学校30
晴れて入試(健康診断で「特に問題なし」の一文をもらう)を突破したオレは、入学して30秒で卒業できるという高校に入った。
今日は待ちに待った入学式だ。四月初旬の快晴に、八分咲きの桜が薄紅の花弁を散らしている。
式は屋外でおこなわれた。
生徒(新入生)総勢約百名、プラス保護者がパイプイスに座って見守る中、校長先生の祝辞が述べられる。
「みなさん、入学おめでとう。と言ってる間に30秒が経ちました。卒業、おめでとうございます!!」
舞台そでに設置されていた〈入学式〉の掛け紙が、待機していた教師たちにめくられて〈卒業式〉に変わる。
『わああああ!!』
オレたちは感極まって事前に渡されていた卒業証書を手に立ち上がり、ありもしない思い出に涙し、たまたま隣にいただけの生徒と抱き合って、感動の卒業を迎えたのだった。
完
※このものがたりはフィクションです。
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