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流星学園  作者: 森宮寺ゆう
一学期『願いを叶えに』
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第14話 キレイな目

 音音たちが戦闘を繰り広げていた市街地エリアから遠く離れた場所に由佐は立っていた。周りには大きさや形が様々な木が無数にあり、地面には様々な植物が元気に育っている。

「…ん?だぁれ~?」

 由佐が背の高い草をかき分けながら大木に向かって話しかける。

「わ、わぁお…バレちゃったか」

 大木の後ろからはパッチリとした目に赤髪ポニーテールでモデル体型と言うのに相応しい体つきの少女が、両手を挙げながら姿を見せる。

「ごめーん。でも、あなたのことを狙ってたわけじゃないからね」

「ふーん…」

 由佐は少女のことをあまり信用していない様子で後退りする。

「あっ!ちょっと逃げようとしないでよ。確かに怪しいけどこっちも怖かったのよ。お願い信じて!」

 イマイチ信用することが出来ないでいると、少女が恐る恐る手を伸ばしてくる。由佐は警戒しながらその手を取り、握手を交わす。

「じゃあ、とりあえずよろしくね」

「ありがと!私、天音転夜(あまねてんや)そっちは?」

「ん~。アタシは日弧由佐だよ」

「そっか、日弧さん。えーっと、あの一緒に行動しない?私一人だと心細いんの」

 転夜はためらい気味に小さく言うと、由佐はそれを容易く了承した。

「いいよ~。正直アタシも一人は寂しかったし」

「そんな簡単にいいんだ。さっきは警戒してるように見えたけど」

「警戒はしてるよ~。ただここで信じても信じなくても変わらない気がしたってだけだよぉ」

 由佐は頭の後ろで腕を組みながら、転夜に背を向けて歩いだす。

(ミョーな視線を受けてるなぁ。転夜ちゃんアタシのこと見過ぎじゃない?)

 由佐は体を僅かに後ろに傾けて、転夜の様子を伺う。転夜は辺りをキョロキョロしていうようだった。

(見てきてない!?転夜ちゃんじゃないってこと?だれ?)

 由佐は転夜からの視線を受けていない。にも関わらず突き刺すような冷たい視線が今もなお、全身に向けられている。

 由佐に向けられていた視線の出どころが転夜でない事に気づいたと同時に、転夜の頭上で木の葉と何かが擦れる音が聞こえてくる。

「転夜ちゃん!危ない!」

 転夜の頭上から一人の女性が両手にナイフを持った状態で飛びかかってくる。転夜では反応しきれないと踏んだ由佐は叫びながら転夜の体を突き飛ばす。

「あ、ありがと…」

 転夜と由佐は一緒にナイフを持った女性から距離を取って一息つく。

「フフフッ。あれを避けるのですかぁ。奇襲が成功したと思ったのですがね」

 左右の目は赤と青のオッドアイで、銀色の髪は地面につきそうなくらい長い。そして、顔にはリアルすぎる眼球のタトゥーが入れられている。そして、何も無いのに常に舌で何かを転がすような仕草をしている。

「私は茶山(ちゃやま)うりょむです。以後お見知りおきを、特に貴方は」

 うりょむは口角をあげながら由佐にナイフを向ける。

「…?なんでアタシ?」

「いえ、単純です。貴方の目がとぉぉっても綺麗だと思ったからです」

「…綺麗?」

 由佐が聞き返すと、うりょむがジックリと由佐の目を覗き込み、息を大きく吸って早口でベラベラと語り出す。

「はい!驚くほど綺麗ですよ。まず、深く、透明感のある青い目!こんなにも素晴らしい目を見たのはあの人ぶりです!見れば見るほど惹き込まれる…その上、虹彩と瞳孔の境が分かりやすいかつ、歪みの少ない円形!そして、健康的でツヤのある眼球。白目に濁りが無く、充血している様子もありません!フフッ、まさに魔性の魅惑!!神の唯一無二のサイッッッコウ傑作です!!!」

 うりょむはどんどんと興奮していき、頬を真っ赤に染めながら由佐の目をウットリと見つめる。

 二人がうりょむの姿に恐怖や不快感を感じ始めた頃、うりょむは自身の体を左右にゆらゆらと揺らしながら一歩ずつ近づいて来る。

「ッ!日弧さん!来るよ」

 転夜がうりょむの動きに注視しいつでも反応できるようにする。数秒見合った後にうりょむが動き出した。

(ッ!日弧さん一点狙いだったか!)

 由佐の前を立っていた転夜には目もくれず由佐に向かって二本のナイフで襲いかかる。

「アハハハハハハハッ!元気がいいですね!()()()と同じ血が繋がってるとは思えませんね!」

「ッ!?今…なんて?」

 高速で飛んでくるナイフの斬撃を受け流していた由佐の手が止まる。その瞬間、うりょむは由佐の体を思いっきり蹴り上げる。

「しかしッ!目の美しさだけは姉妹揃って一級品ですよ!」

 そう叫びながら、ナイフを由佐目掛けて振り下ろす。

「…おねぇちゃんについて、知ってるの?」

 由佐はうりょむの腕を掴み睨みつける。声色も変わり異様な冷たさを感じる。

「フフフッ。どうでしょうか?」

 うりょむから答えを引き出せないと分かった由佐は、即座にうりょむを投げ飛ばす。

(茶山さんがメッチャ飛んだ!)

 うりょむは数メートルを吹き飛ばされた後、大木に体を打ちつけて倒れ込む。

「何も言う気がないなら…倒しちゃうよ?」

 由佐は静かにそう言うと、両手を地面につけ体勢を低くする。

血塗れた獣人(ビーストモード)

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