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12.過去を隠していた正体

 間倉魅能(まくら みのう)はバタバタしていた家の片付けに向かったため家へと戻り。残った四人と、根本的な原因は未解決ではあるが、すっかり元気を取り戻したセリッサは、燃やされた隠れ家があったという場所までやってきた。


 すっかり焼け落ちた跡地が残っていて、元あった隠れ家を知らない四人では、建物がどのような形、見た目であったかも想像がつかない惨状だ。


「ワタクシの推理はこうです。そもそも、魔力という概念は、理解した上で扱う物ではありませんでした」

「……つまり?」

「魔力を扱う者のイメージに応じて、使いやすいように形や意味、効果などを変質させる。……それが、魔力という概念、その全てなのでしょう。そして、この考えが正しければ――」


 金色の眼を鋭く光らせて、過去を視る探偵、セリッサ・エストコルト。


 そして、彼女がふっ、と軽く笑ったのを皮切りに。自信満々な声がその場で大きく響く。


「ええ、ええ、視えましたわ! ワタクシの隠れ家が燃えた、その瞬間が――ッ!」


 どうやらセリッサが思った通り、過去、彼女の隠れ家が燃やされた時間の光景が視えるようになっていたらしい。が、一瞬の興奮の後、すぐに冷静になった彼女は。


「……ですが、犯人は映っていませんわね。ただ、ワタクシの隠れ家を燃やした直接の原因であろう、魔力の流れはバッチリ視えましたから、これを追っていけば『王』とやらの元には辿り着けます」


 彼女は、魔力そのものを理解した。あの過去に掛かっていた影を払うという主目的だけではなく、その副産物として、誰かが使った魔法さえ捉えれば、その魔法が使われた場所まで追っていくことが可能になったのだ。


 一瞬ヒヤッとさせられたが、それに気がついたセリッサはもう何も焦ることはない。


「このまま順調に行けば、黒幕の元へと一直線で向かうことができますが……皆さん、覚悟は出来ていらっしゃいますか?」


 黒幕というのは、セリッサの隠れ家を燃やした犯人というだけではない。この島の『王』を名乗る人物、セリッサ以外の四人がこの島までやってきた理由でもある『上鳴御削(うわなき みそぐ)』という存在、そんな四人が話していた『天使』――その中のどれか、もしくは全てに繋がってもおかしくはない。


 かくいうセリッサは当然、自らに残された時間が少ないのもあってか、とっくに覚悟は出来ている。……他の四人も、それは同様だった。


「もちろん、覚悟ならこの島にやってきた時から決めてきているわよ」

「これで、セリッサさんの身体も、御削くんのことも終わらせられるなら……」

「そうだね。覚悟を決める時間すら惜しいくらいだよ」

「ウチももちろん覚悟はできてるよ。伊達に何年も魔法少女やってないってね」


 それを聞いたセリッサは、どこか安心したように頷いて。


「分かりました。それでは、ワタクシが魔力の続いている先まで案内しますわね。さあ、着いてきてくださいっ!」


 セリッサを先頭に、五人は魔力の先――『王』とやらの存在が居るであろう場所へと走り出す。

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