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流星学園  作者: 森宮寺ゆう
一学期『願いを叶えに』
24/34

第23話 有能らしい情報屋

『摸擬戦が終了いたしました。皆さん、お疲れさまでした』

 学園内にそんなアナウンスが響いてくる。

「終わったんか」

 食堂で食事をとっていた弦がつぶやくと、その対面に座っていた七海と、弦の隣に腰かけている音音が反応する。

「三時間程度、ですかね?意外にも早く終わりましたね」

「そうだな。全生徒…約二百人程度だったっけ?確かにその人数にしては早いな」

 音音は七海の言葉に軽く頷き、音音に続いて何か言おうとした瞬間、ふと後ろを向いて何者かの名をつぶやく。

「ユラちゃん?」

 音音が完全に体を後ろに向けた時には、音音はある女によって押し倒されてしまっていた。

「音音!?大丈夫か!?」

 音音は椅子から転げ落ち、押し倒した者の下敷きとなっていた。その物音で周りの人間が一斉に目を向けるくらいには大きな音で転げた。

「って、おい!お前…どきやがれ。毎度毎度よぉ」

 七海が音音に覆いかぶさっていた女を引きはがそうとする。

(この女…探偵みたいな恰好してんな)

 短い黒髪に青いメッシュのかかった女性で、丸眼鏡をクイッと人差し指で持ち上げながら、身にまとっているオーバーサイズの茶色いインバネスコートについた埃を落としながらニコッと笑う。

「えへへへ。オトちゃーん。縞さんを注意してください~。服のびちゃいますよぉ」

 女はキャッキャとはしゃぎながら音音に手を伸ばす。音音は少し困った様子で弦に向き直る。

「えっと…この方は月丸幽羅(つきまるゆら)って言ってですね。私のお友達です。ユラちゃんは腕利きの情報屋さんなんですよ」

 音音がそう説明をすると、幽羅が弦に向かって軽い敬礼しながら笑いかける。

「ご紹介預かりました~!超有能情報屋のユラちゃんです。国が隠したい国家機密も、あなたが昨日買った夕飯の材料も、私にかかれば、ちょちょいのちょいちょいです。お代を払っていただければ、貴方様の欲しい確かな情報を提供します、よっ!」

 幽羅は深々とお辞儀した後、弦の手を強引に引っ張って握手を交わす。

「そ、そうか。俺は…「夢蔵弦さん、ですよね!」

 弦が自己紹介をしようとするが、幽羅が食い気味に話を遮られてしまった。

「私は知ってるんですよ?あなたがどこから来たか。何を思い、何を叶えにきたのか。そして、弟さんの痛ましい事件も…」

言葉を遮られたことに困惑すると同時に、自分の弟のことについて知ってそうな素振りを見せる幽羅に目を鋭くし深い警戒心を見せる。

「…お前、どこまで知ってやがる?」

「あーっと、別にあなたの家族構成を調べている時に、たまたま知ったんですよね、たまたま。なので、その件に関わっていたってワケじゃないんですよ?…ホントですからね?」

 今にも胸ぐらを掴みそうな勢いで迫る弦の剣幕に押されてしまった幽羅は慌てて音音の後ろに隠れながら敵意がないことを必死で示す。

「えっと…ユ、ユラちゃんは初対面の人に自分の情報収集能力を自慢する悪い癖があるんです。いつもやめるように言うんですが…。あ、悪意は、無い、ハズです…きっと」

 音音は幽羅のことを庇う気はあるようだが、幽羅は普段からこんな感じなのか、完全に庇えきれていない。

「オトちゃーん?しっかり否定してくださいよぉ」

「ではその悪癖、治してくださいよ?」

 幽羅は音音の言葉にわざとらしく首を傾げた後に手を思いっきりパンと叩き、話を代える。

「それとそれとです!オトちゃんたち、明日二階のこの教室に来てください。実は私、ここで情報屋さんを始めようと思ってるんですよ。では、話したいこと話したんで帰ります!お店の準備も進めないとですし、学園の調査もですし。それでは~」

 幽羅は赤いペンで印がつけられた学園内の地図を机に広げてから弦たちのもとを離れていく。幽羅の姿が見えなくなったころに七海が小さくため息をつく。

「まったく、嵐のようなやつだぜ。毎度毎度突然現れて、突然消えて」

「毎度毎度?三人は…どういう関係なんだ?どう見ても知り合いだったが」

「ユラちゃんとは幼馴染なんですよね。私の数少ない友人の一人です」

 音音は少し照れくさそうにしながらそう述べる。

「そう、なのか。でも、この学園に来たってことは…」

 「殺し合いをするのでは?」と直接言えなかった弦の言いたいことに察した音音は笑みを浮かべながら、コクコクと頷く。

「大丈夫です。私たちは殺し合いをするつもりはありません。みんな生きて帰ります」

 なんの根拠も提示せずに言う音音に普通なら疑問を持つが、弦は音音の自信に満ちた目を見ていると、なんとなく実現できるのではと感じ、曖昧な相槌で終えてしまった。

「そ、そうなのか…」

 弦はそれ以上のことは追求せずに、少しの雑談の後に、音音たちと解散したのであった。

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