっしりと埋め尽くしていた。人が通れる道は確保されているが、かなり窮屈で、すれ違うことも出来ない。

 研究員はその狭苦しい道を慣れた感じで奥へと進んでいき、さらに奥の扉へと進んでいく。扉の向こうにはさっきと同じような廊下が続いている。廊下の突き当たりに一際厳重な扉がある。

(この男性は一番奥の部屋に向かっているようですね。他の部屋も見てみたいですが…まずは先を急ぎましょうか)

 突き当たりの部屋まで向かう途中に複数の分かり道があり、その分かり道の奥にもさらに分かり道が出来ている。

「この施設は随分と想像以上に広そうですね」

 幽羅は新しい目を向かわせようか一瞬悩んだが、研究員の後ろを追うことに専念することにした。

(よく見たらこの男性…あの扉に向かうにつれて顔色が悪くなっていってますね。冷や汗も流してますし、足の運びも遅くなっていますね)

 研究員は扉の前に立ち、少し深呼吸してから扉にカードキーを差し込む。

(ようやく扉を開けましたね)

 扉の向こうには幽羅が探していた女であり、女は成人男性が二人のるくらいの作業台の前に立っていた。女の周りにはズラリと檻が並んでいる。

「例の女性を発見しました。追ってた男性となにやら会話していますね」

「発見したのか!?あいつは何してやがるんだ」

「何を…してるんでしょうか?早口でなにやら話してますね」

 幽羅の異能は目を生み出す能力であり、声を聴いたりなどはできない。

(読唇術…口の動きが速すぎて読めませんね)

 二人はほんの数十秒ほどの会話の後、作業台に体を向けていた女がゆっくりと振り返る。そして、男が持っているレポートを奪い取って軽く目を通す。

(そういえば、あの書類を見ていませんでしたね。重要そうですし、覗かせてもらいますか)

 三体の目のうち、一体を女の背後に回り込ませる。そして、書類の中身を読もうとした瞬間女の首から四本の腕が飛び出して、回り込んできた目に掴みかかろうとする。

「ッ!?」

 幽羅は見えてないハズの目を掴もうとする女を呆然と見つめる。

 幽羅が見つめていると、女がゆっくりと口を動かす。幽羅はさっきとは違って遅いその口の動きを読むことが出来た。

『だ、れ、だ?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ