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中華異世界で経理として推しを見守る〜見てるだけでもいいのに役に立つなと褒められる幸せ!〜

作者: リーシャ

舞台は煌びやかで妖しい中華風異世界。


ひときわ賑わいを見せる一角に、漆黒の装いを纏った男、ガリュウは静かに佇んでいた。


その鋭い眼光は、この裏社会を牛耳る揺るぎない力を物語っている。


「チッ」


しかし、そんな彼の冷酷な瞳の奥には、時折、憂いを帯びた光が宿ることも。


一方、現代からこの世界に転生してきたハラナは、この世界がかつて夢中になってプレイしていたアプリゲームの世界だと気づき。


「いやったあああああ!」


大興奮していた。


特に、彼女が最も愛してやまないキャラクター、美貌の持ち主でありながらもどこか影のあるガリュウの存在は、彼女にとって特別なもの。


「こんな近くで彼を見られるなんて!」


胸の高鳴りを抑えきれないハラナは、一念発起。


「うおお!唸れ私の頭脳よ!」


持ち前の事務スキルを活かし、なんとガリュウが率いる組織の経理として潜り込むことに成功した。


「今日からこちらでお世話になります、ハラナと申します!」


緊張しながらも満面の笑みで挨拶するハラナに、ガリュウは訝しげな視線を向け。


「経理だと?お前のような小娘に何ができる」


低い声に一瞬肩をすくませるハラナだが、すぐにいつもの明るさを取り戻し、きっぱりと言い返す。


「見かけで判断しないでください!数字には自信がありますし、ガリュウ様の右腕として、きっとお役に立てると思います!」


その自信に満ちた態度に、ガリュウは興味を抱かずにはいられなかった。


こうして、ゲームの知識を持つハラナと、裏社会のボスであるガリュウの、ちょっと変わった日常が幕を開けそうで、開けないかもしれない。


ここはすぱっと端折り、三年後。


二人は、賑やかなテーマパークにやってきた。


普段は黒ずくめのガリュウが、今日は珍しく落ち着いた色合いのカジュアルな装いをしている。


それでも、その精悍な顔立ちと隠しきれない威圧感は、周囲の目を引いていた。


一方のハラナは、お気に入りのゲームキャラクターの髪飾りをつけ、周りを見渡す。


「わあ!すごい人!お祭りみたい!」


ハラナのキラキラとした笑顔に、ガリュウは一瞬、戸惑ったような表情を浮かべたが、すぐにいつもの冷静さを取り戻す。


「はぐれるなよ」


ぶっきらぼうな言葉とは裏腹に、さりげなくハラナの少し後ろを歩くガリュウ。


ハラナはそんな彼の優しさに気づきながらも、目の前の光景に夢中。


まず二人が向かったのは、中華風の装飾が施されたアトラクションエリア。


異世界なのがミソ。


龍の形をしたジェットコースターや、仙人が住む山をイメージした急流下り。


ゲームの世界観を彷彿とさせるものばかりで、ハラナは大興奮。


ミニゲームでやったなぁ、と。


「ガリュウ様、あれに乗りましょう!きっと面白いですよ!」


ハラナは、巨大な龍がうねるように駆け上がっていくジェットコースターを指さして、目を輝かせました。


ガリュウは一瞬、躊躇したが、女の熱意に押され、渋々頷き。


ジェットコースターがスタートすると、想像以上のスリルにハラナはキャーキャーと声を上げ。


隣のガリュウの腕を思わず、掴んでいた。


普段は冷静沈着なガリュウも、時折小さく息をのむ様子が見られ。


アトラクションが終わると、ハラナは興奮冷めやらぬ様子で、ガリュウに話しかける。


「どうでしたか、ガリュウ様!すごく面白かったでしょう!」


ガリュウは少し顔をしかめたが「悪くなかった」と掠れ声で呟く。


その表情は、まんざらでもなさそう。


その後も二人は、射的ゲームに挑戦したり、中華まんを頬張ったり。


お土産店を巡ったりと、テーマパークを満喫し。


ハラナは、ガリュウに可愛らしいパンダのぬいぐるみを勧めましたが、ガリュウは一瞥しただけで「趣味じゃない」と一蹴。


それでも、ハラナが少し寂しそうな顔をすると、可愛いキーホルダーをいくつか買ってあげるという、ツンデレな一面も見せた。


夕暮れ時になり、パレードが始まる。


煌びやかな衣装をまとったキャラクターたちが音楽に合わせて踊り、観客からは歓声が上がった。


ハラナは、子供のように目を輝かせ、パレードに見入っている。


その横顔を、ガリュウは優しさの滲む眼差しで見つめていた。


パレードが終わると、あたりはすっかり暗くなり、園内のイルミネーションが幻想的な雰囲気を醸し出していた。


最後に二人は、夜空に打ち上げられる花火を見る。


カラフルな光が夜空を彩り、その美しさにハラナは息をのむ。


ガリュウも、その夢のような光景に少しの間、自分の肩書きを忘れているようで。


帰り道、少し疲れた様子のハラナは、ガリュウの隣でうとうとする。


ガリュウはそんな彼女に気づき、そっと自分の肩に好きなだけ、もたれかけさせた。


「このおれに、ここまでさせるのはお前ぐらいだぞ」


ハラナは寝息を立て、ガリュウは体温を感じながら、静かに寝顔の横顔を見つめていた。


裏社会のボスとしての顔とは違う、穏やかで優しいガリュウの表情。


そして、大好きなガリュウとのテーマパークでのデートのようなものを満喫し、幸せそうなハラナ。


二人の距離は、この楽しい日を通して、また少し近づいたのかもしれない。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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