表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/50

好きな人の香り 2

 トーマスさんの勧めで何人かの使用人に付き添われながらシャワーをお借りして。

 どうしてドアの前にこう何人も使用人が待機している必要があるのだろうと思いながらも、貴族ってそんなものなのかな……と無理矢理納得しシャワーを浴びた。


 その後、何故かピッタリサイズのナイトウェアに着替えさせられて、再びリヒト様の部屋に届けられた私。





 

「……でも、寝るって……どこで寝るの?」



 使用人達が下がる前に聞いておくべきだった。


 部屋中を見渡すが、ベッドは1つ。大きくて日本で言う所のキングサイズよりも大きいのでは? と疑ってしまう、天蓋付きのいかにも貴族っぽいやつ……しかない。


 お客様用布団なんてものは無い。



「えっと、まさかあのベッドで寝る感じ?」


 ソファーから立ち上がってベッドの方へ向かう。そしてベッドに両手をついてみると適度な弾力がある柔らかい触感。

 えいッ! と上半身を埋めてみると、その柔らかさと共に……鼻腔にリヒト様の匂いが通り抜けた。


 彼の外套に守られるようにして牢から逃げ出した時、ソファーに押し倒された時……感じた、クリアで爽やかな香りが、私を包み込む。



「……いい匂い。――って、ちょっと待って私!」



 思わず目を閉じそうになったので慌てて立ち上がり、ソファーに戻る。そして、ここなら大丈夫だろうとソファーでゴロンと横になった。



「男性のベッドでいい匂いって……私が変態みたいじゃない」



 皆に石を投げられているような状況の中、リヒト様だけが私を庇う発言をしてくれた


 わざわざ牢の中まで助けに来てくれた。


 私の名前を偏見なく呼んでくれた。


 そして自らの領地に、私を匿ってくれようとしている。

 


 ――この国で唯一私と価値観の合うかもしれない人。

 




 ……でも変人。


 聖女だからって人間捕まえて服脱がせて観察しようとする、かなり変な人。


 私の事を人間と思っていないかもしれない。聖女という分類の生物かと思っているような節すらある。




 ――それでも。



 リヒト様は出会って数時間しか経っていない私の事を、こんなにも不器用な優しさで包んでくれた。



 リヒト様のことを考えると、胸がキュッと痛みを感じるのは……何故?


 目を閉じて考える。


 ……いくら考えたって、答えは一つしか思い浮かばなかった。




 これって所謂……恋かもしれない。

 気がついてしまっては、もう引き返せない。


 私は召喚されたこの異世界で、恋をしたんだ。


いつも読んでくださる皆様ありがとうございます(*´꒳`*)♡

閲覧数と評価を励みに、糖度高めハッピーエンドを目指し日々執筆頑張ります(๑˃̵ᴗ˂̵)♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ