08,最初の村
森を抜け、しばらく歩くと、遠目に村の外観が見えてきた。
恐らくアレが目的地だろう。
村の出入り口には丸太の木の門がある。
丸太が村の周辺を取り囲んでいる。
いつの時代の村だよ。
薄々勘付いてはいたが、科学力は私が元いた世界と比べて大分遅れているらしい。
私はそんな事を考えながら歩き、門の前に辿り着く。
「ミーナちゃん、おかえり」
柔らかい雰囲気。人が良さそうな顔だ。
「ただいま」
「そちらの方は──冒険者の方かい?」
門番は私の腰付近にチラッと目をやってそう言った。
どうやら私の剣(窃盗品)を見て私が冒険者だと勘違いしたらしい。
良かった……てか、異世界ラノベの謎職業ここにもあるんだね。
「そうです」
適当に話を合わせておく。
「その歳で冒険者なんて凄いね」
「そうです! チサトさんは凄いんです!」
ミーナは自分のことの様に誇らしげにそう言った。
なんでお前が嬉しそうなんだよ。
「君、チサトちゃんって言うんだ」
「はい」
「何もない村だけど、ゆっくりしていってね」
見た目通りの良い人だった。
「はい」
「じゃあ行きましょう、チサトさん」
「うん」
私がそう言うとミーナは歩き出す。
私はその後ろを黙ってついて行った。